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実技大会が終わって

実技大会が恙無く?終わってティナ達はめでたく学費の免除を受ける事が出来た。表彰式などもあると言う話だったが上級生を余計に刺激しないで欲しいとアダムが耳打ちした事で記念品と学費免除の証書が届けられた。


「わぁい」

「わぁい」


当面の金銭の心配が無くなり二人は喜色満面でルナの周囲を回っていた。


「何をしとるんだコイツらは」

「学費の心配が無くなって嬉しいのとルナちゃんに感謝の気持ちで回ってます」

「理由は理解できるが行動が理解できんぞ」


アダムが呆れた様子で見ていると二人はそのままルナに抱きついた。


「ミ゛ッ!」

「「うへへ」」

「酒場の酔っ払いかお前らは」

「「うぎゃっ!」」


授業が始まる時間だ。アダムの拳骨で二人はようやくおとなしくなった。


「実技大会が終わったからといってお前らの授業が滞ってるのは変わらん!兎にも角にも座学!座学の上に座学だ!」

「「「「はぁい」」」」


アダムの言葉に全員がちゃんと返事をする。返事はちゃんとするのだ。


数分後


「寝るなユピトール!」

「ふぎゃっ!」

「お前もだアッテンボロー!」

「ふがっ!」


居眠り常習犯の二人に拳骨が落ちる。ティナは起きたがダズは当たり所が悪かったのか痙攣していた。


「お前は外で待ってろサピスキア!邪魔だ!」

「き、教室の隅に、行くから、ゆるして!」

「ダメだ!くねくね動かれると気が散る!」


次はいつの間にか授業に参加していたサピスキアに目を向ける。音を拾う度にくねくね動く上にカティナが落ち着かなくなるので基本的には追い出されるのだ。


「そこを、なんとか!」

「クライグスの隣ならいいぞ」

「終わったら、教えて」

「なんでぇ!?」


サピスキアも暇なのか基本的に言う事を聞かないが苦手意識のあるマリーをけしかけると逃げていくので度々利用されていた。


「ほら、隣!どうぞ!」

「お構い、なく」

「そう言わずに!」

「手つきが、やらしい」

「先っちょだけ!先っちょだけだから!」

「やかましいぞクライグス!」


教室はカオスになった。


そんなこんなで放課後。


「ふぃー、終わった終わった」

「・・・そう言えばさ、まだ来てない子いるんだよね?」

「そう言えばそうだね」


Fクラスは元より少人数ではあったがこれでもまだ来ていないクラスメイトがいる。

アダムが言うには体が弱い子とのこと。そんな子がまだ来れていないということに皆は心配した。


「せんせー!」

「なんだ?」

「体が弱くて来てない子って今何してるんですか?」

「ああ、ちょっと待て・・・イングリッド・ムーンライズだな。この子も特殊な体質の子でなぁ」


アダムがそう言うとルナとティナは顔を見合わせた。そして同時にアダムの方向を向いた。


「・・・なんだその目は」

「いや、なんか特殊な体質って言うと親近感がそれだけでわくっていうか・・・」

「そうそう、なんか病弱でワケありの子ってそれだけで属性ポイント高いっていうか」

「お前な・・・」


二人が興味津々といった様子なのでアダムは少し困った。彼女が特殊なのは体質だけではなかったからだ。

下手に彼女の事を教えて二人が勝手にお宅訪問なんぞしようものならややこしくなること請負である。


(まあ、フラウステッドならあの子の病気を治す一助にはなりそうだが・・・結局大騒ぎにはなるだろうしなぁ)


じーっと二人をみやるアダム。それに対して二人は首をかしげる。


「どうしたんですか?」

「・・・なんでもない。そうだなぁ、多人数で押しかけると迷惑だからフラウステッド、まずはお前がワシと一緒にムーンライズの家に行こう。向こうの許可がもらえたらティナも連れてってやろう」

「はーい」

「ちぇー・・・まあ次があるならいいや、なんかわかったら教えてね」


ほっとくとどうせ勝手に押しかけて騒ぎになるだろうと予測してアダムはまずルナを連れて家庭訪問に行くことにした。実際、彼女とは入学の手続き以来会えていない。教師としてはそろそろ保護者の言葉だけでは欠席を許可するのにも限界が来ていた。そしてついでにティナを次に連れていく約束をすることで納得してもらった。


「ディーン先生」

「なんだ?」

「イングリッドさんはどんな子なんですか?」


放課後、二人連れで街を歩く中でルナは当然の疑問を口にした。

一度も授業に出たことのない彼女は一体どのような人物なのか?クラスメイトと仲良くしたい彼女にはどうしても聞いておきたい情報だろう。


「彼女はダンピールだ」

「えっ、吸血鬼のハーフの?」

「そうだ、月光教徒でこの街に暮らしているんだが・・・」

「?」


口ごもったアダムにルナは不思議そうに首を傾げる。


「両親を早くに失くしていてな。そのせいで彼女は病弱なんだ」

「両親を・・・でもそれがどうして病弱と繋がるんですか?」

「ダンピールは親からの血の継承を受けて成長する。要は吸血鬼の親か人の親のどちらかから血か魔力を貰わないと十分に成長できないんだ。そのために彼女は体が不完全な成長を遂げている」


この世界ではいくつかの種族が両親からの愛情とともに魔力や血を与えられて成長する。

子の成長と健康を願って行われるこの行動は特に吸血鬼や精霊種によく見られるという。

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