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落ちこぼれの私が最強の悪魔に転生したらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、治安維持部隊の演習に行く
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演習のはじまり!

ルナが渡されたしおりは魔法局の職員が誰向けに作ったのか分からないがとてもファンシーなデザインである。

しおりの冒頭には


ルールを守って安全に!


なんて書いてある。


「安全な演習かぁ」


なんだか正しいような、正しくないような。

そんなすっきりしない文言であるが、その原因がまさか身内とは思うまい。


「道具は予め用意したものを使用すること……」


ルナが周囲を見渡すとエルド達が集まっている場所の傍に色々な道具が用意されており、その中には掛矢などの工具も含まれている。


「道具は演習の終了まで変更しないこと」


襲撃者側の面々は続々と道具を手に取っている。

その中でエルドは一番大柄だからか一番大きな掛矢を渡されている。

人数分に限定されているのか道具の余剰は少ない。

ロープなどはその限りではないのか、いくつかの束が積んである。


「あのロープは何に使うんだろ?」

「あれはバリケードを引っ張り出したり、襲撃者側が建物に侵入するためのものですよ」


監督官らしい職員の男性がルナの疑問に答えてくれた。

監督と書かれた腕章を腕につけており、予想通り演習の運営をするスタッフのようだ。


「そうなんですか、じゃあ誰が使ってもいいんです?」

「そうなりますね」


監督官はそう言うと時刻を告げる鐘が大聖堂で鳴ったのを聞いて参加者たちの方へ向かった。


「それでは演習開始の時刻が近くなりました!各自持ち場についてください!」


全員がばたばたと持ち場につく、守衛側はいち早く所定の位置につき防備を固め始める。

襲撃者側はその間に作戦会議を開いている。


「エルドさんが参加してくれたとなるといろいろと面白いことになりそうだ」

「ははは、任せてくれ」


同僚は怖い物みたさでエルドの参加を歓迎している。

彼らも襲撃の成功不成功で評価が変わるし、新人たちが格上に対していかように振る舞うのかを試験する立場でもある。

襲撃側は評価を受ける立場であると同時に新人たちの振る舞いを直に観察する試験監督でもあるのだ。


「あれ?人数一人少なくないか?」

「ああ、それな。エルドさんの御息女が頭数に入ってるのさ」


人数を数えたメンバーが他のメンバーに尋ねたところ、参加者リストの中にルナが入っているのに気付いた。

しかし彼女の姿を遠目に見た彼らはルナがまさか荒事に参加するはずはないと頭数に入れなかった。

エルドなら二人分にしてもちょうどいいハンデになるだろうと考えたのだ。


「さて、作戦なんだけど……」

「そりゃエルドさんを先鋒にして突撃で片付くだろ」

「それはそうなんだけどな」


作戦もあったものではない。ただエルドは過去の出動経験から立てこもり犯や屯している悪党に襲撃をかけたりと強襲制圧の経験が非常に多い。

ナイフや威力の弱い魔法ごときでは止まらない上に無視できない威圧感があるエルドならではの立ち回りだ。

つまるところエルドを先頭に立てて自分達は相手がエルドにかかりきりになった所を迂回して搦め手を攻撃するか、加勢して押し切るのが王道パターンと言える。


「お父さん」

「ん?どうしたルナ」


エルドが掛矢を肩に担いで開始を待っていたところ、ルナが声を掛けた。


「私、今日にそなえて色々勉強してきたんだよ」

「ほほう、勉強」


なんの?と言いたげなエルドにルナは鞄からベールと鈴のついたシュシュを取り出して頭にかぶり、腕に通した。


「これは……」

「うふふ、応援するの」


そう言うとルナはレインたちから教わった踊りをゆっくりと踊り始める。

ルナの隣ではクインクがタンバリンを手に音を鳴らしている。


「お父さん、頑張って」

「おお!私の為にそこまで……!」


開始まで秒読みという段階で衆目の集まる中、ルナが踊る姿を見ていた職員たちはルナとクインクを微笑ましい目で見ていた。


「あれくらいの歳で親の為にあそこまでしてくれるのは微笑ましいな」

「フラウステッド君は幸せ者だ」


司令は演習を観覧する席で呟いた。観覧席には老齢の職員たちも居たが、皆同様に孫同然の年齢のルナが父親を一生懸命応援する姿に目尻を下げている。


「襲撃者側、配置についてくださーい」


開始まで秒読みとなった所で監督官が襲撃者側にスタンバイするように指示を出した。

そして総隊長が現場を見渡していた時……


「あれは?」

「ああ、エルドさんの御息女が応援してるみたいですね」


他の職員たちは可愛らしいルナが踊っているのを見て鼻の下を伸ばしている。

しかし総隊長はその踊りに魔力の流れがあるのを見て嫌な予感がした。


(あれは普通の踊りじゃない……!)


声を掛けようとしたが時既に遅し、ルナがターンをしてエルドに手を差し出すように向けると


「むむっ!なんだかやる気がモリモリ湧いてきたぞ!」


エルドの体から湯気が上がり始める。

効果は一緒のはずだがエルドの方が筋力や体力に恵まれている分、効果が大きいのかもしれない。


「がんばってね!」

「もちろんだ!」

「あの、ぼちぼちで……」


笑顔のルナとさっそく悪い予感が的中してあわあわしているクインクにエルドはパンプアップした腕で力こぶを作るとそのまま開始の位置まで向かって行ってしまった。


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