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Time:Eater  作者: タングステン
第二・五話 番外編三
35/223

第01部

【2023年09月17日07時44分56秒】


 昨日は久し振りに音穏の家に行って音穏と色々と話せて良かった。月曜日、俺が湖晴の持つタイム・イーターの力を借りて音穏の過去を変えに8年前に行った時に、音穏の両親と約束した『音穏を守る』と言う台詞を果たす為の架け橋に取り合えずは出来たのではないだろうか。


 音穏には何かを少し勘付かれたみたいだったが、それでも俺は音穏の両親と約束した『音穏を守る』と言う台詞をこれからも果たし続ける。


 そう言えば、音穏のおじいさんがかなりの頻度で俺達の会話に入ろうとして来たが、まあ、そんな事はどうでも良いだろう。音穏は気にしていたみたいだが、俺はそんなに気にならなかったしな。


 それよりも、俺がこけて音穏を押し倒してしまったかに見える場面をカメラで撮られてしまったのだが、その写真が世の中に出回らない事を願う。これだけは音穏に任せるしかないな。


 取り合えず、この辺で昨日の一連の出来事の解説は終わろう。そして、今朝食卓にて俺と珠洲と湖晴の3人で朝食を食べ終わってすぐに、珠洲に話し掛けられた。ちなみに湖晴は皿洗い中(結局これくらいしか手伝える事が無かった)。


 昨日俺が音穏の家に行った事についてだろうか。でも、その件なら昨日の夕方に俺が家に帰って来た時に完結したはずだが。特に疾しい事はしていないのだが、それでも珠洲は俺の行動が許せないのか、いつもの様に正座をさせて怒って来た。何故か。


「おにいちゃん。今日射撃部の試合あるから見に来てね?」

「試合?」


 珠洲は射撃部に入っている。中学校で射撃部と言うのはそれなりに珍しい事だと思うのだが、珠洲はそんな環境の中でも充分に通用出来るだけの実力は持っているらしい。


 それで、今日はその射撃部の試合がある、と言うのだ。と言うか、射撃部って結局具体的に何をする部活なんだろうか。気になるな。妹の珠洲が普段している部活を見るのも、兄である俺の務めだろう。


「クラブって、中3は夏で引退するもんじゃないのか?」

「うーん、ほとんどの人は引退してるけど、私とか他数人の『受験楽勝組』は普通に参加してるよ?」

「そうか」


 それなら9月半ばである今でも珠洲がクラブをしていると言う事も頷ける。それにしても『受験楽勝組』って何なんだろうか。もう勉強する必要が無いくらいの学力を持つ人達だと言うのはそのネーミングから分かるが、珠洲はそんな中に入れているのか。まあ、珠洲は平凡な俺と違って出来が良いもんな。


「分かった。場所は何処なんだ?」

「あ、来てくれるの?やったー!えっとね、場所は・・・」


 珠洲はやけに喜んでいる。俺としても妹の喜ぶ姿を見るのは嬉しい。珠洲は普通に可愛いし、喜んでいる姿ならそれが更に倍増する。俺が珠洲の兄でなければ1つ屋根の下に住んでいる、と言うだけで惚れていたと言っても過言ではない。


 ・・・・・居候白衣天然少女の湖晴は例外だ。湖晴はそもそも過去改変が全部済むまでの間だけ『一時的に』居候しているだけだしな。


 ピンポーン。


 そして、珠洲が試合場所が書かれているのであろう紙を持って来ようとしている時、唐突にインターホンが鳴った。日曜日のこんな朝早くに?誰だろう?新聞は取ってないし、何かを宅配される物を頼んだ記憶も無い。


「ん?誰か来たぞ?」

「あ、じゃあ私出て来ますね」

「ああ、悪いな」

「いえいえ」


 すると、皿洗い中の湖晴が率先して来訪者を確認しに行った。こう言う時は特に湖晴がいると助かる。俺はまだ珠洲との会話は終わってないからな。湖晴は結局、昨日は何も手伝えなかったらしいが。


 それにしても一体誰だろう。俺は基本的には日曜日は1日睡眠デーなので、誰とも約束はしていないはずだし、そもそも俺には約束をする事が出来る様な友達がいない。一応約束くらいは出来る幼馴染みはいるが、つい昨日会ったばかりだし、約束した記憶もないのでおそらく違うだろう。


「次元ー!」


 前言撤回。


 湖晴が来訪者を見に行って10数秒後、玄関の方から音穏の声が聞こえた。何かあったのだろうか。俺はやや急いで玄関へと向かう。


「どうした、音穏?こんな朝早くから」

「急いで準備!早く!」

「?何を?」

「水着!」

「は?」


 何故水着?今は9月だぞ?流石に水関係は寒いだろう。よく見てみると、音穏の奥には阿燕もいて、2人共バッグを持っている。湖晴は全く驚いていないみたいだが、元々音穏から聞いていたのだろうか。


