表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
311/331

密輸船での戦闘は?

ルナが二隻の幽霊船を撃沈、撃退した頃。

イシシ達も甲板をほぼ制圧していた。


「抵抗しないなら武器を捨てて甲板にあつまれ!コソコソしてやがると魚の餌にするぞ!」


甲板は戦闘の余波で酷い有様である。そんな中で敗戦処理をする為に密輸船の水夫達は怪我人をスペースのある船尾に、死体を船首に集めていた。


「よし、それでは船の臨検を行う!」


船の責任者は?とイシシが問うと集められた水夫の中から中年の男が出てきた。身なりは良いが体格は貧相でいかにも荒事とは無縁と言った様子。


「お前が船長か?」

「そ、そうです・・・」

「幽霊船まで引き連れてる船の長にしちゃ随分と貧相な野郎だな」


お前魔法使いか?と尋ねると男は首を横に振った。イシシは不審に思って船員に持ち物を改めさせたが怪しいものはでてこなかった。そうするとイシシはじろりと集められた水夫たちに目を向けた。


「中に幽霊船をけしかけた張本人がいるはずだ!どこにいる!」


血のこびりついたカトラスを突き付けて一人ずつに問い詰めるも全員の反応は一緒だ。

そんな奴知らない。その一点張りである。


「いいか!俺の船には偶然だが魔法使いも乗ってるんだ!しらばっくれても無駄だぞ!」


業を煮やしたイシシは水夫を一人捕まえるとその水夫の耳にカトラスを押し当てた。


「俺の話を聞く気がねえなら・・・この耳はいらねえな?」

「ひ、ひっ!まってくれ・・・!俺はホントに・・・!」


その言葉を遮るようにカトラスを滑らせる。そうすると水夫の耳に切れ込みが入り、痛みと恐怖に悲鳴を上げる。


「ぎゃああっ!言うっ!言うよ!ホントの事を言うからやめてくれぇ!」

「ほほう、そうかい。嘘だったら鼻を削いでやるぞ」


イシシは水夫の胸倉をつかむとカトラスを甲板に突き立て、代わりにナイフを抜いて水夫の鼻に押し当てる。


「誰が悪いんだ?ええ?五体満足で帰れるかどうかがかかってるぞ」


歌ってみな!と凄むと水夫は震えながら集められた水夫の中にいる痩せぎすの老人を指さした。

老人はギョッとした顔をしたがすぐに仲間の水夫に押し出される形でイシシの前にやってきた。


「お前か、魔法使いの癖に水夫のふりまでしやがって」


老人はよく見るとほかの水夫よりも清潔な服を着ている上に日焼けした跡もない。おそらく決着がついて勝ち目がないと踏んで水夫に化けて逃げおおせようとしたのだろう。

その理由としては明白で、まず最初に上がるのが密輸船の荷主である可能性があげられる。

船は荷物を積む依頼を受けて航海に出る事が多い。その際に積み込む荷物の持ち主や買い付けをした者が報酬を支払う事で船が荷物の運搬を請け負うのだ。

次に彼が幽霊船をけしかけた張本人だからだろう。密輸と近海の治安を守るワイルビーの船からの停船を拒否して戦闘まで行ったこと。この二つが組み合わされば陸に上がっても重刑は免れない。


「荷はなんだ?密輸までするほどのモンか?」

「い、言えない・・・」

「ほう、耳が無くなっても同じことが言えるか?」

「言えないんだ!魔法の制約がかかっていて・・・!」


イシシがカトラスを引き抜いて歩み寄ったのを見て老人は慌てて答えた。そして喉にある小さな刻印を見せる。


「これが見えるか!?これがある間は秘密を明かせないんだ!」

「なるほどな・・・おい!船内をさらえ!荷物を全て甲板に出すんだ!」


船員が頷いて続々と船倉へと入っていく。船の中では木箱に入れられた貴重品が多数積み込まれている。

船員達は慣れた手つきでそれを運び出していく。


「頭、あのお嬢ちゃんたちにはなんていいますんで?」


船員が滑り止めの砂を血溜まりに撒きながら言う。イシシは少し考えるそぶりをして言った。


「ここまで来ちゃ隠すのも無理だろ、それにホトケさんの処理もあるしな」


不承不承といった様子ではあったが戦後処理はしなくてはならない。イシシはそれと、と船員に指示をだした。


「勝者の総取り号と死なば諸共をここに呼んどけ、此処からなら狼煙で見えるだろ」

「アイアイ」


船員はマストのてっぺんで水夫たちを見張っている物見に狼煙のセットを投げ渡した。それを受け取った物見役は持ち込んでいた種火の入った筒に乾いた紐を突っ込んで火を点けるとその火を狼煙に移した。

狼煙の煙はもうもうと立ち昇り、空に真っ黒い煙を上げる。

その煙を辿るように二隻の船はこちらへと向かってくるのが小さく見えた。




「ルナちゃん、終わった感じ?」

「うん、そっちも?」

「そんな感じだね、ちょっと入るのは気が引けるけど」


ティナが船首で胡坐をかいて座っていた。ルナがびしょびしょになっていたのを見て色々と察したのかティナはあえて何も聞かなかった。太陽を遮るほどの霧に突っ込んだおかげで目には映らなかったがティナはルナが発した膨大な魔力を感じていたのである。


「そうなの?」

「うん、お仕事中って感じ。邪魔しちゃわるいからもうちょい待とう」


ルナちゃんびしょびしょだし。とティナが言うとそれに応えるようにルナは小さくくしゃみをした。

それから時間を潰すのも兼ねてカティナも加わり、ルナの服を乾かすことにした。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