L.P.5 百鬼夜行
「ジャックくん、これは僕からの依頼だ…謎の愉快犯フェイタルを見つけ出して欲しい」
アーサーさんの目がとてつもなく怖かった。
「わかった。お前がここまでキレることをアイツはやらかしたんだろ?」
「あぁ、僕はあいつに地獄を見せなければならない。」
「ほう?フェイタルに地獄を見せるとな…ならば先に拙者の手でその首落とさねばな…」
事務所の電気が消えた。暗闇の中にゆらゆらと燃える刀が1振アーサーさんの首をめがけた。
「させません!〔忘却の最果てへ〕」
エアさんの背後から狼が飛び出し刀をかち割った。
「防ぎきるか、小娘…」
カチッ、暗闇の中から微かに音がした。
「まずい、銃だ!」
僕は、咄嗟に叫んだ。
バンッ、バンッ、バンッ、バンッ、4度銃声が響いた。
僕は〔共振する地の精霊〕で、エアさんは、さっき召喚した狼が、アーサーさんは自身の剣で弾丸を防いだ。でもジャックさんに銃弾を防ぐ能力を持っていなかった。部屋の電気がついた。僕達の目の前でジャックさんは、壁に寄りかかり、肩を負傷していた。
「貴方、いったい何者なんですか!!」
エアさんの叫び声が事務所の中に響き渡った。
「良いだろう。拙者の刀を折り、銃弾を防ぎきった相手に名乗りを上げないのは、拙者とて好ましくはない。親方に偽名を使えと命令されているため、真名は明かせぬが、その代わりに、親方から閻魔と素晴らしい名を頂いている。おい、そこの坊主、お前さんが口にしたフェイタルも拙者と同じ親方に遣える同胞だ…今のうちに排除しておきたいが、運が良かったな。弾切れだ」
閻魔と名乗る男は足元に広がった闇に消えた。
「ジャックさん!ジャックさん!!」
「なぜだ、あいつの弾は確かに肩に当たったはずだ、ジャックくんのような魔法使いなら弾丸の1発や2発急所に当たらなければ意識を保つ事が出来るはずなのに…」
ジャックさんが救急車で搬送されて行った。それから何分経ったのだろうか、事務所のドアが開き1人の男が入って来た。ヴィクターさんだ。
「すまない、少々遅れた…」
ヴィクターさんは鞄から本を2冊取り出した。紫色の本と緑色の本だ。
「今回、君達を襲い、ジャックのやつをリタイアまで追い込もうとしている閻魔と名乗る男の魔法は、自らの武器に東洋のクリーチャーの力を宿らす。いや、時村君がいるなら、妖怪の力と言うべきだな…」
ヴィクターさんが紫色の本を僕達に向ける
【〔百鬼夜行〕】
「恐らく彼の弾丸には相手を夢に落とす力が籠められていると見て良いだろう…」
「夢…ですが、ヴィクターさん、オブリビオンを使ってもジャックさんは目覚めませんでした…」
「あくまでも、彼の能力は武器に妖怪の力を付与するだけだ。眠りの効果は妖力によるもので、魔法とは根本が異なっているからだろうね」
「つまり、僕達があいつを倒さない限りジャックさんが目を覚ますことは無い…」
「そんな…」
「そして、この魔道書を見てくれ。」
【〔毒で踊らす人形劇〕】
「対象に自身の毒を盛ることで相手を支配下に置く能力だ。」
「コイツがフェイタルの野郎の能力か、操られているなら、オブリビオンやスペルオブディストラクションで解除出来るな…」
「いや、そうはいかない。制御を失った毒はいったいどうなると思う?」
「まさか…」
「その通りだ、下手したら操られている人が死ぬだろうな」
「つまり、閻魔とフェイタルの両方を打ち倒すしかない」
「その通りだ、俺もしばらくここの事務所に留まるつもりだ」
ここから、僕の旅はとても厳しいものになるだろう。そんな予感が頭をよぎる。
どうも作者です。
フェイタル、閻魔と名乗る男達はいったい何者なのか、何を企んでいるのか。今後の展開にご期待ください。




