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第10章

 【新しい学説】


 歴史上、最も高度な発達段階に達した社会がソビエトだと、ロシア人は教えられている。


 つまり、「パラダイス」だと教えられているのである。


 ロシア人たちは、それを信じて疑わない。もっと正確にいえば、疑うことを許されていない。


 あるロシア人学者は、長年の心血しんけつそそぐ研究によって、人類の祖先であるアダムとイヴもロシア人だったことを発見し、それを証明した。


 その学説・・・アダムとイヴは、着る物を持っていなかったし、住む家もなかった。


 食べるものといったら、リンゴがあるばかり。


 それなのに彼らは、自分たちがパラダイスにいることを信じて疑わなかった。


 まさに、「彼らがロシア人だったから」としか考えようがない、というのである。


 ☆  ☆  ☆  ☆  ☆


 【遅すぎる】


 薬科大学やっかだいがく口答試験こうとうしけんで、教授が質問した。


 ある薬を患者にどのくらい投与とうよすればいいか、というのが質問だった。


 学生が答えた。「8グレンです。」


 数分して学生は、ハッと気がついて言った。


 「先生、さっきの質問の答えを訂正したいんですが、2グレンとすべきでした。」


 教授はじっと時計を見つめて、それから言った。


 「残念だがね、もう遅すぎる。患者は、2分前に死んでしまったよ。」

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