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1秒ストライカー 〜1秒先の未来が見えるおっさん、サッカーで人生やり直す〜  作者: そきおこ
第6章 青空市の未来

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第70話 我が家が一番

「わさび、なっちゃん、ただいま。」


「ヨウ、お帰り。」


 わさびが、何事もなかったかのようにヨウを迎える。 玄関に満ちるいつもの空気に、ヨウの肩からすっと力が抜けた。


「ところでさ。あおい庭園に美香さんっていう人が、スタジオを作ったの。イラストを描いたりするスタジオね。その人が、今日起きたトラブルを私に教えてくれなかったんだよ。信頼されてないのかな〜。」


「すごいじゃん。もうテナント入ってるんだね!

その美香さんがオーナーなんだ。

わさびとの関係性が分からないから何とも言えないけど、報告するほどのことでもないって判断したのかもね。」


 ヨウが着替えをする間もないうちに、いつものおうちミーティングが始まった。


 思えば、8月半ばに夢中競馬場へテン探しに行かされ、気づけば11月も終わろうとしている。

約3カ月ぶりの我が家だった。


 やっぱり我が家ってのはいいもんだなぁ。


 つくづく思う。

 どこにいるかじゃない。

 どこに住むかでもない。

 誰といるか。

 俺にとっては、

 わさびがいるところが我が家なんだ。


 ****


「なるほどなぁ。人が増えるとさ、その分いろんなことが起きるよな。こういうとき、まとめ役が必要なんだよ。まさに『まね〜じゃ』のチカラの使いどころだ。」


「なんすか?『まね〜じゃ』って。」


 夏海が不思議そうに聞いた。


「わさびは、みんなのマネージャーってことだよ。」


 ヨウが適当に答える。


「雑な回答っす。」


 夏海が即座にダメ出しをする。

3カ月前と同じ我が家の空気が、すっかり出来上がっている。


「まぁ、なんていうかさ……。俺がこの町に来たのは、わさびのマネジメントに従っただけだからね。」


「ヨウさん、いい齢して主体性ってものはないっすか?」


「ないない。むしろ齢取ってなくなったよ。

経営者とか、そういう人たちには必要なんだろうけどさ。

 いい歳したおっさんの役目はさ、

前に出ることじゃなくて、世代交代だよ。

俺は、イレさんとわさび様についてくだけですよ。」


「よく分かんないっす。」


 わさびは2人のやり取りを聞いていたが、すっと立ち上がり、慣れた足取りで寝室の方へ向かっていった。


「ヨウ〜、お風呂に入っちゃって。パジャマはお風呂場に置いといたから。」


 その一言で、なんとなくおうちミーティングは終了した。


 いつの間にかヨウさんの秋用パジャマが用意されている……。めちゃくちゃラブラブっす。


 夏海は何も言わなかったが、わさびの準備の良さに内心驚愕していた。

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