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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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荷物をあらためる!

イシシの号令で甲板に木箱が並べられていく。木箱の量はかなりのもので、拿捕した密輸船の物資は慣例としてイシシ達の物になるのでかなりの儲けになるだろう。


「よーし、今回も大漁だな!ガハハ!」


イシシが豪快に笑う中、老人は積荷をちらちらとひたすら気にかけていた。


「お頭、目録がありましたぜ」

「よくやった!よーし、一個ずつ検めていくぞ」


木箱を前に船員達はくぎ抜きやらを手にイシシの号令を待っている。そしてその一個目に手を掛けたとき・・・。


「ちょーーーっとまったー!」


ティナがやってきて待ったをかけた。全員がキョトンとしている中、ティナは神器の一つであるハンマーを手にすると一つずつコンコンと叩き始めた。


「お、おい!嬢ちゃん何やってんだよ!」

「安全の為だよ、魔法使いが関わってる物品に気安く触っちゃダメなんだから!」


ハンマーを示すと表面に電気が走っているのが見える。船員達はその様子を見てどういうことかと説明を待っていた。ティナはその様子を察してつづけた。


「こういったものには盗難防止や中身のすり替えを防止するために魔法でガードされてる場合があるんだよ」

「魔法で・・・?」

「そ、だからこれで反応を確かめるの。魔力を当てると反応するからそれはパスして、無反応なヤツから検めてね」


ハンマーでたたく、反応がない。するとティナはその木箱を指さして


「良し!これは魔法で防御されてないよ」

「ほうほう」

「次は・・・うわっち!」


コン、と叩いた瞬間に木箱から火が上がり箱が勢いよく吹き飛ばされた。ティナは顔を背け、船員達は木の板でされていた蓋が勢いよく舞い上がったのを見て仰天した。


「魔法でガードされてた・・・知らずに開けたら黒焦げになるところだったね」

「止めに来た理由が分かったな、おっそろしい罠が設置されてたとは」


そーっと中身を覗くと動力を失った魔法陣がくすんだ光を放っており、動力源らしい魔石が燃え尽きている。


「とんでもねえな・・・しかしこんなものを持ち主はどうやって開けるんだ?」

「たぶん魔力を通さない手袋で開けるか、魔石の魔力を奪う道具を翳して魔法陣を無力化してから開けるんだと思ううよ」


魔法陣の板を取り出すとティナは煤を払ってイシシに見せる。


「でもこうやって解除すればこれも売り物になるよ」

「マジか」

「しかも結構いい値段になる、魔石があれば種火要らずだし」

「ほほう!」


ティナの解除方法は魔石に魔力を送り込んでオーバーヒートさせて魔石だけを焼き切ってしまうやり方だ。

魔法も同時に発動してしまうがよほどのことがない限り商品は罠で破損しないように細工がされているので上手くやれば罠に使った魔法陣も回収できてお得かつ安全なのだ。


「こりゃ分け前を渡さにゃならんな!」

「わぁい」


魔法使いが一人いるだけで安全だけでなく罠にも価値が出てくるとわかりイシシ達はニッコリ。ティナも旅先で儲けにありつけてにっこりである。


「よし!それじゃ嬢ちゃんが検査してないのをこっち、したものをこっちに移すんだ!」

『アイアイ!』


そしてティナたちがはしゃいでいる中・・・。



「くしゅん」

「大丈夫ですか?」


命知らず号の甲板でルナは服を乾かしていた。最初はカティナが風で乾かしていたがそのぶん体が冷えてくしゃみをするようになったのでクインクと共同で火を起こし、それを空中に滞留させることで暖を取る作戦にした。


「それにしてティナちゃんどこ行ったのかな?」

「なんか大漁って言った瞬間飛んでいったね」


カティナは呆れながらルナのポンチョの水気を搾り、それから火に翳して乾かしている。


「ティナちゃんらしいね・・・」


火は形こそ小さいものの温度が高く、みるみるうちに服は乾いていく。着替える暇がなかったので祭礼の服のままだったのが大きいのだろうか。

服がほとんど乾いたころに波の音に混ざって誰かの声が聞こえ始めた。


「・・・?・・・声?」

「海でこんな音って・・・まさか、セイレーンの歌声?!」


カティナは素早く風を操って魔力を帯びた風を周囲に吹かせることでセイレーンの歌声にのる魔力をシャットアウトする。魔力さえ遮ればセイレーンの歌は魔法としての効果を失う。また音を歌と認識できなくなっても同様である。


「向こうには聞こえてないみたいだけど・・・ってことはルナちゃんに向けたものってこと?」

「なんでそんなことを・・・」


ルナはカティナの防護を受けつつ海を覗くとカティナの予想通りセイレーンがこちらにむけて声を上げているのがわかった。ルナがセイレーンたちを見やると彼女達は歌が効いていない事を知って驚いた様子を見せている。


「驚いてるね」

「音を使った魔法は防ぐのが難しいとディーン先生が言ってました!」

「すごいね」


二人が感心しているとカティナはちょっとだけ自慢げに答える。


「そうみたいだけど風の魔法と魔力の流れを読めれば防ぐのはそう難しい事じゃないのよ」


風に乗った魔力を感知することができるエルフと音の魔法は非常に相性がいいらしい。聞き取れる音域の多さなどが人と違うエルフは魔力が音にのって伝わるのを知覚できるのだ。そしてその波長は風の魔法によって阻害することも増幅することも可能とのこと。

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