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落ちこぼれの私が最強の悪魔に転生したらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、治安維持部隊の演習に行く
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決着……にしといてくれ!

エルドは白目を剥いて帯電している。

騎士達は手に汗握る凄まじい攻防に改めてエトナーの実力とエルドの力量に驚愕していた。


「凄いですね!」

「聖人様、お見事です!」


賞賛が飛ぶ中、エトナーは肩を掴む手から力が全く抜けていない事に気付き叫ぶ。


「まだだ!まだ終わってない!」


下がれ!と叫ぶエトナーに騎士達は驚いたが、更に驚いたのはエルドが再び動き出した事だ。


「うぉぉぉ!」


肩を掴んだままエトナーを持ち上げるとそのまま猛然と走り出した。


「うぉっ?!」


その勢いのままエルドは壁にエトナーを叩きつける。

その勢いは壁をぶち抜いた時のものと変わらない。


「ぐはっ!」


エトナーを前に突き出したままエルドはぐいぐいと進んでいくと壁を突き破ってそのまま前進していく。


「半端に意識とんだか?!めんどくさいことになった!」


顎に蹴りを入れて拘束から抜け出し、修練場までエルドを誘導しながら戻る。

目の前にはおそらく半分失神して戦闘モードになったエルドが立っている。


「あれで完全に失神しないんだから面倒な奴だ」


どうにか修練場に戻ってくるとエルドはなにやら構えを取り出した。


「……嫌な予感」


エトナーはすかさず目の前ではなく、エルドと自分を含む範囲型の結界を準備する。

そして嫌な予感が正解だと言わんばかりにエルドの手に魔力が集まり始めた。


「むぅぅぅぅぅぅん!」

「全力でぶちかます気か!」


エルドの奥義、エアロハンドである。

先だっての演習で放った物より密度と魔力量に勝る一撃をエルドは放つつもりだ。


「でぇええい!」

「神の威光、聖なる光!城壁となって我らを護り給え!」


光の壁がエトナーとエルドを囲んだ。そしてその中でエトナ―はさらに防壁を展開してエアロハンドを真向から受け止める。


「うわあぁぁっ!?」

「ぎゃーー!」


修練場に防壁越しでも伝わる衝撃と暴風が吹き荒れ、騎士達はその余波をもろに受けて皆が吹き飛ばされていった。



「ぜーっ、ふーっ!」


肩で息をしているエトナ―。

防壁を二重に、それもエルドの攻撃から殺傷力を奪うレベルの硬度を維持しつつ、自分の身を護る離れ業である。


「……むっ?」


そして白目を向いていたエルドだったが手を突き出したまま固まっていたものの、目をぱちぱちすると首を左右に振って意識を取り戻した。


「私は一体……、そうだった、演習の最中だった」


エルドは周囲を見渡すとエトナ―を見つけて


「むんっ!」

「ストーーーーップ!」


再び拳を構えたのでエトナ―から待ったがかかった。そしてずかずかと歩み寄るとエトナ―はエルドの頭を引っ叩いた。


「いてっ」

「加減しろバカ!」


エトナーは憤慨しながら瓦礫の山になった修練場を示した。


「天井が吹き抜けになっちまったぞ!どうすんだこれ!」


エアロハンドの威力は凄まじく、人がいる横方向の衝撃はエトナ―が防いだがその流れが真上に向いたが為に屋根が吹き飛んでしまった。

大聖堂の周囲を歩いていた人々は大きな手が雲をつかむように飛んでいったのを見たとかなんとか。


「あれっ!なんで天井に穴が!」

「お前がやったんだよ!」


いやに明るいのに気付いたエルドが上を見上げると天井に手の形に大穴が空いているのが見えて仰天している。

どうやら半分失神していたせいで記憶がないらしい。


「えーっと、それでは、あのー」


エルドは恐る恐るエトナーに尋ねる。


「訓練は……」

「中止に決まってんだろ!バカかお前!」


瓦礫を蹴飛ばしてエトナーは言う。


「だがまぁ、やることはあるぜ」

「というと?」

「わかんねえか?アンタがやるべきことだよ」


エトナーは笑顔で言った。


「ここの片付けと修理だ」

「……はぁい」

「さっさと始めろ!」

「わー!」


エトナーにどやされてエルドはそのまま修練場の瓦礫の撤去を始めた。

その間にエトナーは騎士達を一人ずつ治療しながら起こしていき、皆で修練場の掃除を始める事に。


「魔法使い半端ねえ」

「あれが魔法使いなのか……」

「すごかったなァ……」


シュンとした表情で瓦礫を屋外に運び出しているエルドを見て騎士達は色々と重篤な誤解をしていた。

なにせあれだけ暴れておきながら結局エルドは瓦礫の大半を自分で運び出したし、修繕の際も人足に混じって誰よりも石材を運んでいた。


それからというもの、エルドは結局騎士達の修練に呼ばれなくなってしまった。


「おっかしいな、もう修繕は済んだのにな」


時折、エルドは大聖堂を見ては不思議そうに首を傾げていた。

その理由は言うまでもなかったが、結局また本人にはわからないままであった。




それから数日後、教会でエトナ―と聖術の修行をしていたルナはふと思いついた事を尋ねた。


「エトナーさん」

「なんだいルナちゃん?」

「お父さんが修練に呼ばれないって不思議そうにしてましたけど」


理由を尋ねたルナにエトナーはこう返したという。


「出禁だからに決まってんだろ!」


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