「ちょっと待て。全く状況が掴めないのだが、どう言う事だ?」

「かなり急だけど、今日は温水プールに行くよ!」

「それまた何で」

「今日は阿燕ちゃんのソフトボールの練習が無いから!5人で行こう!」

「音穏がどうしても『行こう』って言って来たからね。まあ、そう言う事」

「そう言う事も何も、今日は俺は珠洲の・・・」


 俺が『今日は珠洲の試合を見に行く』と言う意思表示をしようとしていた時だった。騒ぎを聞きつけたのか、試合会場の書かれているであろう紙が見つかったのか、玄関前に珠洲がやって来た。


「何の騒ぎ・・・・・って、茶髪リボン!?何でアンタが朝っぱらからここにいんの!?それと何か1人増えてるし!誰!?そこの金髪ツインテールは!」

「今日は皆で温水プールに行くんだよー。珠洲ちゃんも来るでしょ?」

「だから、珠洲は・・・」

「え・・・・・?ワタシ、今日は射撃部の試合が・・・」

「え?試合あるの?どうしよう・・・・・あ!もうこんな時間!バス間に合わないよ!ほら、急いで次元!」

「だから、ちょっと待・・・!」


 そして、俺は珠洲の試合を見る事が出来ずに湖晴、音穏、阿燕の3人に温水プールに連れて行かれた。もちろん、何も用意出来ていない。たまたま玄関に財布があったので拾って来たが、他には何も持っていない。


「悪い!珠洲!次は絶対に行くから、今日は行けな・・・ってちょっと待て、こら、音穏!引っ張るんじゃない!」

「おにぃちゃん・・・・・」


 俺は3人に連れて行かれる間際に、そんな珠洲の悲しそうな一言が聞こえた。俺は心から珠洲に申し訳なく思った。珠洲には悪いが今回ばかりは3人の実力行使によって、珠洲の試合を見には行けそうにない。本当にごめん、珠洲。


 だが、この時の俺は選択肢を誤った。ここはどんな手段を使ってでも、珠洲の方を選ぶべきだったのだ。まさか数日後、あんな事になると知っていれば・・・・・。


 そんな感じで俺と音穏と湖晴と阿燕は温水プールへと向かった。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


「じげーん!こっちこっちー!」

「上垣外ー」

「次元さーん!」


 どうしてこうなった。俺達4人はバスで市内の温水プールに来た。音穏と阿燕はあらかじめ水着を用意していたみたいだったが、俺は用意する時間が無く、湖晴はそもそも白衣とシャツ数枚しか服を持っていないので、施設内にあった水着ショップで買って来た。


 そして今現在、ほとんど客のいないこの温水プールで遊んでいると言う訳だ。と言っても、俺はそもそも来たかった訳じゃないし、過度な運動は睡眠欲が過剰になるのであまり運動したくない。だから、こうして俺だけプールサイドに上がっている。


「次元もこっち来てよー」

「せっかく来たんだし、遊んであげても良いわよー」

「あー、俺ちょっと飲み物買ってくるから適当に3人で遊んでてくれ。ちゃんと4つ買って来るから」


 俺はビーチボールを持つ女子達からエスケープする為、飲み物を買ってくる事にした。客は少なくても売店ぐらい開いているだろう。


「あ、じゃあ私も行くよ」

「え!?じゃ、じゃあ私が代わりに・・・」

「(これって私も『行く』って言った方が良いんでしょうか。流れ的に)」

「大丈夫だ。俺1人で行ってくるから」


 何でそんなに飲み物を買いに行きたがるんだ?この2人は。遊びたくて、わざわざ遠めの温水プールにまで遊びに来たんじゃないのか?


「じゃあ、ちょっと待って!上垣外!」

「どうした?阿燕」

「阿燕ちゃん?」


 俺が売店に向かおうとした時、プール内にいる阿燕に声を掛けられた。例のごとく顔は真っ赤だ。プールの中に入っているのに。ここの温水プールって銭湯みたいに熱いのか?俺はまだ入ってないから分からんが。


「上垣外と一緒に飲み物を買いに行く人を今から勝負で決めるから、ちょっと待ってて!」

「え?いや、別に俺は大じょ・・・」

「お、良いね!それ!2人には負けられないよ!」

「おい。勝手に話を・・・」

「これって私も参加した方が良いんでしょうか?」

「参加も何も・・・」

「もちろん!湖晴ちゃんにはこういう所で勝っとかないと!」

「・・・・・・・」


 あれ?俺、何かもういないものとして扱われている気がする。気のせいと思いたいが、それは紛れも無い事実だった。そんな事を考えていると、女子3人組による(謎の)勝負が始まった。


 見た感じは良く分からないが、多分ビーチボールを投げてその距離で勝敗が決する様だ。今は人が少ないから良いものを、混んでいたら絶対に出来ない競技だ。競技と言うよりは遊びだが。


