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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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やっとこさ!

弁当屋の主人が恐縮しながら布団に戻るのを見届けるとルナ達はふと、あることに気がついた。


「あ、そういえばカティナちゃんたちは?」

「そう言われりゃそうだな」


ルナがそう言うとイシシもそれに同調し、ティナに顔を向けた。


「ん?なに?」

「なにじゃない、あの二人は?」

「あ、そういえばなんか体にいいものを作るってキッチンに・・・」


体にいいもの?とその場の全員が首を傾げた。クロエもそうだがカティナも別段料理が得意なわけではない。

滋養に富んだ食事など知るはずもないはずである。


「エルフの秘伝の薬とか?」

「そういやあの嬢ちゃんはエルフなんだっけか」


イシシがそう言いつつ立ち上がってキッチンに続く廊下へと向かうと不意になんとも言えない匂いが漂ってきた。


「お、おい・・・なんか臭うぞ」

「え?・・・くさっ」


ティナがイシシに続くと異臭に思わず顔をしかめる。二人はなんだか嫌な予感がして慌ててキッチンに向かうと。


『・・・!・・・、・・・!』


カティナがなにやら唱えながら鍋をかき混ぜている。クロエはその隣で奇妙な踊りを踊っている。


「なにやってんの・・・?」

「人んちのキッチンでサバトなんかするなよ・・・」


イシシが異臭と異様な二人の様子に呆れた顔をしていたがクロエが至って真面目な顔で


「・・・しずかに、精霊の力を借りてるから」


と答えたのでイシシはげんなりした。


「真面目にやってんのかよ・・・」


むしろふざけててくれと内心で思っていた。どうみても怪しげな儀式だが窓を閉め切って薄暗いキッチンでしているからかもしれない。臭いが立ち込めているのもどうやらそのせいだろう。

イシシが無事に終わりますようにと祈っていると鍋から不意にポンッ、と音がして煙が小さく立ち昇った。


「できた・・・!」

「・・・エルフの霊薬ぅ~」


両手をひらひらさせながらクロエが言うと妖しさが倍増した。カティナは鍋の中身をコップにそそぐと満面の笑顔でこちらに差し出してくる。


「これを飲んだら痛みも怪我もばっちりですよ!」

「飲んだら日光教の連中にしょっ引かれたりしないか?」


まるで違法薬物扱いである。しかし迷信深い海の男も明らかにヤバそうなものは勧められない。

しかしカティナは何故か自信満々である。


「だいじょうぶ!日光教はあらゆる信仰に寛容ですからね!」

「相手に寛容を要求するような飲み物を作ったり飲んで大丈夫なのかって聞いてんだぞ?」


イシシの問いかけにカティナは少し考えると少し間をおいて笑顔で答えた。


「・・・大丈夫!」

「流しに捨てとけ!」


イシシが叫ぶとカティナは理解できない、と言った様子で


「せっかく作ったのに川に流すんですか!?」

「確かに・・・だめだなぁ・・・」


と言ったのでイシシは諦めた。下水処理場なんてあるわけもなし。流しに捨てれば流れていくのは川なのだ。

海の男は川を汚せば巡り巡って海と自分達に累が及ぶ事を知っている。


「それじゃあ持っていきますね」

「お、おう」


イシシはコップを持って部屋に向かった二人を見送るとその方角に向かって手を合わせた。

そしてその少しあとに聞こえてくる『ぐぅぅぅええええええ!』という叫び声とルナの悲鳴が木霊した。


「致し方ない犠牲だ、とりあえずこの劇物をどっかに捨てるぞ」

「こればっかりは流石に私もヤバいとおもう・・・」


ティナとイシシは鍋に残った物体を覗き込んだ。そしてその際に感じた粘膜に対する耐えがたい刺激に二人はえづいた。


「「ヴォエッ!」」

「痛い痛い!いろんなところが痛いよ!」

「ぎええっ!目つぶしよりいてぇ!なんだこりゃ!」


ひとしきり悶えた後、二人は慌てて鍋を手に建物の外へ。


「やばいよやばいよ!これマジでやばい!」

「ええい、環境への影響が心配だが仕方ない、埋めちまえ!」


二人は土壌汚染を危惧しながらも仕方なく裏手に穴を掘ってそこに鍋の中身を捨てると土をかぶせて埋めてしまった。鍋も手遅れと思ったのか中身を捨てた後に鍋も捨てた。



「せんちょう!とうちゃんが!とうちゃんがぁ!」


裏手に劇物を埋めた直後に男の子が泣きながらやってきた。


「どうした!あいつに何かあったのか!?」

「うぅぅ、こしはなおったけど・・・くちからあわをだして・・・」

「悪化してんじゃねえか・・・」


イシシ達が部屋に戻るとルナが解毒の魔法と聖術を唱えている。


「アンチドーテ!」

「うーん、うーん」


弁当屋の主人は顔色が真っ青になっており、汗をかいている。ルナが解毒の魔法をかけて続けてようやく顔色が戻ってくる。


「ふぅっ・・・これで大丈夫かな」

「あれぇ・・・おかしいなぁ、これで皆治ったんだけどなぁ」


カティナは不思議そうに首をかしげている。そしてルナはそんなカティナの頬を引っ張った。


「いひゃい!」

「カティナちゃーん?あんなに濃く煮詰めたものを持ってくるなんて非常識だよ!」

「煮詰めたもの?」


ルナが言うにはカティナが持ってきたのは痛み止めやケガの治癒を助ける霊薬ではあるらしい。

ただそれが適切な分量を越えて煮詰まっていたのでエグい臭いと味、そして過剰な効力によって主人がひっくり返ってしまったとのこと。


「じゃ、じゃああれはちゃんとしたものなのか・・・?」


イシシが恐る恐る聞くとルナは頷いた。


「おそらくですけど正常な分量ならあれから数倍に薄めれば適切な濃度になるかと」

「滅茶苦茶濃いじゃん!」


ティナが話を聞くだけで苦い!と顔をしかめている。


「ポーションよりも効果があって、一回の分量で長く効くと聞いた事があるんです」

「そうだったのか・・・」

「エルフ秘伝なのでレシピは門外不出。でも効果は高いから貴重な品ですよ」


水分を飛ばして保存の利く粉末にすると高値で取引されます。とルナが言ったのでイシシとティナは顔を見合わせた。


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