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異世界トリップしても俺TUEEEなんて夢のまた夢でした  作者: 棘田 清棘
異世界トリップしても状況は酷くなるばかりです
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一点集中。最強能力の激突



「おいおい弟よ。それはフラグだぜ。おいおい」


「そうなんだ。そんなこと知ってるなんて流石お兄ちゃん。さすおにだ」


 聖剣魔銃兄弟がそのように軽口をたたく。しかし笑顔だったその顔が次の瞬間には固まった。

 地面から生えた巨大な土の手。それが兄弟の体を掴んだのだ。


「ナイスじゃ! アリサ!!」


 わき腹から流れる血を抑えながら次元がそう叫ぶ。それによってようやく俺はそれがアリサの能力によって生み出されたものだということに気が付いた。

 アリサの周りに大量のミサイルが展開される。その数が50を越えたあたりで次元は手を振り下ろした。そうすると一斉にミサイルから火が噴き出し、兄弟に向かって飛んでいく。


「”撃墜の魔銃”」


 その言葉と同時に魔銃使いの手に現れた銃。そこから放たれた弾丸は適当に撃ってるようにしか見えないのにミサイルを次々に撃墜させる。

 だが、ミサイルが撃墜される前に次元は新たな道具を取り出していた。

 ここの世界よりも科学文明が進んでいる世界から持ってきたレーザー銃である。そこから放たれた光は兄弟の元へ一直線に突き進む。


「”光を吸収する聖剣”」


 聖剣使いが叫ぶと同時に現れた新たなる聖剣。その力によってレーザーは聖剣方へ向かい、吸収される。しかし、次元の攻撃はそれで終わりではない。

 何やら装飾の多い杖を掲げるとその先から竜巻が放たれた。


「舐めてんじゃねぇ! オラ! 舐めてんじゃねぇぞ!」


 聖剣使いがレーザーを吸収していた聖剣を振うとそこから光の帯が放たれた。

 本来ならぶつかった所でお互いに大した影響がない光と風。だが、どちらかが特別なのか、はたまた両方特別なのかは分からないがこの光と風はぶつかり、余波をまき散らす。


「舐めてない。だからこそ全力」


 いつの間にか地面から上半身だけを覗かせたアリサがそのように言った。

 土で二人を拘束したまま、氷、鉄、炎、水、木、砂、風。様々なものが100体近い数の人形となり、兄弟へと襲い掛かる。


「げ、”迎撃の二丁魔銃”」


「駄目だ。弟よその行為は危険だ」


 聖剣使いの声を無視して焦ったように魔銃使いが手に新たな銃を二丁生み出す。しかし、その銃を生み出すと同時に”撃墜の魔銃”が手の中から消えていた。二丁の銃までしか持てないのだから当たり前とも言える事だが、その持ち変えるわずかな時間が小さな隙となる。

 両手に持つ銃によって人形を迎撃していくが既に両手で防ぎきれる数ではなかった。それが小さな隙によって対処が完全にできなくなる。更に元々撃墜させていたミサイルも攻撃が人形に向いたためその進路を阻むものがなくなり、兄弟へと迫っていく。

 何度も鳴り響く爆発の嵐。

 次元とアリサの二人は自分の能力を生かし、あらゆる種類の攻撃をしていった。


「攻撃終わった? 終了?」


 攻撃が止むと同時に聞こえたのはそんな気の抜ける声。

 段々と爆発による煙が晴れ、そこには二つの人影が浮かび上がっていた。


「嘘だろ……無傷だと?」


 俺は愕然とする。あれほどの、同格以上の相手から猛攻撃を受けて無傷というのはどう考えてもおかしい。最早人間とすら呼べないんじゃないかと。しかしその想像は間違っていた。


