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三人で初めての仕事

第7話です。


セリア、レオン。


二人の才能を見つけた直人は、ついに三人で仕事を始めることになります。


それぞれ違う才能を持つ三人。


まだ出会ったばかりの彼らが、果たして一つの仕事を成功させることができるのか。


「人財を組み合わせる」


直人の考えが、初めて形になり始めます。


どうぞお楽しみください。

レオンが仲間になってから、翌日。


「……本当に、この三人で仕事をするんですか?」


 セリアが、少し不安そうに俺を見る。


「はい」


「でも、私たち三人とも戦闘が得意というわけでは……」


「だからいいんですよ」


「え?」


 俺は一枚の依頼書をテーブルに置いた。


「昨日、ギルドで見つけました」


 依頼内容は、近郊の森にある薬草の調査と採取。


 報酬は銀貨十枚。


「薬草採取なら、レオンの得意分野ですよね」


「はい」


 レオンが頷く。


「セリアには、採取した薬草の状態を見てもらいます」


「私が?」


「魔法や魔道具の知識がありますから」


「薬草は、あまり詳しくないですけど……」


「じゃあ、勉強しましょう」


 俺は依頼書を指で叩いた。


「そして俺は、二人が安全に仕事ができるようにします」


「……直人さんは何をするんですか?」


 セリアが首を傾げる。


「経営者ですから」


「それだけですか?」


「それが一番大事なんですよ」


 セリアとレオンが顔を見合わせる。


 どうやら、まだ納得していないらしい。


 まあ、無理もない。


 俺自身、まだこの世界で何ができるのか分かっていない。


 それでも、ひとつだけ分かっている。


 人を活かすには、その人が力を発揮できる場所を作る必要がある。


 そのためには、まず仕事が必要だ。


「じゃあ、行きましょう」


 俺たちは王都を出た。


 森までは徒歩で一時間ほど。


 しばらく歩くと、レオンが突然立ち止まった。


「……待ってください」


「どうした?」


「この先、魔物がいます」


 俺は目を凝らした。


 何も見えない。


「分かるの?」


 セリアが驚く。


「はい。鳥の鳴き声が止まりました」


「それだけで?」


「それと、風の流れが変です」


 レオンが周囲を見る。


「たぶん、右側に三匹」


 俺には何も分からない。


 だが、レオンがそう言うなら従う。


「じゃあ、迂回しましょう」


「え?」


 セリアが驚いた。


「戦わないんですか?」


「必要ありません」


「でも、依頼は……」


「魔物を倒すことじゃない。薬草を採ることです」


 レオンが少しだけ笑った。


「……分かりました」


 森の中を進む。


 しばらくすると、レオンが足を止めた。


「ここです」


 地面を見る。


「これが依頼の薬草です」


 小さな青い葉。


「こんなところに……」


 セリアがしゃがみ込む。


「似た植物が多いので、見分けるのが難しいんです」


「でも、レオンは分かる」


「はい」


 レオンが手際よく薬草を採取していく。


 無駄がない。


 根を傷つけないようにしながら、必要な分だけを取っている。


「すごいですね」


 セリアが感心する。


「これくらいしか、できませんから」


 レオンは照れたように笑った。


 俺はその言葉を聞いて、少しだけ気になった。


「レオン」


「はい」


「それ、もう言わないでください」


「……え?」


「『これくらいしかできない』っていう言い方」


 レオンが黙る。


「今の仕事を見ていたら、俺には十分すごいことに見えます」


「……」


「自分で自分の価値を決めなくていいですよ」


 レオンはしばらく黙っていた。


 やがて、小さく頷く。


「……はい」


 そのときだった。


 森の奥から、何かが動く音がした。


 レオンの表情が変わる。


「来ます」


「魔物?」


「……さっきの三匹じゃありません」


 ガサッ。


 茂みが大きく揺れる。


 次の瞬間――。


 巨大な狼のような魔物が姿を現した。


「グルル……」


 セリアが杖を構える。


「直人さん!」


「待って」


 俺はレオンを見る。


「何か分かる?」


 レオンは魔物をじっと見つめた。


「……怪我しています」


「え?」


「右前足です」


 よく見ると、確かに血が流れている。


「だから、俺たちを襲おうとしているんじゃない」


「どういうこと?」


「警戒しているだけです」


 レオンがゆっくり一歩前へ出る。


「危ない!」


 セリアが叫ぶ。


 しかし、レオンは止まらなかった。


「大丈夫です」


 そして、静かに手を差し出す。


 魔物は唸っている。


 それでも――。


 レオンは動かない。


 しばらくすると、魔物がゆっくりと頭を下げた。


「……すごい」


 セリアが呟く。


 俺も驚いていた。


 鑑定結果には表示されていなかった。


 レオンの本当の才能は、まだ別にあるのかもしれない。


 俺はそんな予感を抱いた。


 そして、この小さな森での仕事が――。


 俺たち三人の未来を大きく変えることになるとは、このときまだ誰も知らなかった。

第7話を読んでいただき、ありがとうございます。


今回から、直人・セリア・レオンの三人で仕事に挑みます。


一人ではできないことも、違う才能を持つ人が集まればできることがある。


それが、直人の考える「人財屋」の原点です。


ここから三人がどんな仕事に挑み、どんな人財と出会っていくのか。


少しずつ物語を広げていきます。


引き続き楽しんでいただけたら嬉しいです。


Amane

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