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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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契約を完了するには!

イシシとルナが契約書をみて頭を抱えていると遠くで様子を見ていたティナ達がやって来た。


「何があったの?」

「ウェパル様と契約したまでは良かったんだけど問題が・・・」

「普通大悪魔と契約すること自体があんまりよくないんだけどね・・・」


ルナの言葉にカティナは呆れた表情でそうつぶやくとルナの表情がキュッとなった。


「しかもガラバさんも倒れてるし」

「なんで?」


ウェパル顕現の余波で離れていたティナ達は気づいて居なかったがイシシに踏んづけられて失神したガラバが荷台に乗せられている。イシシの申し訳なさそうな表情を見て皆はなんとなく事情を察し、何も聞かない事にした。


「もしも契約の支払いができなかった時にウェパル様の巫女になってって言われてさ」

「えっ!大変じゃないの?」

「そうなの、でもイシシさんはなんとか出来るっぽいから了承したんだけど期限が書かれてないからどうなるか分からない状態」


うーん、と考えこんだ様子だがルナにそれを解決する術はない。


「ご、ご主人様、私は・・・私は・・・海の底までついていきますからねぇ」

「落ち着いて、そんなことにはならないから」

「ルナちゃんはどうしてそんなに落ち着いていられるの!?大悪魔なんだよ?」


クインクはルナにだきついて悲嘆にくれている。カティナものほほんとしたルナに呆れた様子で言う。

ルナは流石に無茶はしないだろうと思ってはいたが悪魔は長命だ。彼らの『ちょっとの間』がどれくらいになるかは未知数である。


「だいぶヤバいじゃん・・・」


流石のティナもあたふたしている。そして皆の視線がイシシに向いた。


「どうするんですか!このままじゃルナちゃんが・・・」

「落ち着け、俺もなんの勝算も無しにあんな契約をしたと思うか?」


イシシはやや恰好をつけていったが・・・。


「「「・・・」」」


ルナを除く全員の目はやや懐疑的だ。イシシはちょっと傷ついた。


「お、俺が山に居た時に川からこそこそと外洋に出ていく船を見たんだよ」

「船?」

「ああ、あれは密輸船だ。間違いねえ」


イシシはそう言うとニヤリと悪い顔をした。全員がキョトンとしている中でイシシはこの港町周辺を航行する船のルールを説明した。


「ワイルビーは元々国から船の臨検や拿捕をする権利をもらってるんだがそれはしってるか?」

「私掠船だったこともあるっていってましたね」


ルナがエトナ―から聞いた話を言うとイシシは頷いた。ワイルビーの船乗りは漁師を除いては皆私掠船の船員だった歴史がある。昔から大小の戦争やら紛争があった経緯からそのような歴史になったわけだが、その際に国は外洋を航行する自国の船舶の安全と敵国の侵入や輸送の阻止などを目的として民間船に略奪の許可を出したことがある。

現在は外交的な意味合いから不必要に外国の船舶を襲うことはできないがそれを利用して密輸や密入国を企てる者がいる為に船を臨検する権利を持ち、船の上で起こったことを闇から闇に葬る権利を持っている。


「凄いですね・・・港町は皆そんなことを?」

「もちろんウチだけさ、それだけ祖父さんが暴れたってことでもある」


イシシの祖父は名うての船乗りであり、また三隻の船団の長でもあった。彼は最終的に三隻の軍艦クラスと中型船、小型の漁船などを所有していた。それによって夜襲や工作に漁船を、海戦に命知らず号を筆頭の三隻、輸送や補給に中型船を運営する組織としてルナ達が済む街を含んだこの地域一帯を外洋から押し寄せる外敵より守っていたのだ。

その功績から戦争が終わった後も貿易船を検査する権利などを持ち続けている。


「それはわかったけどどうして密輸船だってわかるのさ?」


ティナはイシシが権利を持ち合わせている事を知って一瞬納得したがすぐに疑問を投げた。

見慣れない船だからというだけでケチをつけることは流石に厳しいはず。しかし海の男であるイシシには細かい不審な点がいくつも目についていたのだ。


「それは簡単さ、まず最初に旗が船のどこにも掲げられてなかった事だ」


外洋や内陸で運航するには当然ながらどこの誰かを示す必要がある。声や信号が届きにくい遠距離からでも識別するには旗を掲げることが何よりも重要である。


「民間の船だったんじゃないの?」

「商船なら商会の旗が、個人の所有なら家の紋章が入った旗を掲げるのがルールだ。これは貴族だって、悪魔だって守ってることだぞ」


大きな商会が船を所有していることは珍しくないがその場合には所属を表わす旗を掲げるのが法や安全の為に義務付けられている。個人所有の場合も同様である。また当然ながら船を所有する個人など貴族レベルの金持ちや名家しかありえないので当然ながら所属を証明する紋章入りの旗を掲げるのが習わしでもある。


「旗が無いなんてのはありえない。何か事故や不備があったなら外洋にでるなんてありえないし、わざと隠してるのなら当然後ろめたい事があるというわけだ」


そうなると止められてもしょうがないだろう。とイシシは言う。


「後ろめたい事があるって・・・」

「まあ十中八九密輸だろうな、ご禁制の品をこっそり運んで売り捌くか金持ちの依頼を受けたかだ」


イシシのような海での活動を生業にしている男がそう言うなら間違いはないだろう。しかしである。

海は広く、イシシが山に居た期間はそれなりに長かったはずだ。

それなのにどうやってその船を探すのだろうか?


「その見た船が怪しいのはわかったけどどうやってその船を追いかけるの?」

「追いかける必要なんてないさ、まあ俺に任せときな」


イシシはそう言うと不敵に笑って見せた。


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