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第八話「冬になった」
冬になった。
女の体は、良くなったり悪くなったりした。
良い日は、川沿いを歩いた。
悪い日は、部屋にいた。
男は、悪い日も傍にいた。
女はよく眠った。
眠りながら、夢を見ているようだった。
穏やかな顔をしていた。
「どんな夢を見ているんですか」と男は聞いた。
目が覚めてから、聞いた。
「川の夢」と女は言った。「火の夢」
「誰かと一緒の夢ですか」
「一緒の夢」と女は言った。「いつも、誰かと一緒」
「顔は見えますか」
「今は、見える」と女は言った。
「誰ですか」
女は男を見た。
「あなたです」と言った。
男は何も言わなかった。
女の手を握っていた。
「前の巡りでも」と女は言った。「あなたと会っていた気がします。川の傍で。火の傍で。鳥が飛ぶ空の下で。ずっと遠い時代に」
「そうだと思います」と男は言った。
「何度も離れてきた気がします」と女は言った。「また離れる気がします」
「この巡りで」
「この巡りで、また」と女は言った。「でも」
「でも?」
「また会う気がします」と女は言った。「次の巡りで」
男は女の手を握った。
離さなかった。
(第八話 了)




