スキルをもらえなかったモンスター
創世の時。
一人の美しい女神を前に、多くのモンスターたちが並んで列を作っていた。
「はい。あなたには毒のスキルを与えるわ」
女神からスキルをもらったモンスターは列を離れ、次のモンスターが先頭にやってくる。
「あなたには飛行のスキルをあげる!」
初めての世界創りを仰せつかって上機嫌の女神は、てきぱきとスキルを与えてゆく。
毒。飛行。擬態。罠。歌唱。装甲……。
スキルをもらったモンスターたちは大喜びだ。きゃっきゃと騒ぎながら空を飛んだり、誰しもが聞き惚れる素晴らしい歌声を披露したりしている。
列に並ぶモンスターの数もどんどん少なくなっていき、最後のモンスターの番がやってきた。しかし、その瞬間女神の顔が真っ青になる。
「あ、あら? ご、ごめんなさい……どこで間違えたのかしら。あげるスキルが残ってないわ……モンスター一体につきスキルひとつって決まりなのに……どうしよう……このままじゃ怒られちゃう……」
ショックを受けたのはそのモンスターも同じである。自分だけがスキルをもらえないのかとクレームをつけ始めた。
騒ぎが大きくなって上司に伝わったら敵わない。女神は取り繕うようにこう言った。
「じゃあ、こうしましょう! あなたにはスキルを与えない代わりに、他のモンスターのスキルを奪って使うことができるようにするわ。うん、これで一件落着よね!」
慌て者の女神は、これですべて解決とばかりに満面の笑みを浮かべる。
こうして最悪の簒奪者が誕生したのだ。
そのモンスターの名はニンゲン。




