青き龍は海を旅する─氷河─
これを書き終えたのが4月17日……この意味がわかりますね?カツカツということです。はい。
スカイワイバーンの鱗を使って作った白いハルバード、氷砕斧。柄と刃の接続部あたりに、壊れた杖に使われていた宝石が埋め込まれており、氷属性の攻撃に補正がかかる効果がある。
エンチャントの効果で、セイリュウの傷口付近が凍る。魔法付与:寒氷、効果は武器に氷属性を付与し、攻撃した周辺を状態異常:凍結にする。
攻撃と同時に、鐘の音が響く。
「スイッチ!」
[韋駄天海翔]
ランシュが海を走る。俺はセイリュウの体を蹴って後ろに跳び、ルルで足場を作る。
こちらに攻撃が飛んでくる様子はない。
ミドルマナポーションを飲む。
「偶然……なわけないよなぁ」
先程の攻撃は、明らかにランシュを狙っていた。
動きが変化した理由は何だ?時間経過だとしたらすぐに元に戻った理由がわからない。
「セギルカ」
思考しつつ魔法を発動する。
気紛れ?可能性はあるが……何かしっくりこない。
短時間しか使えないバフとか、強化の類である可能性が一番高いか?
流石に、ランシュのスキルの効果時間が終わって氷に立ったのを隙と判断して攻撃した、なんてことはないと思いたい。言語を理解するとなると、それだけの知能を持ち合わせていても不思議ではないが、なぜ手加減しているような行動を取るのか、その理由が謎だ。何か戦闘を長引かせる理由があるのだろうか。
「魔法記憶水晶:土龍の咬進」
ランシュが土属性の魔法を使っているのが見える。この戦いに備えて、現状無効化が確認されていない属性の魔法記憶水晶を準備していたのだ。
土の龍がセイリュウの体に噛みつく。が、あまり効果があるようには見えない。
「チッ、土属性も効かないのか。なら、魔法記憶水晶:糸通死痛」
細い糸がセイリュウの体を貫く。
「効いた!」
それにしても、セイリュウは防ごうともせず、隙だらけの状態だ。まるで、自ら攻撃を……っ!
「なら次は闇属性で──」
「ランシュ止めろ!」
「ん?」
鐘の音が鳴り、ランシュが一旦退く。
「どうした?何かあったのか?」
推測でしかない。確かな根拠があるわけではない。だが、そうだとすればセイリュウの行動の──いや、このクエストの全ての違和感に説明がつく。ついてしまう。
「考えたくもない……けど」
獣人国の王は撃破ではなく、撃退と言った。つまりこのクエストのクリア条件はセイリュウを倒すことではなく、あくまでもこの場所から移動させること。
セイリュウの性質は攻撃を受け、何らかの段階を踏んだ上での、同系統の攻撃の無効化。その性質を活かすためにはどうすればいいか。
戦闘が長引けば、それだけ様々な攻撃の手段を用いる。その攻撃に自ら被弾すれば──
「たぶん、セイリュウは未知の攻撃に自ら当たって無効化しようとしてる」
「その無効化の性質があるから、この戦闘で総力を尽くして倒そうという話ではなかったのか?」
そう。無効化を狙っている、それだけなら今のままでいいのだ。だが、倒すことがクリア条件に含まれていないクエスト、セイリュウの無効化が戦闘終了を経ないと発動しないこと、それを考慮すると、メタ的な視点で悪いが、1つの可能性が見えてくる。
「たぶん、セイリュウは一定以上ダメージを与えると逃走する」
「っ!」
つまり、複数回の戦闘を前提としたモンスターってわけだ。セイリュウの性質を聞いた時点で考慮しておくべきだった。
「だから、これ以上セイリュウに耐性をつけさせるわけにはいかない」
魔法付与:寒氷は状態異常:凍結を付与する効果がある。対して魔法付与:冷雪が付与するのは状態異常:降霜だ。寒氷の方がMP消費が大きいが、冷雪を使うわけにはいかない。MP管理が厳しくなりそうだ。
「フン、バレてしまったのでは仕方がないな」
「「!?」」
それは俺でもランシュでもない声。つまり、セイリュウの声。
セイリュウは元から喋ることができたのか?可能性としてはないとは言い切れないが、セイリュウの能力は成長、もっと言うと進化だ。その能力によって発声能力を獲得したとしたら?
発声能力を自ら獲得した、だとすればそれには意図、或いは目的がある。そうでなかったとしても、声を出すことができるということは、言語を使った意志疎通が必要だったということだ。要するに──
「交渉の余地がある……!」
セイリュウとまともにやり合って勝てる可能性は低い。何より、倒される前に逃走する確率が限りなく高い。海上では水棲生物であるセイリュウに本気で逃げられれば追い付くことはできない。
だから、交渉で何とかなるならそれが最善だ。
交渉開始と言わんばかりに、鐘の音が鳴る。
「ほう、交渉?」
「まず、話し合いを放棄していきなり攻撃した無礼をお詫び申し上げます」
まず最初に謝る。これがあるとないとで印象がかなり変わってくる。
「俺……いや、私たちはただ、あなたにここから立ち去ってもらいたいだけなのです。積極的に戦闘する意思はありません」
俺たちの意思と要求を端的に伝える。
だが、これは一方的だ。セイリュウ側にメリットがない。セイリュウに何かしらの対価を支払わなければならない。そして、これまでの行動から推察できるセイリュウが求めているものは──
「今、私たちは多種な属性の魔法記憶水晶を持っています」
セイリュウは耐性を増やすために戦闘を長引かせた。だから、セイリュウが求めているのは耐性のついていない攻撃、そしてそれを食らうことで耐性をつけること。
「中には耐性がないものも──」
「我に交渉の意思などない。立ち退かせたいならば、力ずくで来い!!」
最悪の結果……のはずだ。
だが、俺の表情はその言葉を待っていたかのように歓喜に満ち溢れた笑顔だった。
と、言うことで……主人公の戦闘狂がバレてきましたね。戦闘狂というよりは、逆境を楽しむタイプですが。
・龍は土より行進す(ルーダ・ゴ・グライズ)
約250年前に活躍した魔術師、ディース・マロラ作の魔法。龍の形をした土を飛ばし、近くの敵一体に弱ホーミングで噛みつく。ディースは魔法の造形に拘り、結果ディース式構築という魔法式の構築技法を生み出し、後世へ多大なる影響を与えた。ディース式構築の魔法は、魔法記憶水晶に封じにくいため、たぶん億単位で金が飛んでる。貴族恐るべし。
・トーレイズ・フートラ
約600年前に糸属性を確立した伝説の魔術師シーレッタ・ウィーナ作の魔法。細い糸で対象を貫く。クリスタルはそこまで高くない(とはいえクリスタルは最低金額でも万単位なので、たぶん10万とか20万とかじゃないですかね)
そのうちこの辺の子孫NPCとか登場させたいですよね。今のところ設定もタイミングも決まってませんけど




