表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
逃げたい悪役令嬢ですが、毎日公爵令息様が迎えに来ます〜悪役令嬢リリアーナの日記〜  作者: ayami


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/13

第8話 「もう、逃げません」

王都へ戻る馬車の中。


 私は、ずっと黙っていた。


 隣には、セシル。


 いつも通り近い。


 でも、今回は違う。


 空気が、重い。


(……ちゃんと、話さなきゃ)


 逃げてばかりじゃ、何も変わらない。


◆ 沈黙の理由


「……リリアーナ」


 先に口を開いたのは、彼だった。


「怒ってる?」


「……怒ってない」


 正直。


 怒る元気もない。


「ただ……怖かった」


 ぽつり。


「捨てられると思って……」


 彼は、はっとした。


「……捨てる?」


「ローゼリアと……話してたから……」


「……ああ」


 すぐに察したようだった。


「誤解だよ」


 私の方を向く。


「全部、君のためだった」


◆ 真実の告白


 セシルは、静かに語り始めた。


「辺境領の開発計画」


「覚えてる?」


「……うん」


「将来、君と静かに暮らす場所を作ってた」


 ……え?


「王都は危険が多い」


「陰謀も、政争も」


「だから、逃げ場を用意してた」


 胸が、ぎゅっと締まる。


「ローゼリアとは、その調整をしてただけ」


「縁談なんて、最初から断ってる」


「書類も、全部破棄した」


(……そんな……)


 私は、何も知らずに。


 勝手に、傷ついて。


 逃げて。


「……言ってよ……」


 声が震える。


「言えば、逃げただろ」


 苦笑。


「だから、言えなかった」


 ……ずるい。


◆ ヒロインの本音


「…こんなのありえないって思うかもしれないけど…私ね……」


 深呼吸して、言う。


「ずっと怖かったの」


「原作では、あなたが私を断罪するから」


 ――初めて、秘密を打ち明けた。


「……未来を、知ってるの」


 彼は、黙って聞いていた。


「だから、好かれるのも、嫌われるのも、全部怖くて……」


「逃げるしかなかった」


 沈黙。


 やがて。


 彼は、そっと私の手を取った。


「……そんな未来」


「僕が壊す」


 即答だった。


◆ 初めての正式告白


 馬車が、止まる。


 王都が見えた。


 でも、彼は降りない。


 私の前に、跪く。


「……えっ!?」


「リリアーナ」


 真剣な目。


「君が逃げても、泣いても、疑っても」


「僕は全部愛してる」


 低く、はっきり。


「君を一生、離さない」


 ……重い。


 けど。


 嬉しい。


 涙が出る。


「……私も……」


 声が詰まる。


「怖いけど……」


「愛は重いけど……」


「好きだよ」


 彼は、目を見開き。


 次の瞬間。


 強く、抱きしめた。


「……ありがとう」


 震えている。


 珍しく。


◆ 約束


「もう、逃げない?」


 囁く。


「……逃げません」


 素直に答える。


「代わりに」


「ちゃんと話して」


「何でも」


 彼は、微笑んだ。


「約束する」


「だから……」


 額に、そっと口づけ。


「一緒に、生きよう」


 私は、小さく笑った。


「……重いね」


「今さら?」


「……うん」


 でも。


「好き」


◆ 新しい日記


 その夜。


 私は、日記に書いた。


『逃亡:終了』


『捕獲:完了』


『恋人:確定』


『幸せ:継続中』


 こうして私は。


 運命から逃げる悪役令嬢から、

 愛されすぎる公爵様の恋人になったのだった――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