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異世界トリップしても俺TUEEEなんて夢のまた夢でした  作者: 棘田 清棘
異世界トリップしても世界世界最強クラスに何度も会うなんて思ってもいませんでした
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類は喧嘩しながらも大切なものへと

 少女は痛みによって一貫して無表情だったその顔に苦痛の色が浮かぶ。だが、俺のパンチが決まったところで動けなくなるほどの大きなダメージはなく、まだまだ戦いは続く。


「ハァ!!」


 倒れ込んだところに完二さんがいつの間にか空中に出した剣を3本投げつける。


「それぐらい!」


 苦痛と同時にアリサ・ビューティーの顔には恐怖が浮かんでいた。

 恐らくは生まれてから一度も痛みを伴ったことがなく、先ほどの攻撃で痛みによる恐怖を持ったのだろう。

 SSSランクという超巨大な力を持っているが故に一度も他人に殴られたことがなかったのだ。

 そして、その巨大な力は目の前の少女だけでなく凪をいつも気にかけてくれる隣の少女にもいえることであった。


「この世界は歪んでやがる……」


 超能力があるが故、様々な人の人生が狂わされている。

 たとえば先ほどあげた次元だ。

 ほかにも組織に誘拐されたこの世界の俺、今は英雄などともてはやされているが事件に巻き込まれなければ一般人として平和な生活を送っていたであろう完二さんや雄介さん。

 世界は理不尽なものでそして残酷なものである。

 だが、ここに来てから間もない俺がこんなにも大変な経験をしてる人たちに会うのもおかしいと思う。

 そして最後に目の前の少女もこの歪んだ世界のせいで生み出された人間の一人に変わらないのだろう。


 見れば雄介さんと完二さんが剣を手にアリサ・ビューティーに近接戦闘を行っていた。

 先ほどの様子を見るにアリサ・ビューティーは近接戦を得意としていない。

 能力によって強化し、スペック差で押しているだけである。

 雄介さんは再び自身の周りに大量の剣を浮かばせ、突撃しようとしていた。

 だが、鉄の破片が彼女を覆うように浮かび上がり完二さんも雄介さんも手が出せない。


「だけど俺の能力にはそんな隙間だらけの防御は関係ない!」


 先ほどのマンホールから吹き出た水を使い槍のようにして撃つ。

 これならば鉄で防ごうとも隙間を縫って攻撃できる。液体の水を防ぐなら先ほどの土のドームみたいに360度完全に塞がなくてはならない。

 慌てて他の能力で防ごうとしたのだろうがすでにその水の濁流はアリサ・ビューティーを飲み込み鉄の防御の中で彼女をかき混ぜる。


「そのままそこに水を留ませろ。溺れさせて気を失わせるんだ!」


「わかってる!」


 この世界の俺が言うとおりにする。

 とはいえ、正直溺れさせるのは苦しませる時間が長く気持ちはすすまないが仕方がない。

 相手に気を使ってやるほど余裕はないのだ。


「……!?」


 だが水が静まり、泡が晴れてでてきたアリサ・ビューティーの顔には苦悶の表情などなく、いつも通りの無表情で平然としていた。


呼吸操作ブレス……」


 あろう事か水の中で声を出す。

 恐らくは水の中でエラ呼吸か、そのまま鼻からでもエラ呼吸と同じ様なことをしてるのだろう。

 それでもあの水の中でその能力を発動させる冷静さには舌を巻かざる終えなかった。


聖剣操作セイバー……」


 そう言って光と共に生み出されたのは一振りの剣。

 鉄の防御は支えを失ったかの様に崩れさり、そして突然息が出来なくなったかのように空いてる片手で口を押さえる。

 だが、右手に握るその剣を無造作に振るうだけで水は斬れ、俺たちの後ろに会った建物が斬れた。


「……ッ!?」


 広がる無言。

 アリサ・ビューティーが振るった剣は再び光となって消えていく。

 足場がなく、剣の素人がただ振るっただけでそれだ。

 ちゃんとした足場で剣の扱いに慣れてる者が行えばいったいどれだけの威力になるのか……。

 外したと言えども俺たちを問答無用で黙らせるだけの威力がその剣にはあった。

 今までみた能力者どの能力者よりも強烈な力……。いや、一人だけこの能力に匹敵するだけの力を持った存在を知っている。

 次元雛。世界最高ランクのSSS能力者。


「これがSSSランク……」


 Sランクの能力者なら近くに何人もいる。SSも少ないが知っている。

 だが、SSSは格が違った。


「だが、これでもSSSランクの本来の力じゃないぜ……」


 一番最初に正気を取り戻した吹上が後ろから声をかけてくる。

 その声で雄介さんや完二さんもようやく硬直がとけ、視線だけこちらを向く。


「一度だけ力を見た本物の聖剣操作セイバーなら雲すら斬り裂く。そして一度振るったぐらいで消えたりしねぇ」


 本来ならばあれ以上の威力が何発もあったということか……。

 考えるだけでも寒気が走る。


「はは、ハハハハハ。みなさい、これが我が組織の力です。絶望しなさい、そしておとなしく身を差し出すのです!」


