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第22章

 【不公平のおかげ】


 建国時代(けんこくじだい)のアメリカ。


 二人の国会議員が、くつわを並べて、ワシントンに向かっていた。


 絞首台(こうしゅだい)の横を通り過ぎたとき、ひとりがたずねた。


 「もし、絞首台が公平無私(こうへいむし)に使われていたとしたら、今日(こんにち)、君はどこにいるだろう・・・?」


 「ひとりでワシントンに向かっているさ。」


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 【証明書】


 アメリカ人とメキシコ人が、ある国際機関の建物の掃除夫(そうじふ)に応募(おうぼ)し、二人とも採用されることにきまった。


 しかし、メキシコ人だけは、ちゃんとした身許(みもと)及び経歴証明書(けいれきしょうめいしょ)を提出するよう、アメリカ人の事務局長は要求した。


 メキシコ人は不公平に腹を立てたが、喧嘩(ケンカ)しては元(もと)も子もなくなると思い、八方駆(はっぽうか)けずり回って、書類を用意した。


 事務所は高層ビルの九十八階にあり、ときどき非常階段を掃除しなければならなかった。


 ある風の強い日、二人が非常階段の手すりを拭(ふ)いていたら、そこへ、すさまじい突風が襲った。


 アメリカ人の掃除夫(そうじふ)は、運悪(うんわる)く手すりの上に身を乗り出していたため、風にあおられ、バケツと雑巾(ぞうきん)を持ったまま、真(ま)っ逆(さか)さまに地上に墜落(ついらく)していった。


 手すりにしがみついてこの様子を見ていたメキシコ人は、風がおさまると、すぐに事務局長のところへ飛んでいった。


 「ほら、見なせえ!」と、メキシコ人は勝ち誇(ほこ)って叫んだ。


 「あのアメリカ人の野郎め、あんたのバケツと雑巾(ぞうきん)を持ち逃げしやしたぜ。」

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