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落ちこぼれの私が最強の悪魔に転生したらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、治安維持部隊の演習に行く
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えっ!いいの?

総隊長の心配を他所に司令肝いりの案件として演習の準備は進んでいく。

そして吉報であり、騒動の引金である一通の手紙がエルドの元に届いた。


「来た!とうとう来た!」


魔法局で通知を受け取ったエルドは笑顔を浮かべる。

腕に力が籠り、服の袖が破れるほどだ。


「えっ、演習に呼ばれたのか?」


同僚が驚いた様子で言う。彼はエルド同様に治安維持部隊から結婚を経て事務方に転向した組だが、当時を知る人物でもある。

それ故に彼の驚きぶりも大きなものだ。


「演習に備えて鍛えないと!」

「屯所を三棟も壊したのにどうして呼ばれたんだ?」

「わからん!」

「だよな」


なんで呼ばれなくなったかすら難しく考えていなかった男である。

同僚の疑問などわかるはずもない。





時間は流れて夕方、帰宅したエルドは早速家族に吉報を知らせた。


「お父さん治安維持部隊の演習によばれちゃった!」

「えっ!」

「そうなの?」


あらあら!とアリシアが嬉しそうに微笑んだ。


「家族も呼んでいいって!ルナも見に来るといいぞ!」

「わぁい」


エルドは書類を見せるとそこに参加を希望するかどうかを記した欄がある。

エルドに促されてルナも喜んで名前を書いた。


「演習は新人に先達の実力を見て勉強してもらう機会でもある。彼らが全力を尽くせるように手加減ナシで行くつもりだ」

「おー」

「おー……」


ルナは目を輝かせているが以前の妖精食いの騒動で手甲一つで騒動の終結まで戦い続けていたエルドの人外ぶりをみているクインクは、彼の本気と聞いて戦う相手がちょっと可哀想だと思った。

クインクの目にはエルドが津波のように押し寄せる妖精食いをほぼほぼ素手で八つ裂きにしている姿がまだ記憶に新しいのである。


「おじさんってどれくらい強いの?」

「妖精食いの時、着の身着のままで街を歩けるくらいには……」

「全力出す必要ある?」


クインクとイングリッドはひそひそと話し合っている。

実際、魔法のエキスパートは容易く命を奪うだけの力を持っているがエルドの場合は筋力でそれができる。

魔法が使えなくなっても大して戦力が低下しないという滅茶苦茶なヤツなのである。


「じゃあ私もお父さんを応援できるように頑張るね!」

「「えっ」」


何を頑張ると言うのか。二人は疑問に思ったがルナが本気を出すとどうなるかわからないのは共通認識だった。

そんな事情を知ってか知らずか、のほほんとニコニコしているアリシア。なんだかんだ言ってエルドの妻をやってられる女性である。


「二人とも聞いて」

「どうしました、ごしゅじん?」

「どうしたの?」


夕食が終わって部屋でのんびりしている三人。そんな時にルナが言い出した。


「私もそろそろ身体強化の魔法を習得する時がきたのかも!」

「「えっ?」」

「お父さんのお手伝いをしなきゃだから!」


なんかスイッチが入ったらしい。二人はすこぶる嫌な予感しかしなかったがなんと言って宥めたものかわからなかった。

エルドもそうだがルナはよかれと思うと過保護になる感じがある。

女性とはいえ赤の他人だったシュトリクの悩みを聞いてから膝を貸したりするくらいである。

優しいのは間違いないのだがやれることは全力でやり切ってしまうのでやりすぎるのだ。


「えーーっと、ごしゅじん、エルドさんは十分お強いとおもいますよ?」

「そうだよ、エルドさんが間違えて誰か殺さないか心配するレベル」

「そんなことないよ、治安維持部隊は魔法使いの中でも戦闘特化の精鋭なんだから準備はちゃんとしないと」


クインク達の言葉もどこ吹く風。ルナはエルドの関係で昔見た彼らの姿を見ているが子供の頃特有の思い出補正で治安維持部隊の面々を超人集団かなにかのように思っている。

実際問題、よーいドンで戦えばアダムも苦戦はするだろうし、エトナ―相手でもある程度は立ち回れるだろう。

しかし市街地や森の地形に紛れれば彼らにアダムを捕捉する術はないし、真正面の戦闘になればエトナ―には子供扱いされてしまうだろう。

悪魔の力を出せばルナだって彼ら相手に勝つ事は難しくない。十分な対策を打たれれば話は変わるが真っ向勝負では彼らとて上級の上澄み、ましてや大悪魔には敵わないのだ。


「ごしゅじんがなにかしたらエルドさんの調子がくるってしまうのでは?」


クインクですらフルパワーなら彼らを蹴散らすことはできる。そんな彼女ですらエルドの強さにはちょっとビビるレベルだ。

ルナの潜在能力を知っているだけにそれが加算された状態のエルドがどのような破壊力になるかなどわかったものではない。


「そ、そうかな?」

「応援するだけでいいとおもうよ?」

「そうですよぉ、ごしゅじんが応援したらそれだけで十分ですよ」


そう言うと二人はルナがこれ以上なにかしようと言い出さない内に話題を切り替えていった。


「むーん……」


しかし、誰かの為に何かしたいという思いに駆られるルナを押し留めるにはいささか弱かった。






「エトナ―さん、聖術で強化魔法みたいなことってできるんですか?」

「なんでぇ、藪から棒に」


翌日になってルナはエトナ―の元を訪ねていた。

聖術は治癒や浄化、守りに特化した物が多いが当然、魔と戦うために騎士や戦士に加護を与えることができる。

その力の使い方を学ぶためにさっそく門を叩いたのだ。


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