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新しい仲間

第二章 第23話】

人財屋に、新しい仲間を迎えることになります。

これまでとは少し違った才能を持つ青年・エド。


自信を持てない彼が、直人たちと出会うことでどう変わっていくのか。

新しい仲間の物語が始まります。

 人財屋の朝。


 机の上には、何枚もの応募書類が並んでいた。


「……思ったより多いですね」


 セリアが驚いたように言う。


「十人以上必要ですからね」


 レオンが書類を一枚ずつ確認している。


 商業組合からの依頼。


 それに加えて、人財屋そのものの仕事も増えている。


 もう、三人だけでは限界が近かった。


「ただ、人数を増やせばいいわけじゃありません」


 俺は書類を眺めながら言った。


「この人は商店向き。この人は裏方。この人は交渉役……」


 能力だけを見るのではない。


 性格。


 経験。


 本人が望んでいること。


 それらを合わせて考える。


 それが人財屋の仕事だ。


 そして、一枚の書類で手が止まった。


「この人……」


 名前は、エド。


 二十代半ば。


 元商会勤務。


 職歴は短い。


 特別な資格もない。


 一見すると、目立った特徴はなかった。


 だが――。


《人財鑑定》


 能力が浮かび上がる。


【分析能力:A】


【事務処理能力:A】


【危機察知能力:S】


 そして最後に――。


【組織管理適性:S】


「……面白い」


「どうしました?」


 セリアが覗き込む。


「この人に会ってみましょう」


 午後。


 エドが人財屋を訪れた。


「初めまして」


「桜井です」


「よろしくお願いします」


 エドは緊張した様子で頭を下げた。


「前の商会を辞めた理由を聞いても?」


「……自分に自信がなくなったからです」


「何があったんですか?」


「仕事をしていると、周りから『遅い』『役に立たない』と言われることが多くて」


 俺は黙って聞いた。


「でも、仕事内容を聞く限り、あなたは仕事が遅いわけではありません」


「え?」


「一つの作業を正確に処理することに向いている」


 エドは驚いた顔をした。


「ただし――」


 俺は続ける。


「あなたは、人から指示されるだけの仕事より、全体を見て問題を見つける仕事の方が向いています」


「僕が……?」


「はい」


 エドの表情が少し変わった。


「人財屋で働いてみませんか?」


「……僕がですか?」


「あなたの力が必要です」


 しばらく沈黙が続いた。


 やがてエドは深く頭を下げた。


「お願いします」


 こうして――。


 人財屋に、初めての新しい仲間が加わった。


「四人になりましたね」


 セリアが嬉しそうに言う。


「ええ」


 俺は事務所を見渡した。


 たった四人。


 でも、昨日までとは違う。


 組織になり始めている。


 その頃。


 王都へ向かう馬車の中。


 凛は窓の外を眺めていた。


 王城を出る許可を得た。


 ほんの数時間だけの外出。


 それでも、凛にとっては大きな一歩だった。


「……直人」


 名前を口にする。


 まだ会う覚悟はできていない。


 でも、会いたい。


 ずっと探していた。


 だから――。


「少しだけでも、顔を見られたら……」


 馬車が王都の中心部へ入る。


 人通りが増えていく。


 商店。


 冒険者。


 職人。


 そして――。


 道の先に、一枚の看板が見えた。


『人財屋』


 凛の視線が止まる。


「……」


 馬車がゆっくりと、その前を通り過ぎていく。


 凛は振り返った。


 けれど、そこに直人の姿はなかった。


 まだ――。


 再会の時ではない。


 ただ。


 距離は、もう目と鼻の先まで縮まっていた。

新しい仲間、エドが登場しました。


人には、それぞれ得意なことがあります。

ただ、それを自分自身では「才能」だと気づけないこともあります。


エドがこれからどんな役割を担っていくのか。

直人たちとの関係も含めて、少しずつ描いていきたいと思います。


Amane

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