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悪魔になったらするべきこと?  作者: Faust
ルナ、水軍の船長と出会う
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船旅!

船旅と聞いて皆は顔を見合わせた。海に行くのもそれなりの旅行になるはずだが船に乗るとなるとさらにである。

しかも子供たちばかりとなるとさらに問題がある。


「船に乗るっていったってそんな私達が旅行なんかで乗れるような船なんてあるの?」

「もち!安いし!パン一斤くらいの値段でいける!」

「安いのはいい事ばかりじゃないんだよ?!」

「ユピトール!お前そのチラシの業者はダメだぞ、詐欺同然の奴だ!」


ティナの悪い癖が出た。安い費用に飛びついたのだろう。旅先で安い宿やら安い交通手段などいえば碌な事にならないだろう。しかも隣で話を聞いていたアダムがチラシを取り上げてティナを叱り飛ばした。


「安いからと飛びつくヤツがあるか!お前それでも商家の娘か!」

「えー!でもそうなると足がでるんだけど・・・」

「えー、じゃない!荷物だけならまだしも命を落とす事にもなりかねん!その業者を使うなら教員として許可は出せんぞ!」

「ふぎゃー!」


アダムに説教され、ティナは悶えている。当然の事なので周囲は気にも留めていなかったが実際問題船旅などどうすればいいのやら。


「私達の方でもいくらか出し合えばなんとかなるかな?」

「・・・船旅の相場知らない」

「同じく」


当たり前だがバエルから過剰なお小遣いを供給されているルナを除けば一般家庭や森育ちのとても裕福とは言えないメンバーである。いくら儲けたとは言え、ティナも全員の面倒は見切れない。


「お金は無いけど皆でお出かけしたーい!」

「無茶を言うな!」


ティナはそう叫んだがそれらしい案は出ることも無く。どうしたものかと皆が悩んでいた時である。


「船旅かぁ・・・」


とあるお休みの日、ルナはエトナーの手伝いで教会の礼拝の後片付けをしていた。


「船旅?ルナちゃんどっか行くのか?」


箒片手にエトナーが言う。ルナが何処か元気が無いのに気付いたのだろう。彼女もそう言った人物を放置はしないのだ。


「友達が皆で海に、って言うんですけど安いとこを選ばないと皆で行けないから困ってたんです」

「安いとこか、アダムの引率なしだろ?ならある程度は金がいるわな」


アダムが居れば多少安い所を選んでも問題ない。アダムならばそのプランや馬車などが安全かどうか見抜く知識と経験があるからだ。それになんだかんだ言って男が居ると話は変わるもの。それを抜きにするなら信用できる所を利用する必要があるのだが、値段には護衛や荷物の保障などがあるためそう言うのはとても高いのだ。


「女の子だけだろ?そうなるとなぁ・・・いや、待てよ?」


エトナーはそう言うと何かを思い出したように手を叩いた。


「そうだ、人魚の入り江があったな」

「人魚の入り江?」

「その昔人魚が集会に使ってた入り江さ、波も穏やかで水温も程よい穴場だよ」

「そんな所があるんですね」


エトナーは何処か懐かしそうに頷きながら言った。そこはかつては人魚が、そして今は知る人ぞ知る穴場の観光スポットになっているそうだ。


「んでもってそこの近くの港に停泊してる船は敬虔な日光教徒だ。そこの連中なら人魚の入り江に格安で送ってくれるだろう」


ちょいと荒っぽいがな。とエトナーは言う。彼女いわくその港に住む男達は皆勇敢で、この国の海の玄関口を守る名うての船乗りなのだという。


「ほえー」

「昔は荒事ばかりだったが最近は戦も減ったからなぁ、密輸業者やらから巻き上げて稼いでるだろうな」

「それって大丈夫なんですか?」

「元より民間人に手を出す代わりに許可された行為だからな、誰かれ構わず巻き上げてるわけじゃないから大丈夫さ」


ルナは大丈夫なんだろうか、という疑問が頭に浮かぶ。私掠船ということは結局のところ許可された海賊という違いでしかない。いくら日光教の信仰を同じくするからといってそれはどうなんだろうか。


「そんな船の人って危なくないんです?」

「大丈夫さ、海賊同然だったのも当代の祖父の時代だし」

「じゃあ今は・・・?密輸業者を襲ってるとか言ってたじゃないですか」

「そりゃあバカが居ればそれを取り締まる次いでにって奴。今は貿易と商船の護衛で生計を立ててるさ、なんなら馬車もだしてやろうか?あそこじゃ毎年祭礼もやってるしな」


祭礼、という言葉にルナは再び不思議に思った。それに何の関係があるのだろうか。


「祭礼がどうかしたんです?」

「あそこの港町じゃ生まれた子供が海に出る許可やら安全やらを悪魔や神に祈願するんだ。そんでもって日光教の僧侶やらがそれを取り仕切るんだよ。ルナちゃんも私らと同じ道を歩いてるんだから勉強してきな」


エトナーはそう言うと懐から貝殻を使ったネックレスを取り出した。その貝殻は虹色に輝いており、美しい色あいをしている。


「これを貸しとく、身分証代わりになる」

「これを持っていると何があるんです?」

「港町の人間には祭礼のやり方を学びに来た神官か僧侶の卵に見えるってことさ。そうすりゃ町の人間はルナちゃん達を粗末にゃ扱わない」


たとえ私掠船上がりの荒くれ者でもな。とエトナーは言う。

海の男達が海で稼業を連綿と続けていくには日光教が取り仕切る祭礼を幼い子供に受けさせる必要がある。そう言った経緯からエトナーは大丈夫だと言いたいのだろう。日光教はあの港町の文化と密接にかかわっているのだ。

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