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第16章

 【錆(さ)びたナイフ】


 旅のセールスマンが、通りがかりの百姓屋(ひゃくしょうや)へ行ってみると、『官能(かんのう)のかたまり』のような女房(にょうぼう)が、ひとりで留守番(るすばん)をしていた。


 亭主は市(いち)に出かけたが、牝牛(めうし)の世話をするため、女房は残ったという。


 ものの一時間もしないうちに、セールスマンと女房は、「生まれたままの姿」でベッドの中にいた。


 二人は心ゆくまで、男女の快楽(かいらく)の限りをつくしたのである。


 二人が眠っているところに、百姓男(ひゃくしょうおとこ)が戻ってきた。


 激怒(げきど)した百姓(ひゃくしょう)は、セールスマンを一発でのしてしまった。


 ・・・セールスマンが息を吹き返すと、そこは納屋(なや)の中だった。


 見ると、自分の宝筒(ナニ)が、巨大な万力(まんりき)に、しっかりとはさんであるではないか!


 そして、大男の百姓が、かたわらでナイフをゴシゴシ研(と)いでいる。


 セールスマンは悲鳴(ひめい)をあげて、万力(まんりき)のハンドルを回そうとした。


 それは途中からポキッと折れていて、いくら力を入れても、万力はビクともしない。


 「きみ、そのナイフで、僕の宝筒(ナニ)を切っちまうのかい・・・?」と、セールスマンは泣き声で言った。


 「いんや、おらでねえだよ。」と、百姓は言った。


 「切るのは、おめえだ。おらはこれから外に出て、納屋(なや)に火をつけるだから。」

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