「無傷なわけあるか! あっちこっちボロボロじゃボケ! あと少し対応が遅いか間違ってたら確実にお陀仏だったわ。それで無傷なわけあるか!」


 煙が薄くなり兄弟の姿が鮮明に見えてくる。

 そこから現れたのは頭から血を流し、片腕が変な方向を向いた魔銃使い。腹に穴を空け、全身に細かな傷を負っている聖剣使いであった。

 聖剣使いはボロボロとなった幅広の剣を両手にぶら下げ、それで先ほどの攻撃を防いだことが簡単に予測できた。


「兄ちゃんこんな奴らに怒鳴ったところで無駄だよ。それにしても兄ちゃんがいなかったら危なかったよ。危険だったよ」


 先ほど攻撃を受ける直前の焦りはどこに行ったのか、魔銃使いは落ち着いた声色で言った。

 そのことが不気味で恐ろしく感じた。


「もう僕らに余力なんてない。だから次の攻撃で決めるよ。終わらせるよ」


「弟の言うとおりだ。だからお前等も全力の攻撃か防御で対抗して来い。それを打ち破って見せてやる。弟の言葉通りに」


 そう宣言する兄弟。しかし、これを普通に信じて良いものか……。だが、そんな俺の気持ちを見透かした様に兄弟はにやりと笑う。


「別にいいよ。信じなくっても。ただ僕たち二人の全力なんだからそっちも全力じゃないと防げないと思うけどね」


「……。凪よ、こっちにくるのじゃ」


 次元は静かにそう告げる。

 能力で作られた次元の壁は消え、兄弟もこちらに手を出してくる様子は無かった。

 俺はあたりに漂う緊迫感に押しつぶされそうになりながらも足を動かす。

 重い……。体も空気も……。

 それでも足を止めずに次元の後ろまでやってきた。


「凪よ、自分の身を守っとれ。アリサよ……頼んだぞ?」


 アリサはうなずくと能力を発動させ、何体かの巨大な人形と風や水などの防壁を張る。


「さて、そろそろ良いか? 待ちくたびれたよ。そろそろやるぞ」


「一人で良いのかい? 一人で僕たち二人の攻撃を防ぐのかい? やぶるのかい?」


 聖剣、魔銃兄弟が最後の通告だとそう思わせるように、否。実際最後の確認なのだろう。そのように言った。


「構わん。儂を誰だと思っとる? 儂の本気の防御はどれだけの攻撃だろうと、何人集まろうと破れるものではない」


 そう宣言し、片手を上げて前に掲げる。

 兄弟もそれに答えるかの様に存在しない剣を引き、銃を構える。だが、誰の目から見ても構えた手に大きな力が集まってるのが分かった。


「”無敵の聖剣”」

「”最強の魔銃”」


 その言葉と同時に生み出された剣は神々しい光を纏い、銃は禍々しい気配を纏う。

 その凝縮されていくエネルギーは俺の能力では防ぐことは愚か、コンマ1秒すら耐える事は不可能だと理解させられる。


「次元! これは一人じゃ無理だ。アリサと協力してーー」


 俺はその言葉を最後まで言うことは出来なかった。

 次元が振り返って、小さく落ち着いた声で言ったのだ。


「大丈夫じゃ。儂を信じろ」


 俺はその顔に、声にどこか安心感を覚えた。次元の本気を見たことはないし、その根拠も知らない。だが、次元という存在が放つ安心感に俺は冷静となり、次元に俺の運命を託してみようという気になったのだ。

 やがて神々しく、禍々しいそのエネルギーは目前に迫り、次元が能力を発動させる。


「ハアアアアアアァァァァァ!!!」


 次元は兄弟の様に技名は言わない。ただ手を前に手を突き出し、全力で目の前の次元をズラす。


「無駄だよ。この攻撃はただのエネルギーの固まりだけど、次元すらその莫大なエネルギーでこじ開ける。ねじ開ける」


 そのように叫ぶ弟の声が聞こえた。

 直後に次元の壁と巨大なエネルギーの固まり、その二つが激突し、轟音が響く。鼓膜が破れそうで慌てて耳に手を当てる、エネルギーの副産物である光が目を焼き、瞼を閉じる。それはどちらもあまりにも強い力に気休めにもならなかった。

 その二つがぶつかり合ったのは一瞬の出来事であったかもしれない。しかし体感的にはかなりの長い時間が経ったような気もする。

 俺たちがいる場所もそれだけのエネルギーを受けて無事なはずもない。次元は力を集中させる為か前面にしか壁を発生させていないので余波が襲ってくるという訳だ。だが、それはアリサの作り出した様々な人形や壁を作り出し防いでいた。


「……」


 白と黒のエネルギーが次第に弱まり、消えていく。

 それでやっと目を開くことが出来きた。まだ視界はチカチカとし、耳も耳鳴りがするためまともに役に立たなかったが次第に治り、鮮明に見えてくる。

 大地はえぐれ、自分たちが立っていたところ以外に無事なところは見あたらない。後ろにあった頂上付近が斬られた山は真ん中に穴が出来、溶けたその穴の内側が赤く光っていた。

 周囲は軽く見ただけでも大きな被害が多数見受けられた。だが、俺は大きな怪我をしながらも生きている。アリサも疲れからか膝はついているものの無事に生きているし、近くに立つ次元の無事も確認できた。

 勝った、俺らはSSSランクの傭兵。聖剣、魔銃兄弟に勝ったのだ。


最近更新が滞ってすいません。

しかし、ユーザネームを変え、心機一転頑張っていこうと思います


NEXT→4月27日

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