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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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港町ワイルビー

馬車に揺られる中、ルナは皆と話しながら考えていた。


(ウェパル様にもしかして挨拶できるかな?)


と。バエルとは手紙などで割と頻繁にやり取りをしているし、ルルイエもそうだ。アモンはバエル経由で伝わっているだろう。そうなると頻繁に連絡を取れていないほかの大悪魔にもお世話になった御礼くらいは言いたかった。

しかし大悪魔を召喚するなんてもってのほかだし、連絡手段がなかったルナには今回で自身の名づけに関わった悪魔と会えるかもしれないと少し期待していた。


(もしウェパル様に会えたらあとはイポス様とラハブ様か・・・会おうと思って会える方じゃないけど御礼くらいは言いたいな)


そう思いながらルナは港町への道中を馬車に揺られていた。


「申し訳ありませんがここからは歩いてください」


そう思っていると馬車は少しずつ速度を落とすと進行方向を変えられるように整えられた円形の道で停車し、僧侶から突然そう言われた。


「えっ」

「ここからは道が細くなるので馬車では通れません。海路なら直行できますけど・・・」


皆が仰天していると僧侶はその理由を簡単に説明する。彼が指さした先は山道に続く道であり、崖伝いに道が続いている。歩いていくならともかく馬車では確かに心もとない幅だ。


「あそこの港町は三方を山に囲まれた険しい場所なんです。その抜け道に当たる道は細く、この馬車ではそこを通ると他の馬車の邪魔になってしまうんですよ」


それに、と付け加えた。


「食料品を運ぶ荷車以外は基本的に襲われるので」

「えっ!ヤバいじゃん」


ティナが驚いた様子で言う。襲われるということは山賊か何かが出るのだろうか。


「私達は大丈夫なんですか?」

「旅行者と僧侶は襲われません。馬車だけが標的になります」


その言葉に全員の頭に?が浮かんだ。どういうことだろうか?そんな反応に僧侶はさらに説明を続けた。


「どう言ったわけかわからないのですが馬車の規格に非常にうるさいのです。荷馬車はいいのに人が乗る乗合馬車なんかはかならず襲われて壊されてしまいます」

「もしかして海の悪魔の為だったりして・・・」

「もしかするとそうかもしれませんね」


ティナの言葉に僧侶も話半分で頷いた。理由はともかくここからは歩いて行かないと馬車は壊されてしまうそうだ。

何故にそうなるのやら。ただ、ルナはウェパルの強大さを身をもって知っているため現地の人が信仰による理由で馬車を遠ざけたとしてもなんら不思議ではないと思った。


「とりあえず歩こう、少しかかるかもだけど・・・日が落ちる前には着けると思うよ」

「ダメだったらルナちゃんの羽根で飛ぼう」

「目立つからダメ」

「・・・不便も旅の味」


面々はお互いにそう言いつつ僧侶にそれぞれお礼を言ってそのまま歩き始めた。見た目こそ鬱蒼としげる森をぬけるようであったが抜け道はおもったよりも歩きやすく、皆はそれほど苦労することなく港町へと歩き出した。



(・・・)


しかし順調に進む中で一行を見つめる視線に気づかないまま。



「微かに潮の匂いがしてきたね」

「マジ?ルナちゃん鼻いいね」

「・・・まだ山の植物の匂いが強いかな」

元気印のティナとルナ、そして地味に今回の旅を一番楽しみにしていたクロエが先頭を歩いている中、

前を歩く三人の後ろでカティナとクインクが話している。。


「ルナちゃんが感じてるのってやっぱり魔力なんじゃないかな」

「御主人様はいろんな悪魔の力を得ていると聞きますからあり得ますね」


ルナは自身の命名式の際に海にルーツを持つ大悪魔の複数人から名前をもらっているのでそういった気配にも鋭いのである。


「もう少ししたら着くかな?」


山道を歩く中、森の切れ目が見えてきたころだった。不意に茂みがガサガサと音を立て始めた。

全員がその茂みに目線を向けるとそこからエルドを思わせるような体格の大男が転がり出てきた。

腰には大きなカトラスを差し、腕は丸太のように太く歴戦の戦いを思わせる傷痕が走っている。実際に黙って立っていればかなり威圧感のある見た目をしているだろう。


「テメエら!身ぐるみ置いて・・・間違えた!えーっとだな!」

「きゃー!山賊!」

「えっ!山賊!?どこどこ!」


珍しくクロエが悲鳴を上げると大男はきょろきょろと周囲を見渡し始めた。くりくりとした大きな目と虎髭をぼさぼさに伸ばし、いかつい見た目をしているがクロエの言葉をうけて周囲をうかがっている様はちょっとマヌケだ。


「山賊なんかいないじゃないか!」

「おじさんのことでしょ?」


ティナが指さすと大男は驚いた様子で答える。


「えっ!俺は海賊だぞ!・・・じゃなかったもう海賊でもない!」

「山賊なのか海賊なのかはっきりしてよ!」

「だから山賊でも海賊でもない!」


ティナが一々反応するのでまったく会話が進まなかった。大男のとぼけた態度も相まってなんとも言えない気の抜けた雰囲気が漂っている。


「じゃああなたはどなた?」

「人に名前を聞くなら自分から名乗るべきじゃないか?」

「でもおじさんが私達を通せんぼしてるし・・・」

「そ、そう言われるとちょっと難しくなってきたな」


何の話をしているのやら。ティナと大男の繰り返される不毛なやり取りにルナとカティナ、クインクは目が点になっていた。

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