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第40章

 【率直に言って】


 選挙区に帰ってきた国会議員に、むかしからの友人がたずねてきた。


 「・・・聞いたかい。昔なじみのトム・トゥルーが、あんたを裏切うらぎるつもりらしいって。」


 「率直に言って」


 議員が言った。


 「あの泥棒野郎どろぼうやろうが何をしようと、私は驚かんね。あいつは、いつ牢屋ろうやにぶちこまれてもおかしくないやつなんだからな。」


 「それから、こういう話もあるんだ。」


 友人が言った。


 「ディリンジャーの奴が、こんどは自分が立候補するって言ってるっていうんだよ。」


 「あやつもまた、同じ汚いコソどろさ。」


 議員が答えた。


 「やつが汚いことをして、私が苦境くきょうから救ってやったときのことを、こんど君に話してやるよ。」


 「まあ、落ち着けよ。」


 友人が議員をなだめた。


 「・・・ちょっとあんたをかついだだけだよ。実のところ、ふたりとも、あんたがここにいる間に、一度会いたいって言ってるんだ。」


 「さて、どうしたものかな。」


 議員が言った。


 「君は私をトリックにかけて、この選挙区では最上さいじょうの人間ふたりについて、ラチもないことを言わせてしまった。あのふたりは、私が知り合った人たちの中でも、人格において最も高潔こうけつ、かつ忠誠心ちゅうせいしんの高い人物なんだよ。」

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