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落ちこぼれの私が最強の悪魔に転生したらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、治安維持部隊の演習に行く
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エルド、聖騎士と訓練する

「それで、その人が此処に来てなにを?」

「聞いて驚け、ルナちゃんの親父殿は魔法局の治安維持部隊、教会で言うとこのお前らみたいな立場の組織に属してたんだ」

「へぇ、ん?してた?」

「今はデスクワークの部署にいるってさ」


エトナーの言葉に聖騎士達は不思議そうにしている。


「その、御父君が何故私達と訓練なんてするんです?」

「うーん、そこまではわからん。だが魔法局も熱心過ぎるからお願いしますって言っててさ」


エルドは演習熱に浮かされている真っ最中だ。

相手になってくれるなら誰でもと言う状態なのである。

元々体力が有り余っている人物だが、結婚を経てルナが産まれ、家族を気遣ってデスクワークの方向に行った。

しかしその本質は誰かの為に体を張る武人の性質を秘めているのだ。


「親父殿にはもう少し大人になってもらうしかありませんね」


騎士の一人がそう言うと聖騎士達の間で笑いが起こった。

年寄りの冷や水なんて言う奴まで。

実際16歳の娘がいる父親である。いい歳であることに変わりはない。


「さて、な……まあそれならお前さん達でどうにかしてみな」


エトナーはそう言うと意味ありげに微笑んでエルドがやってくるのを待った。





「どうも、魔法局からやってきました!」


エルドが元気よくやってくると整列していた聖騎士達は驚いた。


「えっ、デスクワークって」

「えっと、これはどういう?」


体の仕上がりがデスクワーカーのそれではない。というより、聖騎士でもこんな体格のヤツは少ないくらいだ。

中でも若手を中心に集めたのでさらに知見が狭い者が多かったので戦いたがりがどんな背格好をしているかなどの想定が甘かったのだ。


「聖人様、これだけの若武者が揃うとなかなか壮観ですな」

「中身がまだ伴ってないがな」


エトナーも女性の中では長身な部類だがエルドと並ぶとその体格差は凄まじい。

エルドの二の腕はエトナ―の太ももより太く見えるほどだ。

エトナーがエルドの後ろに立つと全く見えなくなる。


「ふふふ、経験が伴えばそう言ったことも解消されるでしょう」


エルドは演習の時に来ていた軽装の鎧姿である。

しかし今回は対武器を意識しているのか籠手も金属製だ。


「さて、誰からかかってくるんだ?いつでもいいぞ!」


のっしのっしと歩いて修練場の中央に立つエルド。

しかし聖騎士達はエルドがなにも持っていないことに気付いてエトナーに顔を向けた。


「あの、あの人何も持ってませんが……」

「ああ、そうだな」

「そうだなって……」


聖騎士達は少し戸惑った様子だが、エルドはそれを見て笑顔で言った。


「武器が無ければ戦えないというのは魔法使いには通じませんぞ。それとも、無手の相手は気が引けますかな?」

「むぅ、怪我をしても知りませんよ」


素手ということに少しばかり遠慮がちな聖騎士達だったが、エルドがそう言うので一人が前に出た。


「剣がそうそう槍に勝てぬ道理はご存じでしょう」

「そうですな、だが魔法使いにその常識は通じない」


ましてお若い貴方では、とどこか挑発するような言動のエルドに聖騎士は槍を構えた。


「開始の合図は?」

「突発的な開始が我らの日常ですぞ」


そう言うとエルドは当然のように聖騎士に向かって歩き出した。

聖騎士は構えもしないエルドに困惑しつつも腹部を狙って槍を突き出した。


「ふっ!」

「ふむ、訓練はしているようだ」


エルドは槍の穂先を掴み止めるとにっかりと笑みを浮かべた。


「だが些か軽いですな」

「なっ……!」


左足と左手を同時に前に出す。

右手はそれを補強するように槍を引っ張るとエルドは半身を動かしただけで聖騎士を手元まで引き寄せてしまった。


「ぐっ!」

「フルプレートの弱点を教えて差し上げよう!」


エルドはそう言うと聖騎士の胴当ての隙間に手を差し入れると彼の体を重量挙げのバーベルのように軽々と持ち上げる。


「なっ……!」

「ほいっ」


頭上の高さまで掲げると彼を背中からぽいっと投げ落とした。


「ぐっ……がっ!?」


ただでさえ石で出来た修練場の床である。そこにフルプレートの鎧の重さを加えて叩きつけられるとたまったものではない。

悶絶する騎士にエルドは足を彼の頭の近くに持ってきた。

そして兜の突起をこつんと蹴った。


「これでお終いですな、兜をかぶっていてもここを踏まれると首が折れます」


真上からならともかく、エルドがやる方法で踏んづけると兜を固定しているのが逆に作用して首の関節を圧し折る手伝いをしてしまうのだ。

死んでいなくてもかなりのダメージを負うだろう。


「そうでなくても兜がズレるので咄嗟には動けなくなる」


しゃがみこむとエルドは騎士の兜をぐるりと横に回した。どうやら落ちた衝撃で顎紐などが緩んでいたらしい。

おたおたする騎士を後目にエルドは立ち上がって次!と声を上げた。


「只者じゃない……」

「彼はいったい何者なんです?」

「いったろ、私の弟子の親父殿だ」


何の説明にもなっていない返答に他の聖騎士達は困惑した様子だったが、そもそもエトナーも彼らが実力を測ることもできない未熟な事を実感させるつもりでもあったので説明する気もなかった。


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