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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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およごう!

子供たちがきゃっきゃと騒ぎながら入り江の方に向かったのを見てイシシは心の中で思った。


(大人になったら嬢ちゃんたち何人男泣かすんだろうなぁ・・・)


ルナは無自覚に、カティナは素っ気なく、ティナはその距離感で、クロエは同情的に、クインクは無邪気に。

おそらく男の純情を弄ぶのだろう。とイシシは思った。


(歳、離れててよかったぜ・・・)


町の男たちが彼女達に夢中になるのも無理はない。此処から比べれば都会からやってきた年頃の娘たちだ。

しかもルナとティナに至っては体付きだけなら大人顔負けのスタイルをしている。

そんな一行が明るく笑っているのだ、普段おばちゃんに囲まれている田舎男なんてイチコロだろう。







「さて、泳ぎますか!」

「準備運動をして、体を慣らしてからね」


入り江に戻ってきた一行は並んで準備運動をするとそのままざぶざぶと水の中へ。


「なんだか少し温かい気がする!」

「うん、ワイルビーの夜は寒いのに意外だね」


腰のあたりまで浸かってみると思いの外高い水温に皆は驚いた

。そしてルナが胸の辺りまでの深さの位置に来た時である。


「なんか魚影が・・・」

「はいどーん!」

「「「ひぎっ!?」」」


不意にセイレーンがやって来たのでティナが放電した。

水の中、しかも魔力が流れている特殊な海域なので威嚇のつもりで流した雷の魔力が普通に有効打になってしまった。


「ちょっと!なにしてるんですか!」


砂浜でクロエと一緒に砂山を作っていたクインクが慌てて飛んでくると感電してぷかぷかと浮いているカティナとルナの手を掴んで慌てて浜に引き上げた。


「ごめん、ちょろっと出したつもりだったのに魔力が豊富だったみたいで・・・」


ティナが放電したせいでダイナマイト漁でもしたかのようにセイレーンがぷかぷかと浮いている。結構な数だ。

カティナはともかく魔力に親和性の高いルナは帯電してしまっている。


「・・・山でも怒られてたのに」

「そういえばそうだった・・・」


クロエにじとーっとした目で見られてティナはさすがに反省したようでしょんぼりとしながらルナの頬をつついている。


「それなのになんでこんな無茶を・・・」

「セイレーンが寄ってきたからさ、連れてかれちゃうかとおもったのよぅ」


浮いているセイレーンの数から考えればおそらくルナを囲んでそのまま海中にご案内するつもりだったのだろう。

ウェパルがどう思っているかは知らないがルナを捕えて献上すればおおよそ機嫌はよくなるので彼女達にとっては同意があろうがなかろうが関係ないのである。


「はぅあっ!」


数回ぶるぶると痙攣した後に帯電していた魔力が霧散してルナが蘇生した。雷の魔法をモロに食らったにも関わらず即復帰できるのは彼女の生来の頑丈さ故である、恐るべしフラウステッド家。変身するとさらにその耐性と耐久性に磨きがかかるので相当タフネスなのである。


「ルナちゃん、ごめんね・・・大丈夫?」

「目がちかちかする・・・」


本来ならば火傷など外傷を負う事も多いがルナが避雷針になったのでカティナは失神する程度で済んでいる。

しかしながらルナのように即復帰するのは無理だが。


「カティナちゃんをあっちの小屋に連れてこう」


イシシと上陸した際に桟橋のほど近くに小屋があるのが見えていた。おそらくは桟橋の修繕や入り江に入ってきた船の船員達の簡易な休憩所として作られたのだろう。狭いながらも横になれるスペースがある。


「よいしょっと」

「手伝おうか?」

「ありがと、大丈夫」


カティナを抱えあげてルナはすたすたと歩いていく。皆はカティナを心配してそのまま小屋へ。


「床板の上に直にっていうのはちょっと可哀想だけど・・・なにかない?」

「茣蓙があるけど・・・ちょっとまってよ」


ティナが外に一旦持って行って再び雷の魔力を放出する。そうしてからバサバサと茣蓙を振るとぱらぱらと何やら細かい粒が落ちてくる。細かい粒はどうやら虫らしく茣蓙から逃げるように這いまわったり飛んだりする・


「うへえ、虫が湧いてる」

「・・・だいぶ減ったんじゃない?」

「だと良いけど・・・」


クロエと一緒に茣蓙を振ってゴミやら虫やらを払い落してから戻ると板の間に豪快に敷いた。


「よいさー!」

「・・・さー」


クインクがそれを整えるとルナがその上にカティナを寝かせる。そしてルナはカティナに軽く治癒術を掛けるとそのまま小屋の外へ。


「どこ行くの?」

「あそこで浮いてるセイレーンの人達をほっとけないからね」

「助けるのはいいけど浜で助けないとだよ?」

「え?どうして?」


ルナがきょとんとしているのを見てティナはなんとも言えない顔になる。


(ルナちゃんに何かするつもりが無かったらあんなに来るわけないでしょーーー!)


と言いたかったがそう言ったところでルナが疑うはずもなく。良くも悪くもルナにとって悪魔は身近すぎる。

そして半端にセイレーンたちに悪意が無いのも質が悪かった。


「ほいほいほいっと」


遠くから糸を伸ばしてセイレーンたちを釣りあげては浜に並べる。そして一人ずつ治癒術を掛けてあげると彼女達は順番に意識を取り戻した。


「ごほっ!」

「げほげほっ・・・!」

「おげげっ!」


セイレーンたちにとって雷の魔法は非常に強烈な一撃だ。起き上がったはいいものの皆が目を白黒させている。


「げほっ!ごほっ!し、死ぬかとおもった・・・」

「ごめんなさい、突然魔法を使ってしまって」

「!・・・いえ!いいんです!助けてもらってありがとうございます!」


意識を取り戻したセイレーンの中で人の言葉を流暢に話す者がいた。そのセイレーンがルナを拝む勢いで感謝している。

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