走馬灯
これまで日々の忙しさに追われて生きてきたが……終わってみるとあっけないものだな……。
さすがに体も動かせなくなってきた……明日は、もう目覚めることはなさそうだ……。
でも最期に妻だけでなく、遠くに嫁いだ娘も孫も来てくれた……もう思い残すことはない……これで安らかに……。
『チャーラララララー……』
……うん? なんだこの曲は?
『テーテーテーテーテテー……』
お、俺の頭の中から聞こえる……? それに何か情景が見えてきた……まさか、これが走馬灯ってやつなのか?
『長い人生、おつかれさまでした。今からあなたの人生を振り返ってみましょう』
え……えええ?
『あなたは村に生まれ、健やかに成長。やがて剣士という道を選びました……』
俺の若い頃の姿だ……本当に走馬灯みたいだな……。
『近くの街に行くことはなく、村の周囲でモンスターを退治し、村人たちから感謝されていました』
おう。村での生活はちょっと退屈だったが、みんなの役に立てたと思うと悪くはなかったぜ。
『そしてあなたは村の娘である一人のヒロインと結ばれましたね』
はは、俺の愛する妻だ。これは五十年くらい前の姿か? 若くて可愛いな。
『彼女のヒロインランクは……Cです』
……は?
『彼女を選ばずに村を出て街に行けば、あなたは街にいる素敵なヒロインたちと出会うことができました……この子たちのランクはBやA、さらにSまでと、よりどりみどりでした』
……こ、こんな美人たちと俺は結ばれたかもしれないのか!? い、いや……俺は妻と愛し合っていた! それだけで十分なんだ!
『さらに、もしトゥルールートに入ることが出来れば、あなたは真のヒロインと結ばれることも可能だったのです……でも、あなたはそこに辿り着けませんでした』
こ、これが真のヒロイン……! まさにSSSランクだ! ちくしょう、なんで俺はそのトゥルールートに行けなかったんだ!! うう……今となっては俺の妻だった女が色あせて見える……。
『さて……それでは最期に……あなたの人生の攻略度を数値で示してみましょう』
やめろ……やめろおおおおおおおおおおおおおお!!
『あなたのイベント達成率は……37%でした』
うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!
『色々と取りこぼしちゃいましたね……次回、頑張りましょう。もっとも、次回が巡ってくる保証はどこにもありませんが……』
あ……あ……あ……。
~fin~
「お、おじいちゃん、すごい形相になってるよ……昨日まではあんなに安らかな寝顔だったのに……」
「ほんとね……最期に怖い夢でも見たのかしら……」




