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1秒ストライカー 〜1秒先の未来が見えるおっさん、サッカーで人生やり直す〜  作者: そきおこ
第6章 青空市の未来

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第72話 さわんとうわん

「そういえばさ。観光客が増えてるのは分かったけど、ピンクのおじさん見なかった?」


 プレゼンテーションの準備を終え、社長室に重たい沈黙が落ちる中、ヨウが思い出したように口を開いた。


「あ〜、あの人、有名だよ。ものすごい早口のおじさんでしょ?毎日、わさびさんに会いに来てるもんね?」


 もんちゃんが笑いながら、わさびを見る。


「うん。ペイさんでしょ?毎日来るよ。

 ……何しに来てるか分かんないけど。」


「お〜、あのピンクの早口か。」


 どうやら、悪い印象は持っていないらしい。

 ……たぶん。


「そう、ペイさん。彼と一緒に2カ月くらい仕事してたんだ。最後1カ月は、青空市に行くって別れてたけどね。」


 !?


 4人は顔を見合わせた。


 ……あのピンクの早口おじさんが?


 誰も言葉を発せなかった。


「あの人、あれでテンさんの左腕なんだよ。」


「左腕?右腕じゃなくて?」


 わさびが変な声で突っ込みを入れる。


「そう。で、俺が右腕らしい。」


「なに!?あの野郎〜。」


 イレは天井を見上げ、深くため息をついた。


「ヨウが右腕なんて……『アオソラ』も危ないわね。昨日頼んだ商品、ちゃんと届くかしら。」


 わさびさん、普通に失礼だから……。


「とりあえず仕事してたって!

 ……で、これから本題に入ります。」


 ヨウは咳払いをひとつして、画面を切り替えた。



     『テンリーグ設立計画書』


                2026.11.28

          坂本造園 総務部企画課



 画面に映し出されたのは、やけに堅苦しいタイトルだった。


 「……何を始める気だ?」


 そんな顔で、4人は無言のまま画面を見つめた。


「え〜、それでは、『テンリーグ設立計画書』とありますが、これから坂本造園とテンリーグのかかわりについて説明と提案をさせていただきます。」


 静まり返った室内に、ヨウの声だけが響く。

相変わらず、ぎこちない話し方だった。

ヨウは説明を続け、スライドを次のページにする。


「では、最初のスライドから説明します。

 実は、通販最大手の『アオソラ』は、今年の秋この町にリーグを設立し、日本中から人を集める。

 

 ……それが、彼の構想です。

 

 テンリーグとは、『アオソラ』社長・高崎登テンが提唱するサッカー下剋上のプライベートリーグです。」


 4人は、画面に映し出されたピラミッド図を食い入るように見つめている。

 さっきと同じ図のはずなのに、今はまるで違って見えているようだった。

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