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異世界トリップしても俺TUEEEなんて夢のまた夢でした  作者: 棘田 清棘
異世界トリップしても世界世界最強クラスに何度も会うなんて思ってもいませんでした
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届けられる思い。陰で動く思惑

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 あの後警察が来て事情聴取などを受けて、その後に雛や氷上がやって来た。

 事情聴取は雄介さんと完二さんのおかげですんなりとおおかたのあらましだけ話して終わった。

 雛には守れなくってごめんとひたすら謝れた。

 俺はかすり傷とか打撲ぐらいだから気にしなくとも良いと言おうと思ったが言葉がうまくでてこなかった。

 あの後アリサ・ビューティーはすんなりと捕縛され、警察署に拘留されている。だが、SSSランクに暴れられたらひとたまりもないと言うことであまり捜査はすすんでいないらしい。

 氷上も詳しく事情を知らなくとも気を使って何度も声をかけてくれた。だが、俺は「心配かけたな。もう大丈夫だ」や「すまない。心配してくれてありがとう」などという言葉を返そうと思ったが、口にするまでには至らなかった。


「ごめん。彼の上半身を見つけることが出来なかったよ……。それとどうやら気絶していたあの男もいつの間にか逃げていたようだ……。本当に申し訳なかった」


 あの後完二さんが次元の家に来てそのように言った。

 今にも地面に付きそうな勢いで頭を下げる。

 それに対し俺は首を左右に振り、そのまま扉を閉めた。


 そして、夜。

 深夜とも言える時間に学校に来ていた。

 雛はすでに寝ており、雄介達は事後処理に追われて一時的に護衛を離れている。なので来たのは俺一人でである。

 部活などはとっくに終わっており、まわりに人はいない。

 校長室に明かりが点いていたのを見かけたのででおそらく校長はいるのだろう。

 あの校長のことだ、俺が学校にいるのにも気づいていると思う。

 俺はいつもの教室ーーではなく、教務室に来ていた。


「これか……」


 俺の視線の先には何の変哲もない机があった。

 これは吹上鉈欺。つまりはこの世界の俺の机であった。

 『おい、教務室の俺の机の鍵がかかってるところ。2重底になってる。開け方はあの漫画通りだよ』という最後の言葉通りに来たのだ。


「二重底の開け方は良いとして鍵はどこだよ……」


 あの時はどこに鍵があるのか言ってなかった。そしてこぼれる愚痴……。だが、言葉と裏腹に俺はどこに鍵があるのかだいたいの予想が付いていた。

 いくつものノートと教科書が本立てに立てかけてある。

 その中から適当に一冊のノートを開き、次のノートに手を伸ばす。

 3冊目にようやく目的のものが見つかった。

 ノートの真ん中を切り取り、ご丁寧に段ボールで作った箱がノートに埋め込んであった。

 その箱を開けたら予想通りに一本の鍵がでてくる。

 そして机の鍵穴に刺すとそのまま回した。


「ビンゴ」


 鍵は見事に開いた。だが、目的のものを取り出すにはもう一手間必要である。

 机の上にある鉛筆立ての中から唯一あったボールペンを取り出す。その中からインクが詰まった棒を取り出した。


「この辺に……」


 開いた引き出しの裏を見ると小さな穴があった。

 そこにボールペンの芯を刺し、二重底になっていた板をとる。

 そこには数冊の黒い手帳があった。

 一番近くにあった手帳を開いてみる。


「うっ……」


 ざっと目を通しただけで吐き気を催す。

 それは別にこの世界の俺が死ぬのを予期して残したものではなく、昔体験した時のを書き記したものだった。

 適当に開いたその部分では脳に金属の棒をぶっさし、電気を流して強制的に能力を使わせる。

 別のところに刺して能力を使わせたり、薬物を投入して能力を使わせたりなどだ。そうすることで能力の変化を見ていたそうだ。

 そんな脳に直接電気を流されて無事なはずはない。