 今の今まで戦闘を恐れ、身を隠していた男が建物の陰より姿を現す。

 自分がその力を振るったかのように笑う。


「さぁ、もう一度同じ力を魅してやりなさい!!」


「はい……」


 アリサは男の命令通りに再び右手に剣を生み出した。


「さぁ、終わりで……すッ…………よ?」


 男の足からは剣が二本でていた。


「ッ!!?」


 男が絶叫をあげる。

 声にならない声でひたすら叫んだ。


「うるせぇよ……」


 そしてどこからともなく飛んできた盾により男の意識は途絶える。

 当初の目的である男を捕らえることを成した雄介さんの顔には喜びはなかった。


「すべての意識が能力に行ってくれて助かったぜ……。だが、あれをどうやってやり過ごすかな?」


 そうやって目を向けるのはアリサ・ビューティーの構える剣。

 今回は水の中から脱出をし、しっかりとした足場で先ほどのように攻撃があらぬ方向に飛んでいく事はないだろう。

 避けるにしても幅が広すぎて横には避けれない。

 ならば上か下しかない。


「飛べ!」


 アリサ・ビューティーの振るう刀の軌道を見て雄介さんが叫ぶ。

 そのかけ声で全員が瞬時に飛び、すぐ足下を斬撃が通過する。

 しかし、アリサ・ビューティーその一撃を放った剣を捨ており、その手には新たなる剣を生み出していた。

 雄介さんは近くの剣を浮かして足場に、完二さんは新たに出した盾を足場にしてさらなるジャンプをする。

 この世界の俺は体を変化させ、足を棒状にして地面に刺す。そしてそのまま体を地面へと引っ張る。

 だが、俺は動くことが出来なかった。

 一撃をやり過ごして安心し、さらなる一撃を完全に考えていなかったためだ。

 すでにアリサ・ビューティーは剣を振りかぶっており、今から俺がどう動いたところで間に合わないだろう。


「あぁ、俺死ぬな」


 俺は比較的冷静にそう思った。

 いや、ただ単に現実味がないだけかもしれない。


「っち!」

「ハァァァ!!」


 目の前には大量の剣と盾が展開される。

 おそらくはあらかじめ出された武器を雄介さんが持ってきて、そして完二さんは新しく大量の盾を出したのだろう。

 でも何となくわかる。

 この程度であの攻撃は防げないと……。


「何諦めてんだよ。お前の好きな主人公達はここで諦めるのか?」


 あきらめないだろうな。

 だが、今から能力で空中から移動しようにも間に合わない。風や水ぐらいであれは止められない。攻撃で相殺しようにも同じ事だ。

 移動も、防御も、相殺も出来ないんだったらどうしろと? 覚醒でもすればいいのか? マンガやアニメじゃないんだし現実じゃそう都合よくいかない……。


「まぁ、生徒を守るのは教師の役目だ。だから守ってやるよ」


 吹上は一度したに行ってから再び足を棒状に延ばすことにより通常のジャンプより早く跳んだようだ。

 斬撃の直前。俺の目の前に現れた。


「全身鋼鉄化!」


 手を盾の様に変化させて目の前につきだし、そして全身を金属に変化させる。

 そして俺が何かを叫ぶ暇もなくその斬撃はこの世界の俺の元にたどり着いた。


「おい、教務室の俺の机の鍵がかかってるところ。2重底になってる。開け方はあの漫画通りだよ」


「お前……」


「大丈夫だ。そう簡単に俺は死なねぇよ」


 そう言った瞬間この世界の俺の体はまっぷたつに切れ、その反動で下半身が俺にぶつかる。そしてそのままの勢いで下に向かって吹き飛ばされる。

 斬撃は目の前を通り、後ろにあった建物を切り刻んでいった。


「えっ……?」


 別に吹き飛んだ上半身から大量の血が跳び、俺の体にかかる。

 そして少し顔をずらせば下半身の切れた断面が見えた。


「俺が奴を取り押さえるから完二はあっちだ!」


「分かった。けどもう彼は……」


「そんぐらい見りゃわかる……。せめて綺麗にしてやれ」


 この事態を引き起こしたアリサ・ビューティーは同じSSSの能力を連続で使ったためか力つきて倒れていた。

 完二さんが俺のところに駆け寄ってくるのも分かる。

 だが……


「この世界の俺は死んだんだ……。俺をかばって死んだんだ……」


 思い出すのは最後の言葉。

 『そう簡単に俺は死なねぇよ』


「嘘つき……。死んでんじゃねぇかよ。ざまぁねえな、ハハハ、ハハハ……」


 俺の口からはそんな悪態しかでてこなかった。またなんか言い返されるんじゃないかと思いたかった。

 だけどどこからも声は聞こえなかった……。


「那美になんて言えばいいんだよ……」


 その言葉に対する返答もなかった……。


遅れてマジすいません。

言い訳するなら20行ぐらいは言えますがどっちみち言い訳なので言葉もありません。

ひたすら申し訳ありませんでした。

そして久しぶりの更新がこのようなくらい結果になってしまい申し訳ありません。

最後までどうしようか迷いましたがこのような形にさせてもらいました。


では最後にもう一度遅れて申し訳ありません。

ですが、エタることはないのでよろしくお願いします。


NEXT10/1……にしたいなぁ…………

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