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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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密輸船を追え!

皆が不安に思う中、イシシは港に向かって歩き始めた。皆も不安に思いつつガラバを寝かせておく場所が必要になったので町へと戻ることに。


「大丈夫かなぁ・・・」

「ガハハ、努力目標が義務に変わっただけだ!気にするな!」


イシシは勝算があるのか呑気に笑っている。それを差し引いても護符がもらえたのがよほど嬉しいのだろう。


「ところで、どうやってその密輸船を探すの?」

「探す必要なんてないさ、航路は限られてるからな」


ワイルビーの周辺の海域はウェパルの部下であるクラーケンの縄張りである。その為に安全に航行できる海路というのは非常に限られている。ましてやイシシの部下たちの目を掻い潜ってとなるとさらに限定されるのだ。


「俺たちに見つかると不味いってことは海路を通って別の港には行けねえ。となるとまた川を遡って帰る道しかねえからな」

「となると帰ってくるのを待って捕まえるだけでいいってことなんだ?」

「そういうことだ」


イシシはそういうと港町に入り、どこか弛緩した雰囲気の船をジロリと睨みつけた。


「テメェら!!!船出の準備をしろいッッッ!!!!!」


船が揺れそうなほどの大声でイシシが叫んだ。ルナ達が飛び上がるほどの大音声である。


「お、お頭!帰ってきてたんですかい!?」

「俺が帰ってようが何しようが関係ねぇだろ!テメェらお客人の前でだらしねぇ格好してやがると魚の餌にするぞッ!!!」


イシシがそう叫ぶと船の周囲にいた水夫たちも揃ってあたふたと出航の準備に取り掛かった。そうしているとその中から中年の男性が一人、どたどたと走ってくるのが見える。年齢からするとイシシよりも年上のようだ。


「船長ー!待ってましたよォ!」


イシシの前にやってくると心底安堵した様子で大きな息を吐いた。他の船員に比べて清潔な恰好をしており、この船に置いてそれなりの地位にある事が伺える。


「おう副船長、時間食っちまって悪かったな。だがこの通りだ」


イシシは首から提げた護符を示して言う。副船長はそれを見て嬉しそうに笑った。


「おお!これでまた海に出られる!やった!」

「一仕事だ、密輸船を狩る!航路は北のルートだ!」

「アイアイ!」


副船長は船員の誰よりも元気に船に戻って行った。そして出航の雰囲気が港町に伝わり始めると船員の奥様方がいそいそと食事や衣服、それに刀剣やら武器類を運んできた。


「船長!早速出航かい!これとこれをもってっておくれ!」

「おう!密輸船を分捕ってくらあ!」

「頼もしいねぇ!ほら、コートを渡しとくよ!」


運ばれてきた食事や衣服を受け取って普段着だったらしい男たちが丈夫な粗布や麻の服装に袖を通していく。

そして全員が腰にカトラスを差し、葡萄酒の入ったコップを片手にイシシの前に集合した。


「野郎ども!密輸船狩りだ!船を分捕ってウェパル様に捧げる!復帰祝いに盛大にやるぞ!」

『おおおおっ!』


イシシは瓶から豪快に葡萄酒を飲み干し、他の皆も葡萄酒を飲み干した。


「俺たちは血を分けた兄弟よ!死ぬことなんて怖くねえ!分捕って儲けろ!死ぬときゃ一緒だ!」


イシシの言葉を受けて全員が頷くと船に乗り込んでいく。その様子を見ながらイシシは三角帽をかぶるとルナ達に顔を向けた。


「俺たちはこれから密輸船が戻ってくるルートで待ち伏せる。護衛がいるかもしんねえがまあ、その時はその時だ。その間お前さんたちはどうするね?」

「私はお手伝いしたいとおもいますが」

「お嬢ちゃんがか?しかしお前さんを乗せるのはちょっとなぁ」


ルナが手を挙げた。それに対してイシシは少し渋った。ルナが心配なのもあるし、後ろの友達もついてくると言いかねないからだった。


「私空飛べますし」

「えっ!ホントか!」


最近の尼さんすげえな!とイシシは驚いていたがもちろん尼さんが空を飛べるわけではない。

ルナは悪魔としての力があるから自分は安全と言いたかったわけであるがイシシはそんなことを知らないのである。


「私達は人魚の入り江に行きたいね」

「人魚の入り江?お前さん達どこでそれを・・・」

「ここに来た事のあるエト・・・シスターから聞きました」


祭礼の勉強の合間に行こうってことでついてきたんです。とカティナが説明するとイシシは納得した様子だった。

祭礼の季節から外れているし、自分がいなかったことで船の出入りも止まっている中に何を目的にしていたがずっと不思議だったのだ。ルナはシスターの見習いだからと思ってはいたがここでようやく合点がいった形だ。


「なるほどなぁ、たしかにあそこは一度は行っといて損はない場所だ」


人魚の入り江、そこは開祖の聖職者が修行をしていた離島にある場所のことであるという。

船でしか行き来できないところなので聖職者かワイルビーの知り合いがいないと一般の旅行者などでは行けない場所である。


「そんなにいいとこなの?」

「まあな、あそこらへんは波も穏やかで気候も良いし離島に群生してる果物は日持ちはしないが美味いんだ」


生活の安定した場所でほどよく俗世から切り離された場所というのは修行中の僧侶にとって大変に都合がよかったのだろう。そこでは聖職者が時折修行に来るだけでなく、植物学者や一部の金持ちが静養に来ることもあったという。


「魚も良く釣れるぞ、本来ならあそこは有料なんだがお前さん達なら無料で構わんぞ」

「「「「わぁい」」」」


そして色々と迷惑がかかったお詫びということなのだろう。離島にある宿泊施設を無料で借りられることになった。

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