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落ちこぼれの私が最強の悪魔に転生したらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、治安維持部隊の演習に行く
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演習のお話

Cクラスがちょっとだけ真面目になってからしばらく。

いつもの調子が少しずつ戻ってきた子供たちとは裏腹に


「……」


ルナの父親であるエルドはどこかそわそわしていた。


「お父さんどうしたの?」

「ん?いや、なんでもないぞ」


口ではそう言うがどこかそわそわ。

ルナも気になるのでそわそわ。

そうするとクインクとイングリッドもルナが気になるのでそわそわ。

終いにはルナの母親であるアリシア以外の皆がどこかそわそわし始めた。


「あらあら、皆そわそわしてるわね」

「そうなの」

「ごしゅじん、どうしてそわそわしてるんですか?」

「だってお父さんがそわそわしてるから」


エルドはどこか落ち着かない様子ながら普段使っていない防具などを取り出しては磨いている。

それを見たアリシアはああ、と何か心当たりがあるのか落ち着いた様子である。


「お母さんなにか知ってるの?」

「知ってるのですか?」

「しってるのですか?」


三人に見つめられてアリシアはくすくすと笑いながら教えてくれた。


「近々お父さんが前に所属してた部署で演習があるのよ」

「演習?」

「円の周りのこと?」

「それは円周」


クインクの言葉にイングリッドが答えるときゃっきゃとし始めた。

どうやらサキュラス達が言っていた言葉を単語だけ覚えていたようだ。

言えると思ってすぐに言い出したのである。

一時は治安維持部隊すらも動かしかけた彼らも今は魔法学校の用務員兼学生である。

図形や設計図の製作を生業とする家系であるため魔法学校では貴重な技術者なのだ。


「毎回お祭り騒ぎになるからお父さんも楽しみにしてるんだけど」

「けど?」

「何年か前に大騒ぎを起こしてから一度も呼ばれてないみたい」

「そうなの?」


そういえば、とルナもエルドが特定の季節にそわそわしているのを思い出した。

その時は特に気にしていなかったがその演習に呼ばれるかどうかを気にしているらしい。

しかし毎年、悪い実績がついたのか呼ばれることもなく磨いた防具をそのまましまい込むのがお決まりになっていた。


「大騒ぎってどんな騒ぎだったんだろう?」


ルナは疑問に思ったがアリシアは笑うばかりで教えてはくれず、ルナは悶々とするばかりであった。









「演習の時期がやってきましたな」


魔法局、治安維持部隊の部署では司令が机に向かっていた。

そんな彼に平時は副司令を兼ねる総隊長が言った。


「もうそんな時期か、そろそろ人員の配置を考えねばならないな」


司令は最近になって就任した司令の中では若手の優秀な人物であった。

ベテランの総隊長を補佐に据えて才気と経験をバランスよく配置したメンツであり、普段は彼らのコンビが難題を解決するのだが……。


「最近、どうにも演習がおざなりになっているのではないか?」


就任してまだ数年とはいえ、すでに幾度かの演習を指示し、報告書を読んでいた司令はふとそんなことを呟いた。


「おざなりですか?」

「うん、どうにも緊張感に欠けるというか……」


演習であるからどうしても本番とは違うのは仕方ない。しかし本番に近しい環境でやってこその演習である。


「ああ、それは色々と理由がありましてなぁ」


司令の言葉に総隊長は懐かしそうに言う。


「どんな理由だ?演習がおざなりになる理由を放っておくのは良くないと思うが?」

「それはそうなのですが……」


どうにも煮え切らない態度の総隊長に司令はやや苛立ちながら問いかけた。


「真面目にやって何が悪いというのだ」

「やり過ぎたので……」

「やりすぎ?」

「ええ、もう10年近く前でしょうか」


そうして総隊長は当時を振り返った。




それはエルドが治安維持部隊に所属し、新人という肩書きから脱出した頃。

エルドの同期は非常に実力が高く、それでいて態度も真面目な者ばかりだった。

それ故に先輩たちも少し油断していたのだがエルド達の後に入ってきた面々がよろしくなかった。


「先輩方のやり方は少し古い気がしますよ」

「なにっ!」

「伝統とか言いますがそれじゃあ手間が増えるばかりじゃないですか」


必要以上に伝統を軽んじる礼節に疎い新人や


「魔法の技術があれば体を必要以上に鍛える必要なんてありませんよね?体術なんて古臭いんじゃないですか?」

「言わせておけば!」


このように優秀な魔法使いにありがちな魔法至上主義者も混ざっていた。

彼らは体術の必要性をあまり理解しておらず、また古来よりある戦術や知識を軽んじる傾向にあった。

そしてある程度の才能と学生時代の実績に胡坐をかいて先輩たちへの敬意を欠いたのである。


「よし、ならば演習で白黒はっきりさせてやろうじゃないか」


先輩と問題の新人たちのいざこざを見かねた当時既に現在の地位についていた総隊長が演習にかこつけて新人たちに手厚い洗礼をすると宣言した。

ベテランのガス抜きと同時に新人たちが軽視する体術の恐ろしさを教え込む為に皆は人員の調整に入った。


「体術の妙手となると、やはり君だな」


突撃する襲撃者の人員を決めるに当たって白羽の矢が立ったのはエルドだった。

演習では屯所や街の一部を借りて守衛と襲撃者に分かれる。

治安維持部隊は守衛が一番の目的であるので実力を測られる者は無条件でそこに配される。

襲撃者は守衛についた者のいる場所やなんなら守衛本人を攻撃して彼らを戦闘不能にするか、建物に保管されている物資や書類を強奪する役割になる。

当然ながら襲撃者に物資や書類を奪われると守衛は失格、評価はマイナスになる。

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