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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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港町の朝

「む・・・」


翌朝、ルナは何処からか日光が届いていることに気がつき目が覚めた。それに身体が重い。


「ぐーっ・・・」


手を動かすとティナが右腕にくっついているのがわかった。そしてその間に挟まれていたクインクが暑くなったのか間から身体をはみ出させてルナのお腹の上に頭を乗せている。

反対側を見るとカティナがルナの左腕にくっついている。

クロエは最初の位置から微動だにすることなく眠っていたがカティナがルナにくっつく際にシーツがずれたのか体が少しはみ出している。そのせいかなんだか小刻みに震えているような気がする。


「だれか、だれかおきて」

「ぐーっ・・・」

「むぐ・・・ぎゅー」


身をよじってみたがティナもカティナも動く気配がなく、クインクがそのたびに圧迫されて呻くばかりだ。


「くわぁ・・・どうしよう」


欠伸をしながら考えてみるが寝起きの頭ではどうにもならない。そんなルナの助け船になったのは戸を叩く音と大きな声だった。ドンドン!と大きな音が響いた。


『おーーい!起きろ!朝だぞ!』

「むぃっ!・・・ハックシュン!」


ドアが壊れそうなくらい強く叩かれている。そしてドア越しでもはっきりと聞こえる大声。

イシシの声だ。その大声にクロエが上半身を弾かれたように起こし、盛大にくしゃみをした。


「・・・さむい」


クロエは肩を摩って自身の状態を確認すると原因を悟ったかカティナの鼻をつまんだ。


「ふがっ」

「・・・ふっ」


すこし苦しそうにしつつもまだ起きる気配がなかったので次にクロエは・・・


「・・・えいっ」

「ひゃいっ!・・・なにごとっ!?」


冷え切った手をシャツの中につっこんだ。すると流石にカティナも飛び起き、周囲を慌てながら見渡した。

クロエは手を引き抜くと素知らぬ顔で上着を着こんでいる。


「イシシさんの声だね」

「もうそんな時間・・・?」

「・・・海賊さんは早起きなのかもよ」


ティナはまだ眠ったままだ。カティナが手を離したのでルナが上半身を起こすと同時にクインクも目を覚ました。

ルナが急いで着替えてドアを開けると皆の予想通りイシシが立っていた。ワイルビーでは早寝早起きが基本なのかまだ肌寒い早朝にも関わらずイシシは元気だ。


「おはようございます、イシシさん」

「おはようさん!人魚の入り江には漁船で向かうから町で飯を食ってから行くぞ」

「今からですか?」

「何か都合が悪かったか?」


ルナはそう言うと後ろを振り返る。クインク、カティナ、クロエは起きたがティナがまだ寝ているのだ。


「ティナちゃんが起きなくて・・・」

「ああ、あの子か。商人なのに朝が弱いのは良くないな!まあまだ時間も早いし、起きたら町に来てくれよ」

「すみません、来てもらったのに・・・」


謝るルナに気にしなくていいさ、とイシシはそう言うとすたすたと町に戻って行った。


「もう!」

「ティナちゃん起きないね」

「ティナちゃーん!起きないと置いてくよー?」


皆が着替え、出発の準備を進める中でもまだ起きない。普段アダムにげんこつで起こされているせいか滅多な事では起きなくなってしまったのだ。


「・・・仕方ない、これを」


クロエはそう言うと財布から糸に繋いだ硬貨を取り出した。そしてそれを暖炉の石の方に向かって投げる。

すると硬貨はちゃりん、と高い音を立てて弾んだ。


「銅貨!」


わたわたとベッドを這いまわるとティナが暖炉目掛けて動き出した。クロエはそれを見て糸を引くとそのまま自分の財布に戻した。


「ない、ない!音が聞こえたのにないよ!銅貨の音がしたのに!」

「音で種類がわかるんだ・・・」


むいーーーっ!となぞの声を上げているティナだったが頭を掻きながらいそいそと着替えだした。

そしてその間に目が覚めたのか思い出したように言った。


「そういえばさっきイシシのおじさん来てた?」

「うん、町でご飯食べてから人魚の入り江に行こうって」

「なるへそ、じゃあ早速行こうじぇ」


ティナはこういう時に行動が早い。一番最後に準備し始めたのに終わってみれば一番最初に準備が終わっている。

彼女の生家のルーツは行商人だという。そのお陰か彼女はフットワークが軽いのだ。





「お、来たな」

「お待たせしました」


教会から出て町の入り口にくるとイシシが立っていた。どうやら待ってくれていたようだ。

一行が挨拶を交わす中、ティナが一番雑な挨拶だった。


「よーす、おじさん。ご飯行こー」

「相変わらずだなお前さんは」


自分の為に待ってくれていたにも関わらずティナはまったく悪びれずイシシに挨拶をする。

イシシは呆れていたが彼女はこういう奴だとイシシは知っているので何も言わなかった。


「さて、朝飯だがあいにくと店はもうなにもない」

「えっ」

「俺が尋ねたくらいの時間でも遅いくらいだ。だからもう大半の店やらでは食い物はほとんどない」


漁師は日が昇る少し前に漁に出る。その道中で朝飯を調達する。塩を作っている職人も同様だ。火の魔石を回収するついでに町で朝ごはんを買っていくのだ。もしくは弁当を持たせてもらう。

朝早くから開いている店はこういった人を相手に仕事をしているのでほぼ売り切れている。それ以外の店はまだ開いてないのだ。


「漁師の市が始まるのはぎゃくにもうちょいかかる」

「えー、じゃあ急いで起きる必要なかったじゃん」

「まあそうぶーたれるな、行くぞ」


漁師は今のところまだ漁をしているか、釣果を港まで運んでいる最中だろう。今は港町で食事をするには中途半端な時間と言えた。


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