 俺は暫くその協議の様子を見ていた。と言っても、投げる系の競技ならどう考えても阿燕が有利だろう。ソフト球とビーチボールだと感触が違うだろうが。阿燕の奴、策士だな。


 その間俺は暇なので3人の水着について解説しておくか。変態と勘違いされてもしらん。これは俺の心の声だからな、誰にも聞こえん・・・・・はずだ。


 まずは音穏からだ。何と言うか純粋に普通だ。地味とかではなく普通だ。オレンジ色の水着がそれなりに似合っていると思う。あと、男の俺が言うとただの変態台詞になるが、その・・・胸が・・・目立っている。と言っても、着てる服でこんなに変わる物だろうか。


 音穏とは幼い頃からの付き合いだが、こんなに音穏の事を意識した事は無かった。・・・・・いや、ちょっと待て。そろそろ止めておこう。俺が恥ずかしくなる。


 つ、次は阿燕か。流石はスポーツ選手と言った所だろうか、ほっそりとしている。もちろん、お腹が辺りや腰周りが、と言う意味だ。俺自身、阿燕と知り合ったのはつい3日前だが『この世界』では2年前から知り合っている事になっている。


 それに、今だから言える事もある。過去改変が成功して良かった。過去改変が成功していなければ、あんなに幸せそうな阿燕を見る事は出来なかっただろう。一応結論を言っておくと、普通に水着は似合っていた。ほっそりとした体にあっていると思う。


 最後は湖晴か。湖晴は何回も全裸で俺の前に現れているので、意識していなかったが、アレだな。さっき音穏でも充分に胸が目立っていたのに、湖晴はさらにその上を行っている気がする。


 本当に、今日がほとんど客がいなくて良かった。多分、この湖晴を他の男が見たら襲いかねない。つまり、そのくらい湖晴は胸が大きかった。まあ、もちろん変態などではない俺はそんな事はしないが。


 あと、ついさっき選んだばかりの水着にしては似合っている。湖晴自身の髪色と同じ様な青色の水着だ。それに、かなり肌の露出が多い。それとも、あれはただ単純にちょっと小さめなサイズなのだろうか?サイズが無かったのかな?施設内の水着ショップだったから。


 まあ、そんな感じで3人の水着の考察を済ませた俺は再び暇になった。だが、どうやらさっきの勝負とやらの勝敗が決した様で阿燕がプールを出て、プールサイドにいる俺の元に来る。よく考えたら、勝負に勝ったら飲み物を買いに行かないと行けなくなるからこれって罰ゲームなんじゃないのか?つまり、俺って残念賞?


「か、上垣外!行こ・・・?」

「よし。じゃあ、行くか」


 プールの中で阿燕を見届ける音穏と湖晴を背に、阿燕は俺に話し掛けた。まだ顔は真っ赤だな。負けたショックか、俺と行きたくないのかは分からんが、どちらにせよ俺と売店に行く気はあるらしい。


 ・・・・・あと、プールから上がったばかりの女の子って何か魅力的だよな、とか一瞬思ったが明らかにセクハラなので、俺はその思考を強制終了した。



 そして、俺と阿燕は売店へと歩く。それなりに離れているのでここからは見えないが。


「飲み物何買うんだ?2人には聞いて来た?」

「の、飲み物も良いけど、ちょっとその前に行きたい所があるんだけど・・・・・」

「行きたい所?」

「い、一緒に行ってくれる?」


 そんな事を、上目遣いで顔を真っ赤にした阿燕に言われた。男の俺としてはこの場合、行き先が分からなくても素直に一緒に行ってあげるべきだろう。それに、今のはいつもの真面目な表情と違って、普通に女の子としての可愛さが出ていたしな。


「ああ。構わないよ」


 俺は出来る限りの笑顔でそう答えた。


「うん!じゃあ、行こ!」


 それはそれは嬉しそうな表情で阿燕は喜んだ。女の子の嬉しそうな表情はこちらも何だか嬉しくなる気がする。そして、阿燕は俺の手を引いて、ほとんど人のいない温水プール内を走って目的地を目指す。


 そう言えば、目的地って何処なんだろうか。


~・~・~・~・~・~・~・~・~・~


 ・・・その頃[さっきのプール]


「結局阿燕ちゃんが勝ったね」

「そうですね。まあ、そんな気はしてましたが」

「それにしても、湖晴ちゃんもあとちょっとで阿燕ちゃんと同じだったじゃん。何処でそんなに練習したの?もしかして、何かスポーツとかしてた?」

「いえ、別に練習はしてないですし、スポーツも特にはしてませんでした。でも、だからと言って運動が苦手な訳でもないんです」

「へー、そうなの?でも、あの飛距離は凄いと思うよ」

「そうですか?ありがとうございます」

「ところで、湖晴ちゃん」

「・・・・・何でそんな怪しい表情をして両手を構えているんですか?」

「いやいや、今はここには私達意外にはいないでしょ?」

「いませんね」

「だからね・・・・・」

「?」

「もみもみ~」

「ーーーーーーー!!!!!!!」

「ほらほら~。抵抗は止めなさい~。私がほら・・・・・ふっふっふっ」

「音穏さん!ちょっと・・・・・待っ!ーーーーーーー!!!!!!!」

「湖晴ちゃんは大きくて、可愛いね~。もみもみ~」

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