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第四話「近づいた」
また会った。
一週間後、また川沿いで会った。
偶然だった。
あるいは、偶然ではなかった。
「また来たんですか」と女は言った。
「来ました」と男は言った。「あなたも」
「来ました」と女は言った。「なぜかここへ来たくなって」
「俺も」
並んで、川を見た。
水が流れていた。
「名前を聞いてもいいですか」と男は言った。
女は名前を言った。
男は名前を言った。
「不思議ですね」と女は言った。
「何が」
「名前を聞いた時、知っていた気がしました」と女は言った。「初めて聞く名前なのに」
「俺も」と男は言った。「あなたの名前を聞いた時、知っていた」
川が流れていた。
「夢を見ますか」と女は言った。
「見ます」と男は言った。「川が出てくる夢を」
女は男を見た。
「私も」と言った。「川と、誰かと並んでいる夢を」
「顔が見えない」
「顔が見えない」と女は言った。
二人は川を見た。
同じ川を、並んで見た。
夢の中で、ずっと並んでいた人に、会った気がした。
二人とも、そう思っていた。
口に出さなかった。
しかし、そう思っていた。
(第四話 了)




