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第17章

 【忘れ物】


 手術の終わった患者が、病室に戻ってきた。


 「ああ、助かった。無事に済んだよ。」と、彼はつぶやいた。


 「いや、安心するのは、まだ早いね。」と、隣のベッドの患者が言った。


 「俺なんざ、医者のヤツがはらん中にガーゼを忘れちまって、二度目の手術をしたんだ。」


 すると、反対側の患者も言った。


 「そうとも。安心しちゃダメだ。俺も、医者が腹にハサミを置き忘れたんで、もう一度『開腹かいふく』さ。」


 ちょうど、そのときだった。


 外科医が、病室にぬっと顔を出して言った。


 「だれか、私の帽子ぼうしを見たひとはいないかね・・・?」


 患者は失神しっしんした。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 【下宿げしゅく


 第二次大戦で、パリがドイツ軍に占領されていたときのことである。


 ナチの将校しょうこうが二人、セーヌ川の左岸にある下宿屋街げしゅくやがいに宿泊することにして、一軒いっけんの下宿屋を選んだ。


 下宿屋のおかみは熱烈な愛国者で、ナチの将校を下宿させるのは、気がすすまなかった。


 二人のナチがおかみの家に対して言った傲慢無礼ごうまんぶれいな言葉を聞いて、おかみの気持ちは怒りに変わったのである。


 「この豚小屋ぶたごや、いくらで貸すんだ?」と、ナチは言ったのだ。


 間髪かんぱつを入れず、おかみは答えた。


 「そうさね、豚が一匹なら100フラン、二匹なら200フランだよ!」

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