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新しい依頼

王都中央商会から、新たな依頼が舞い込みます。


今回は、単純な人材採用ではありません。


必要なのは、組織そのものを考えること。


直人たちは、新しい領域へ踏み出します。

 翌朝。


 人財屋の机の上には、昨日届いた商業組合からの依頼書が置かれていた。


 俺は何度も内容を読み返していた。


「……これ、本当に俺たちに?」


 エドが頷く。


「はい。正式な依頼です」


 依頼主の名前は――王都中央商会。


 これまで俺たちが関わってきた商店とは、規模が違う。


 王都でも有数の商業組織。


 そこから、人財屋に相談が来ていた。


「依頼内容は?」


 セリアが尋ねる。


 俺は紙を読み上げた。


「新規事業の立ち上げに伴う人員配置」


「新規事業?」


「ああ」


 さらに下へ目を通す。


「採用だけじゃない。責任者の選定、部署の構成、教育まで相談したいらしい」


 レオンが口笛を吹いた。


「ずいぶん大きな話になったな」


「だからこそ、慎重にやろう」


 俺は依頼書を机に置いた。


 今までの仕事とは違う。


 人を一人紹介するだけでもない。


 組織そのものを見る仕事だ。


 昔、経営者としてやっていたことに近い。


 だが――。


 今の俺には、あの頃にはなかったものがある。


 人財鑑定。


 そして、ここまで一緒にやってきた仲間たち。


「直人」


 凛が声をかけてきた。


「私も行っていい?」


「ああ」


「ありがとう」


 凛は嬉しそうに頷いた。


 ただ、今回は王城の人間としてではない。


 人財屋の一員として。


 そういう形で同行してもらうことにした。


 俺たちは中央商会へ向かった。


 王都の中心部。


 大きな建物が並ぶ通りの一角に、その建物はあった。


「……大きいですね」


 セリアが見上げる。


 俺も同じ感想だった。


 人財屋の店とは、比べものにならない。


 中へ入ると、すぐに受付の女性が近づいてきた。


「人財屋の皆様ですね。お待ちしておりました」


「はい」


「こちらへどうぞ」


 通されたのは、広い会議室だった。


 そこには数人の男女が待っていた。


 中央に座っていた男性が立ち上がる。


「お忙しいところ、ありがとうございます」


「こちらこそ、お声をかけていただいてありがとうございます」


 互いに挨拶を交わす。


 そして、男性が資料を開いた。


「今回、新しい事業を始めることになりまして」


「はい」


「ですが――」


 男性の表情が曇った。


「誰を責任者にすればいいのか、決められないのです」


 俺は資料を見る。


 候補者は五人。


 全員、実績はある。


 能力も高い。


 普通なら、その中から最も優秀な人物を選ぶだろう。


 だが。


 俺は資料だけでは判断しなかった。


「五人の方と、直接お話しさせてもらえますか?」


 男性が少し驚いた。


「全員ですか?」


「はい」


「分かりました」


 そして、最初の候補者が入ってきた。


 俺は立ち上がって挨拶する。


「よろしくお願いします」


「こちらこそ」


 握手を交わした瞬間。


 視界が切り替わった。


 ――人財鑑定。


 能力が浮かび上がる。


 営業能力:A


 交渉能力:S


 統率能力:B


 教育能力:C


 組織管理適性:B


 そして、その下に。


 今まで見たことのない項目が表示された。


 俺は思わず目を細めた。


「……これは?」


 初めて見る能力。


 そこに表示されていたのは――。


 「事業創造適性:S」


 俺は候補者の顔を見る。


 この人は。


 ただの管理者ではない。


 何もないところから、新しいものを作れる人間だ。


 その瞬間。


 今回の依頼が、ただの人員配置ではないことに気づいた。


 これは――。


 人財屋そのものが、次の段階へ進むための仕事になるかもしれない。


 そして。


 俺の人財鑑定にも。


 新しい変化が始まっていた。

第二章も、少しずつ「人を探す」から「人を活かす」方向へ進んできました。


今回の依頼では、これまでとは違った人財鑑定の可能性も見えてきます。


直人自身の成長にも繋がる仕事になっていきますので、ぜひ続きをお楽しみください。


Amane

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