再会の、その先へ
再会した二人。
しかし、再会は終着点ではありませんでした。
異世界で再び出会った二人が、それぞれの今を語り合います。
そして直人は気づきます。
再会は、新しい始まりなのだと。
凛と再会してから、しばらく。
俺たちは、誰も言葉を発することができなかった。
セリアも、レオンも、エドも。
ただ、俺と凛を交互に見ている。
「……直人」
「うん」
「本当に……直人なんだよね?」
「ああ」
俺は苦笑した。
「俺も、最初は信じられなかった」
「私も……」
凛は目元を拭った。
その仕草は、昔と何も変わっていない。
だけど。
俺たちはもう、日本にいた頃の俺たちではない。
それぞれ、この世界で別の時間を生きてきた。
「凛は……どうしてここに?」
「それは……」
凛が言葉を止めた。
少し迷ったあと、ゆっくり口を開く。
「私も、この世界に来たの」
「……やっぱり」
予想していた。
それでも、実際に聞くと胸に響く。
「気づいたら王城にいて……」
「王城?」
レオンが驚いた顔をする。
凛は小さく頷いた。
「私は、この国では少し特殊な立場になってる」
「特殊な立場?」
「……勇者として」
店内が静かになった。
セリアが目を丸くする。
エドも言葉を失っている。
俺だけが、すぐには反応できなかった。
「勇者……」
「うん」
凛は苦笑した。
「自分でも、まだ実感ないけど」
俺は凛を見る。
日本にいた頃の彼女からは想像もできない肩書きだった。
だけど、不思議と納得もしていた。
凛は昔から、芯の強い人だった。
困っている人を見れば放っておけない。
自分より誰かを優先する。
そういうところは、今も変わっていないのだろう。
「直人は?」
「俺?」
「どうやって、この世界で生きてきたの?」
俺は少し笑った。
「色々あったよ」
そして、店内を見渡す。
「最初は何も分からなかった」
「……うん」
「でも、セリアやレオンと出会って、人財屋を始めて……」
隣でセリアが微笑む。
レオンも照れくさそうに頭を掻いた。
「今は、ここが俺の居場所になってる」
凛は、その言葉を聞いて店内を見渡した。
小さな店。
机。
書類。
仲間たち。
そして、直人。
「……そっか」
凛が微笑んだ。
「良かった」
「え?」
「直人が……ちゃんと居場所を見つけてたから」
その言葉に、胸が少し熱くなった。
俺は、この世界に来てからずっと考えていた。
自分は何のためにここに来たのか。
なぜ、こんな能力を持っているのか。
そして。
元の世界に戻れるのか。
答えはまだ何一つ分からない。
だけど――。
今の俺には、ここで守りたいものがある。
「凛」
「うん?」
「これから、どうする?」
凛は少し考えた。
「私も……分からない」
そして、まっすぐ俺を見る。
「でも、もう一度会えたから」
凛は小さく笑った。
「今度は、簡単に離れたくない」
その言葉に、俺は何も返せなかった。
ただ。
「……そうだな」
それだけを返した。
するとセリアが、少しだけ笑いながら口を開く。
「直人さん」
「ん?」
「再会を喜ぶのはいいんですけど……」
セリアが机の上の書類を指差した。
「今日の仕事、まだ終わってませんよ」
「……」
レオンが吹き出した。
「ははっ! セリア、容赦ないな」
「仕事は仕事ですから」
凛も思わず笑った。
俺も笑う。
――なんだろう。
昔の俺にはなかった光景だった。
凛がいて。
セリアがいて。
レオンがいて。
エドがいる。
そして、この場所がある。
俺はふと、思った。
もしかしたら。
この世界に来た意味は、まだ分からない。
でも。
これから見つけていけばいいのかもしれない。
そのためにも――。
「よし」
俺は立ち上がった。
「まずは仕事を片付けよう」
凛が笑う。
「うん」
その笑顔を見ながら、俺は思った。
再会は、終わりじゃない。
ここからまた――。
新しい時間が始まるのだ。
今回は、再会した二人がそれぞれの現在を知る回です。
日本にいた頃とは、二人とも違う人生を歩んでいます。
だからこそ、これからどんな距離感になるのか。
焦らず、少しずつ描いていきたいと思います。
Amane




