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41.対決!! 地球人の代表者!(5)

「いつからお前は地球人代表になったんだぁぁ!」


ほとんどパニックになって、きっ子はカナタの胸ぐらをつかんだままブンブン揺さぶる。


「やはり説得は失敗だと確認できました。蓮川カナタの駆除を開始します」


慌ててきっ子は振り返る。ツクヨマの手には拳銃が握られていた。


「まだ、説得は終わっていない! 歯の二、三本折ってでもいうことをきかせるからっ!」


「まず、それを説得とはいいません。また、蓮川カナタが痛みから逃げるためにアンドロメダをあきらめると了承しても、脳に障害が発生する可能性があると認められれば、やはり記憶消去はできません。アンドロメダへの想いがここまで強いと判明したからには、駆除が妥当だと判断します」


ツクヨマが銃をかまえる。


「待ってくれ!」きっ子はカナタを隠すように両手を広げて、ツクヨマの前に立ちはだかった。


それにしても、想定外の展開だ。まさかカナタが死よりもアンドロメダを選ぶとは考えもしなかった。まともな思考回路ではない。どうすればいいんだと、きっ子は途方にくれた。


そんななかでも、ツクヨマが地球の武器を選択していたことは、まだ好材料に思えた。地球人より頑丈なきっ子は、拳銃なら数発くらっても致命傷にはならない。


だが、宇宙人技術のレーザー銃なら、カナタもろとも蒸発させられてしまう。なにせ最大出力にすれば、月を貫通させることもできるのだから。


「サイル・ト・ルー・キコ、警告です。そこをどいてください。さもないと撃ちます」


「残念だったな。地球の銃じゃあ、私は簡単に殺せないぞ」


「はい。蓮川カナタを駆除する場合、アナタが身を挺してかばうことは予想できていました。上司の勧めもあって、だからこそ地球の銃にしました。レーザー銃なら蓮川カナタごとアナタも殺してしまう。だけど、地球の銃ならアナタを殺さずに、無力化できます」


ぱんぱんと銃声が響いた。腹部に衝撃と激痛、きっ子は前のめりに倒れる。同時に優子の悲鳴が響いた。


「サッキー!」カナタが腹部にハンカチを押し当てる。


地球の拳銃ごときで、大量出血していた。運の悪いことに二発の弾丸は、まったく同じ場所にヒットしてしまったようだ。おかげできっ子の頑丈な皮膚を突き破り、弾が身体の深部にまで届いてしまった。


それでもなんとか、きっ子は顔を上げる。銃口がカナタの顔面をとらえていた。


「待て!」そういったつもりだが、声は出ていなかった。


再び銃声が響く。


だが、それは天井に向けられていた。ツクヨマは発射の直前で、向きを変えたのだ。


どうやら処刑はブラフで、一芝居打ってくれているのだろうか? そうならそうと事前にいってくれれば、本当に撃たなくても痛がる芝居ぐらいはできたものを……。


ゼーゼーと喘ぎながらきっ子は恨みがましくツクヨマを見るも、どうやら推測とは違うようだ。ツクヨマは片手で半分の顔を覆い、酷く苦しそうな顔をしていた。こんな表情のツクヨマは初めてだ。


いや、この表情は……。


「未來!」そういったのは、カナタだった。


「か、な、たさ、ん」いいながら未來は、スカートのポケットからエラルドを取りだした。そして、叫ぶ。「どこか遠くへ!」


窓ガラスに映したかのように未來は薄くなり、数秒後には消え失せた。


「AIが本体を支配するなんて……セキュリティ上あり得ない……」きっ子はかすれ声で呟く。


「救急車だ、優子!」カナタの切羽つまった声が聞こえた。


直後にドアの向こうから、部活中の生徒の声がもれだした。どうやら、ツクヨマがいなくなったことで空間操作は解けたようだ。


「待って……安易に病院に行くと……私の正体が……」


「じゃあどうすればいいの!?」


「ピンク屋に電話する」と早口で返したのは優子だ。「今起きたことを整理すると、ピンク屋も宇宙人じゃないと成立しない。それでいいよね? サッキー」


「ああ」と呻きながらも、感心した。さすが優子だ。宇宙人の存在を認めてしまえば、頭の回転は抜群に早い。


優子が電話越しになにかやり取りしていたが、頭がぼんやりとしてあまり聞き取れなかった。


寒い。血を流しすぎたせいか……。


いつのまにやら、カナタと優子に両肩を抱えられて、校庭を進んでいることに気づく。少し意識を飛ばしていたらしい。部活をしている生徒たちから、悲鳴にも近いざわめきがあがった。


そういえば、視覚操作も切ったままじゃないか……。


演劇の練習中です! などと繰り返す優子の声が聞こえた。なんとか取り繕ってくれているようだ。


体重のほとんどをカナタと優子に預けたまま、校門にたどり着くと、黒い大きな車が停めてあった。そこから二人の男が出てきた。


一人は知った顔だ。たしか……。


「チチ! なんでここに?」


隣にいるはずのカナタの声が遠くに響く。

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