lost World 間章
「改めて見るととてつもなく大きいね」
「実は中はほとんど空洞なのよ?」
僕らはセイファート内部へ入った。雷狩が言った通り空洞の内部をしており、メインプログラムが位置する上層部へは太い根が邪魔しており、突破るのは安易では無さそうだ。
「ようこそ皆様、私はセイファート。人類最高の演算機であり人類最悪の演算機でございます」
ノイズが混じった音声が幹の中に響いた。
「セイファート…」
「皆様は存在に値する人間でしょうか?」
ザーッザーーーッ
ノイズが酷い、目眩がする。
気付けば快斗と雷狩がいない。
雪だ、雪が降っている。ここは…
「冬のロンドン…?」
「避けろ…俺から…俺から離れろ」
「え?」
掠れた男の声が小さく聞こえた。
頭の横を1本の矢が通り過ぎて行く。
僕は恐る恐る振り返った。
「どうして…」
この声、あの弓矢、今でもよくわかるさ。ボロボロの布を見に纏い、ミイラの様に痩せ細ってもだ。
「ジャックさん…」
「よぉ、航琉、いつぶりだろうな…」
「どうして…どうしてなんですか…」
「俺はお前らに別れの言葉が言いたかった。でもな、今の俺は蛇蝎だ、人を傷つける事しか出来ないんだ。こんな結末、だれが望んだってんだ」
セイファートの幻影だって事はとっくにわかってる。でも、僕はこの男を救ってやりたい。
「俺は全力でお前に襲いかかるだろう、そしたらお前は全力を持って俺を打ち倒せ」
「わかりました…それでは、手合わせ願います。所長」
雪がこんこんと雪が降る。ヘイルに行った時の思い出が鮮明に浮かんでくる。
事務所の前の通り道で2人が静かに睨み合う。
遠くに見えるビックベンが深夜0時を指す。
〔共振する大地の武具〕/〔魔力崩壊の雨〕
ジャックさんの能力をこう、まじまじと見るのは初めてだった。
無数の矢が降り注ぐ雪と共に降り注ぐ。
「盾を作ろうが、武器を作ろうが、矢に当たった瞬間に壊される。だったら!」
〔永久の羅針盤•雷砲帝〕
「甘めぇ!」
〔気焔散花-冠-〕
燃え盛る炎の剣が雷砲帝を切り裂いて見せた。香留菜の冠と比較にならない威力だ。
〔記憶の中の探偵事務所〕
「エア、アーサー、お前たちの力、借りるぞ」
〔煌めきの神罰〕
ジャックさんの剣が斧へと変わり、目映い煌めきを放っている。
多分あの能力には自身への再生能力付与よ技の再現も備わっているんだろうな。
「結晶の斧ねぇ…」
この剣の使い道、顕現以外にあったんだな。
「新技、初披露ですよ!」
そう言って僕は腰に携えた剣を取り出した。
「この輝きは未来を掴む輝き、たとえその力が呪いによって生まれた物だとしても、僕はは手を伸ばし、勝利を我が物のとする。厳粛の鎧よ、今僕の呼び声に応えよ!〔希望の白亜〕」
〔希望の白亜〕
それは〔原罪の黄金郷〕と対をなす光の鎧。掴むべき未来を示す光である。
「なぁ、友よ、お前の形見が今僕の孫に進むべき道を照らしたぞ。煌めきの禁断と恐れられたお前が最後の力を振り絞って愛用した剣に込めた白亜の魔法は、教師として黒板に向かってチョークを手に取りたいというお前の夢の具現化のようだね?」
「この力は言わば世界の訂正、間違った物を本来の在るべき姿に戻す力です!」
「来い!航琉!!」
剣と斧、どちらの切れ味の方が強いかの勝負。雪の降るこの街にもう彼がやるべき依頼は残っていなかった。
「流石だな航琉、見ないうちに腕を上げて…」
「何言ってるんですか、ジャックさん、能力の再現を使わなかったじゃないですか」
「バレた?」
「はい」
「即答は止めてほしいな…おっと、そろそろ時間だな」
ゆっくりと彼はポッケから取り出した物を僕に渡した。
「これは?」
「前の所長が昔くれたやつでな。所長の証とでも言おうか…」
つたない花の絵が描かれた缶バッチだ。
昔僕と香留菜兄が描いて父さんにプレゼントしたやつだ。
「こっちの世界でも大切に持っていてくれたんだ…」
「時村航琉、今日を持ってお前を3代目探偵事務所オブシディアンの所長とする」
「えっ…それって…」
僕が答を訊く前に既に目の前はセイファートの幹の中だった。
「どうした?そんな不思議そうな顔して」
「いや、何でもない。それよりあの根をどうにかしないとな…」
「あの根?どれの事だ?」
「あの道を塞いでる太い根の事だけど?」
「そんな物無いわよ…?」
「ちょっとプレッシャーで頭おかしくなったか?」
「そうか…じゃぁ、先に進むか」
コラム
〔希望の白亜〕(クオークキモリア)
•使用者 時村航琉
•能力 本来存在しない筈の物体を正しい姿に導く力
ジャック•ホーソン(オブシディアン)
•セイファートの幻影によって産み出された存在
•〔煌めきの神罰〕(マルマリュギカタディキ)はエアとアーサーの能力を合体させたものである。
煌めきの禁断
•優斗の根源世界の住民
•名前「白亜 剣」(はくあ つるぎ)
•マギアフレームの没主人公&没世界線を再利用
•11体の禁断種と呼ばれる存在が各々の存在証明を掛けて闘うストーリーの主人公の予定
•剣は第6の禁断である




