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第33章

 【なるほど】


 町の広場で、客寄きゃくよせが人を集めていた。


 強力ごうりきの男が握りつぶしたレモンから、さらに一滴でもジュースをしぼりだすことができたら、百ドル払うというのだ。


 次々と力自慢の男たちが壇上だんじょうにのぼったが、みんな失敗した。


 最後に、どちらかというと「ひよわな」感じの男が壇上にのぼった。


 彼は強力男ごうりきおとこからレモンを受け取ると、かんたんに、そのレモンから二滴にてきも汁をしぼりだしたのだ。


 「ご職業は?」


 賞金を渡しながら、司会者がたずねた。


 「税務署員ぜいむしょいんです。」


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 【そうじゃない】


 酒場さかばの主人の自宅に、朝の五時というのに電話がかかってきた。


 受話器を取り上げると、酔っぱらった声がいった。


 「おい、おやじさん。あんたんとこの店はいつ開くんだね?」


 「何だって? いま何時だと思ってるんだ!」


 酒場のおやじは怒鳴どなりつけた。


 「昼までは誰もれんよ。」


 「いや、入りたいわけじゃないんだ。」


 酔っ払いが答えた。


 「おれは出たいんだよ。」

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