 中には生きているがなにも考えられない。なにもできない。植物状態の人間が大量にいたそうだ。

 それでも構わずに薬品を投与され、体をいじられ、能力の変化を見るために能力を使わされる。

 これでも意識をなくせるだけましな方だった。

 さらに読み進めていくとさらにひどいのも大量にある。

 俺は一冊を読み終える前にすべての手帳を回収してトイレに駆け込む。

 トイレにたどり着くと口から今日詰め込んだ食べ物がをぶちまける。胃液も大量に吐いた。


「おェ……ッう!」


 一度だけでなく、胃に入ってるもの全部を出しても吐くのをやめなかった。

 読んでるだけでも酷いと言えるこれを実際に吹上は体験したのか? それは普通に笑みを浮かべるあいつからは想像もつかないものだった。

 だが、俺は読むのをやめない。

 時には吐きそうになりながら。時には吐きながら。涙を浮かべ、読み続ける。

 そうしなければならないと思った。そうしなければ吹上が残してくれたものを無駄にしてしまうと思った。

 そして最後まで読み終わる。

 落ち着いてみれば今の俺はかなり汚いだろう。

 涎や涙が服にまで付いてしまってる。


「水泳部のシャワーを借りなさい。儂が特別に許可を出そう」


 振り返るとそこには校長がいた。

 無言でタオルを渡してくれる。


「ありがとうございます……」


「最後に老いぼれからのアドバイスじゃ。人は生命を終えることが死というわけじゃない。その人のことで何かをするしたり、何かを思ってくれるならそやつはまだ誰かの心に生きとるという訳じゃ。だからやつはまだ死んでおらん。お主にその手帳を残したのじゃからな」


「漫画とかでもよく聞くような言葉ですね。ですから僕は大丈夫です」


「いらぬ世話であったか。奴は教師としてちゃんと導いていたようじゃの」


 その言葉とともに校長はどこかに行った。

 校長にはああ言ったし、漫画などでみたその系統の話は分かっているつもりだ。

 だが、それでも校長のあの言葉はありがたいと思った。


「ありがたくシャワーを借りるとするか……」


 流石にこのまま帰りたくないので校長の言うとおりにシャワーを使わせてもらおうと思う。

 手帳からいろんな情報が手には入ったし、校長のおかげで少し心が晴れたような気がした。






「やっぱ今の俺はこっちの方が性に合っているらしい。これもおまえ等のおかげだよ」


「ひっ、ヒィィィ!」


「無駄口を言ってないでお前は俺が聞いてる内容に答えな」


 凪が手帳を読んでる同時刻。

 とある廃墟で身長90センチ届かないぐらいの人物と細身の男がいた。

 細身の男は縛り上げられ、拘束されている。

 拘束されている男の足を90センチもない人物が指で貫いた。

 それは指名するときの指すではなく、物理的に、先端がとがった指を男に突き刺したのだ。

 それから幾らかの時間が過ぎる。


「っち、結局こいつも下っ端か……。だが、本拠地は分かった……」


 何度も口が裂けるほど叫んでた男も今はおとなしくなり、男が持っていた情報もすべて搾り取った。

 だが、小さな人物が思ったよりも情報を聞くことができなかった。


「それにしても色々不便だな……。これなら無理をしてでも下半身を回収するべきだったか? いや、そうしたら絶対に気づかれていたな……。なぁ、どう思う?」


 それに答えるものはいない。

 ここには男とこの人物のみであり、男は数々の拷問の末疲労困憊。雑談につきあっている余裕はなかった。


「まぁいいや。とりあえずいくつか有益な情報も聞けたようだし、ありがとうな。そして……」


「ま、待て! すべての情報をしゃべったじゃないか!」


 男は傷ついた体を引きずって逃げ出そうとする。

 男の視界には右手をランスの様に変化させた小さな人物が写っていた。


「じゃあな」


 そのままその手を男に突き刺す。

 男はそのまま動かなくなった……。


「やっぱり俺は陰に潜んでる方が似合ってるのかもな……」


 その言葉と共に小さな人物は闇に消えていった……。


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