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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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町でご飯にしたいけど・・・?

そんな中途半端な時間に港町を歩く一行。皆は朝ご飯が食べられないのではとはらはらしている。


「お腹がすいたらどうしよう・・・」


ルナが心配そうにしている。基本的に大抵の事ではのほほんとしている彼女もご飯だけは心配だ。

本人が健啖家なのは間違いないが本体は神話に由来する大型の魔物が身体の一部になっている。そのため常に軽い空腹に近い状態なのだ。


「心配しなくていいぞ、ちゃんと予約してあるからな」


深刻そうなルナをみかねたのかイシシがこの時間帯を指定した理由を教えてくれる。


「予約なんて合ったんですか?」

「普段はやってないが前日から頼めばある程度はな。そうでなくても俺含めて六人分が突然増えたら喰い逸れる奴が出るだろ?」


そう言いながら町の中央通りに入ると荷車を引いている男性と何人かすれ違った。


「あの人達は何でしょうか?」

「荷車の修理屋だな、毎日使う奴だから管理してる奴がいるんだ」


塩の生産はワイルビーの収入源の一つ。その生産には火の魔石が欠かせない。

火の魔石はご近所の竈に朝一で取り替えられ、古い窯や竈で火を起こした際に集まる火の精霊の魔力を補充して再利用できるのだ。ただ魔石は不思議な力を帯びているとはいっても石は石だ、非常に重量がかさむ。

その為に荷車に積んで運ぶのだが塩の生産をしている塩田や窯場は風が良く通る高台にあるので職人はそれをうんうんと唸りながら押したり引いたりしてそこまで運ぶ。そうすると当然ながら荷車にはかなりの負荷がかかり、車軸などもよく壊れるのだ。その為木材の確保しやすい街の外れに工房をつくり、業務を終えた荷車のメンテナンスをしている。


「だから荷車も専門で管理する人がいるんだね」

「そうなるな」


イシシがそう答え、ふと何かを見つけたのか目の上に手を翳して遠くを見るようなポーズを取る。


「どったの?」

「いや、弁当屋が待ってる場所に来たんだが・・・」

「お弁当屋さんが居ないの?」

「そうみたいだ、昨日ちゃんと頼んだんだがな」


それを聞いてルナがこの世の終わりのような顔をしている。クインクが心配そうにうろうろしているが彼女に主人を助ける能力はない。無常である。


「すっぽかすような奴じゃないはずだが・・・忙しかったか?」


イシシはそう言うと通りに設置されたベンチに腰掛けた。ここを待ち合わせの場所に選らんだようだ。

通りは奥様方が時折歩いているがまだ市も店も開いていない時間だ。人通りもまばらである。

すれ違いになったということもないだろう。仮にイシシが気付かなくても相手はイシシに気付くだろうからだ。

おかしいな、とすこし心配そうなイシシに一行もどうしたものかと思っていると・・・。


「うーんしょ・・・うーんしょ・・・」


ルナがぐんにゃりし始めた頃、遠くから荷車を引く男の子の姿が見えた。時折すれ違う奥様方が心配そうにみている。体は小さく、どうにも10歳に届くかどうかと言った見た目だ。そんな子が荷車を引いて歩いているのだから不安に思うのも仕方ないのかもしれない。


「イシシさん、あの子こっちに来ますよ」

「なに・・・?ありゃあ弁当屋の倅じゃないか、小さいのになんで配達なんかやってんだ?」


イシシは立ち上がるとこちらに向かってよたよたと荷車を引く男の子に手を振って歩み寄った。


「おーい、ここだ」

「あー、せんちょう!」


イシシの姿を見つけると子供は笑顔を見せた。イシシはしゃがんで視線を合わせると頭をぽんぽんと叩いて子供を労う。その手は重い荷車を引いていたためかマメができており、赤くなってしまっている。


「ごくろうさんだな、今日は父ちゃんいねえのか?」

「こしがいたいからあるけないんだって」

「お怪我を?」


脱力していたルナが起き上がって子供の元にやってきた。子供は見知らぬ女性に声を掛けられて少し戸惑っていたようだがルナが法衣を模したポンチョを着ているのを見てすぐに頷いた。


「ふくろをもったときにおおきなこえをだしてうずくまっちゃったの」

「魔女の一撃だな、長引かないといいが」


あー!って言ってた。と子供は身振り手振りで状況を説明してくれる。イシシが推察するのはぎっくり腰だ。

そんな男の子の手を見てルナは頬に手を当てて考えるとイシシに尋ねた。


「そのお弁当屋さんは何処にあります?」

「近所だがどうするんだ?」

「私の術で治療しましょう。完治は無理でも痛みを和らげるくらいはできるかと」


祈る仕草をするとルナの両手に淡い光が宿る。そして子供の手をそっと包むように触れる。

すると子供が驚いた様子で掌を見ていた。赤くなっていた手がみるみるうちに元に戻り、マメも消えていた。


「いたくない!」

「親御さんを助けたご褒美です。配達に行ったのはここだけじゃないんでしょう?」

「もちろんだよ、ぼくはおとこだから!」


頑張りましたね、とルナが言うと男の子は自慢げに胸をはった。ルナはそれを聞いて笑顔で頷く。

男の子は荷車に食事を乗せて配り歩いたのだろう。靴も汚れており、歩いた距離を物語っていた。

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