モンスターとの共存
ある日、国からお触れが出た。
これからはモンスターと共存する時代です! ……だそうだ。
そんなお触れが出てから少しの間は平和だったが……。
ついに先日、俺の住む長屋の両隣に、それぞれモンスターの住居人がやってきた。住居人という表現も変だが。
左の部屋にはゲコゲコやかましく鳴くでかいカエルのモンスター、ジャイアントフロッグ。
右の部屋には残飯やら汚物やらを捲き散らかす鳥女のハーピー。
長屋の真ん中で迷惑をかけないよう慎ましく暮らす俺の気など知らず、好き放題に生活を始めた。
俺は毎日寝不足で働きに出かけ、帰って来るたびに増えているゴミや汚物にうんざりする。
これからはモンスターと共存する時代、か……。
はっはっは。
……出来るか! 共存なんて! お偉い連中にはお前らが率先してやってみろと言いたい!
……いや、そういやお偉い連中もすでに共存してたな……サキュバスとかネコマタとかと笑顔で握手したり抱き合ってる姿を見たことがあるぜ。
ふざけんな! 格差がありすぎるだろ!
うちの隣にもそういう連中を寄こせ!
せめてラミアとかスキュラみたいな綺麗どころが来てくれたらまだ我慢できるのに!
なんでやかましいカエルなんだよ。
なんで糞をばらまく鳥女なんだよ。
ああああああ今日もうるさいし臭いし汚いし、どうしてこうなった!?
もう我慢の限界だ……あいつら何度言っても生活態度を改めねえ……。
……そうか。俺もモンスターになればいいんだ。
それが共存ってやつなんだろ! 国が理想と掲げることなんだろ!
俺は家に転がっていたハンマーを手にし、さっそく左隣の玄関ドアをノックした。




