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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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気を取り直して

イシシは申し訳ないという顔、そしてティナはあの劇物が売り物になると知ってぐんにゃりと床に倒れ込んだ。


「ティナちゃん・・・?」

「あれは劇物にしか見えなかったからな、仕方ないさ」


どうやら高級品と称されたカティナの薬を捨ててしまったことで自分でお金を捨ててしまったことにショックを受けたようだ。


「どういうことです?」

「いや・・・すまないがあの薬がな、凄い匂いと刺激だったんでヤバいもんだと思って捨てちまったんだ」

「えっ!・・・あぁ、それで」


ルナはイシシの言葉を聞いてティナが脱力した意味を理解した。カティナの言葉だと鍋一杯に作ったそうだがそれを薄めて液薬にするにしろ粉末にするにしろかなりの量が作れるはずだ。

うぎゃーん!と転がりながらよくわからない悲鳴をあげるティナ。そしてカティナの所に来るとまるで蛇のようにカティナに巻き付くとべそべそと泣いている。


「毒だと思ってごめんねー!」

「ど、どく・・・?」


ティナの言葉に今度はカティナが衝撃を受けている。実際催涙ガスに似た症状が出たので仕方ないといえば仕方ないのだが。


「まあ、どっちにしろ何度と飲みたくはないものとは聞いてますけど・・・」

「あの有様を見れば飲まずともわかるってもんだな」


過剰摂取した分を取り除いたとはいえ白目を向いている主人を見てクインクと男の子がドン引きしている。

しかしながら顔色自体は良くなっており、薬としての効果とその味の壮絶さを物語っている。


「ま、まあこれであなたのお父さんも元気になりますから!」

「ほんとうに・・・?」


男の子の純真なまなざしにルナは苦笑いながらも頷いた。すると男の子はやっと安心した様子を見せた。


「それじゃあそろそろ行きましょうか」

「そうだな、あまり大勢で留まるのもよくないしな」


ルナ達が立ち上がるといそいそと帰り支度を始める。主人も徐々に回復の兆しを見せてきたのもあって一安心。


「おねえちゃんたち、もういっちゃうの?」

「ええ、お父さんもすぐに良くなると思うから起きたらよろしくと伝えてちょうだいね」


ルナは男の子の手を取って、安心させるように微笑んだ。男の子はそんなルナを見上げて目を潤ませている。

頬を染めているのは見間違いではないだろう。


「罪な女だじぇ・・・」

「・・・初恋キラー」

「そりゃあモテるよなぁ・・・」


ティナとクロエ、イシシがルナをみてひそひそと話している。小さな男の子にとってはルナくらいの年齢は頼れるお姉さんと言った感じなのだ。それに聖職者として分け隔てなく接する所作が加わるので威力は高い。


「うらやまし・・・」

「男の子にモテるのがですか?」

「ううん、ルナちゃんに優しくしてもらってるから」

「ええ・・・?」


カティナがちょっとうらやましそうにルナを見ているのをクインクは不思議そうにみている。

というかちょっと引いている。


「おねえちゃんたち、またね!」

「うん、またね」


すこし名残惜しそうな男の子に挨拶をして一行はそのまま海を目指した。





「ところで弁当はともかくどうしてあの時間帯に出発したの?」


もう日はとっくに高くなってしまったがティナが町を歩きながら尋ねる。


「弁当食ってそのまま港まで行けばちょうど漁から帰ってきた漁師に船を借りられるとおもったのさ」


人はともかく船は一旦港に停泊させて次の漁までフリーな船が出てくる。イシシはそれを借りて一行を人魚の入り江のある離島まで送り届けるつもりだったようだ。


「この時間だとどうかな・・・」


そう言いながらイシシと港まで歩く。すると港は既に朝市のあわただしさが薄れつつあり、ほとんどが片付けに入っている。どうやら弁当屋の主人を助けるのに随分とかかっていたようだ。


「言ってる間にお昼になっちゃうね」

「ご主人様、そういえば私達お弁当食べてないんですが」


クインクが思い出したように言う。帰り際にイシシが残りのメンバーの弁当を持って出てくれたが港まで歩き通しだったのでだれも食べていないのだ。


「そうだった、じゃあ私達が船を借りてくるまで食べてまってて」

「はーい」


カティナ達を港の近くにある休憩スペースで待たせ、ルナとイシシは船を借りるべく漁師たちが集まっているところへ。


「邪魔するぞ、空いてる船はあるか?」

「おう、イシシ船長。漁船かい?それならいくつか空いてるが漁から帰ってきた奴ばかりだからちょっと掃除せんと臭うぞ」


イシシが尋ねると漁師は自分達が朝に乗っていた船を見やる。魚の積み下ろしをしていた船は当然ながら魚の油や血で汚れており、離れていても風に乗って臭いが届いてくる。早朝はともかく今は時間が経っているので臭いがきつくなっているのだ。


「休みだった船は?」

「それならあれだな、ちょっと修理が追いついてないから使ってないんだが」


漁師が指さした先にはちょっとくたびれた様子の船が。近寄って調べてみるとどうやら投網を巻き取る際に擦れるのか船の縁が削れてしまっているのが見える。ああなると網や釣り糸などが引っかかって切れてしまうので漁に使えないのだろう。それに船体に塗られている防水処理もすこし剥げかかっている。


「離島に行くには十分だろう、借りていくぞ」

「ああ、好きに使ってくれ」


沖まででて漁をしたり旅をするならともかくそれほど遠くない離島までなら問題ない。そう思いイシシはそれを借りることにした。

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