雲の上の人
本当に遅れてすいません
ここ最近気が沈んだり、バイトの方が延長や8時間だったりと時間が取れなかったりと……はい、言い訳です。すいません
とりあえずこれからはもっと早めに更新できるようにします
話を聞きなんと言えばいいのかわからなかった。
あまりにも信じがたい話であり、正直教科書に載っている自分とはほど遠い事実のように思えた。
「まさかお主等が救世の10人だったとは思わなかったのじゃ」
救世の10人、10人の英雄、伝説の10人……などと様々な呼び方があるがこの世界で10人の伝説といえばこのことになる。
その事件の時俺はこの世界にはいなかったからそのようなことはこの世界の常識を教えてもらったときぐらいでしか知らなかったためか、事実の出来事である実感が全くなかった。
このようなテレビや新聞などの上でしか体験しないような話を聞き、目の前の人物が自分と同い年ぐらいの時にそのような凄いことをした人物には思えない。
「まぁ、こんな話したところでなんだって話だけどね」
そのように語る完二さんの表情はどこか悲しく、懐かしく思っているようだった。
「もうこんなことはないと思うし、彼らも雄介の説得でほとんどが檻の中で反省している。むしろ捕まってすっきりしたようだったよ」
「そうだったんですか……。なんて言えばいいのかちょっと……」
つい言い淀む。
これだけ重い話をされて普通にしていることは俺にはとうてい無理な話だった。
「なにも言わなくっていいよ。解決してるから君たちには全く関係ない話だけど雄介のことになるとどうしても口が軽くなってしまう。全く、僕の悪い癖だよ」
ふふ、と笑うその顔は今までと違ってうれしそうだった。
「ホモじゃ……。ホモがおる!」
次元がそのようなことを言う。
やめろ! 何となくそんな感じかと思ったが心の中でそうであってほしくないと必死に否定してたんだからな!
「違うよ。それに僕はもう奥さんももらってるしね」
優しい笑みを浮かべながら否定してくれた。
よかった。これで俺のケツがこれで守られる。
「雄介が僕にとって大事な人なのは変わらないけど別に恋愛方面って訳じゃないんだ。妻の友人に僕と雄介のBL同人誌を描こうとしたこともあったけど……」
顔をひきつらせ、苦笑いを浮かべていた。
いや、それは本気でしゃれになっていない気が……。
「なんて言うのかな? 雄介は大事な友人で、幼馴染で、恩人で、ライバルで、同僚とかほかにも色々関係を表す言葉があるけどうまい表現が思いつかないんだよね。ただ言えるのは雄介がいなかったら自分がどうなっていたか分からない。確実に今より悪い方向に行ってると思うけどね」
その言葉で何となくではあるが完二さんが雄介って人をどう思っているか伝わってきた。
家族や恋人以上に大切で、大事な人なのだろう。
今のところ家族以上に大事な人がいない俺には少しだけその関係をうらやましく感じた。
「さて、長い話になってしまったけどこれからよろしくね」
「これからよろしくお願いします」
そういう頃にはすでに次元のマンションにつく。
さすがに護衛といえども家の中にまで入ってくる訳ではなく、3つほど隣の部屋をとっているらしい。
次元の家で何かあった際には呼んでくれということだが部屋にはいると同時に次元が空間を隔離し、次元を越える能力がない限り核ミサイルが打ち込まれても爆発も放射線も効かないらしい。
しかし、中から外にでる時には効果はない。
偶に客を呼ぶこともあるので客が帰る度に次元が空間を元に戻すのが手間だからである。
「それじゃあね、困ったことや危険なことがあったらすぐに呼んでね」
その言葉と共に完二さんと別れた。
「すごい人だったなぁ」
「まったくじゃ」
そのように言うのは今日のこと。たった一日なのだが完二さんのすごさが色々分かった。
いや、色々と言っても表面上のことだけだが、それでもすごいと思えるだけのことは色々あった。
今日はなしてくれた10人についても教科書に載るレベルで、この世界のことを勉強してるうちにすぐに知ることができた話だ。
「なぁ、次元……」
「なんじゃ?」
「超能力者が100年前に当たり前になったって言ってたな」
「まぁそうじゃが?」
「そこが分岐点じゃないかなぁって、この世界と俺の世界との」
100年前に超能力が現れるまでこの世界と俺の世界の歴史は聞いた変わらない。
関ヶ原や本能寺、織田に徳川、ザビエル、世界大戦など俺が俺の世界で勉強した内容と同じであった。
しかし、10人の英雄の話は一度も聞いたことがない。
俺たちは平行世界上で何かあれば全ての平行世界で似たようなことが起きると考えていた。
例えば次元の両親が結婚し、そして次元が生まれる。漫画家がおもしろい作品を書き、そして大ヒットする。俺が異世界に行き、吹上が誘拐される。
これらは俺の世界とこの世界の両方にそのマンガがあり、その人物がいる、お互いに行方不明になったことなどから導き出した仮説だ。
だが、そうなると先ほどの10人英雄の話が俺の世界になければおかしい。
だがそんな話は一度も聞いたことがないのだ。
「じゃから100年前にお主の世界とこの世界に別れて徐々にこの世界とお主の世界が変わっていっていると?」
「その通りだよ」
それならば俺と吹上の行方不明になった経緯の違いも説明できる。
今までは超能力のあるなしの違いでこの差が出てると思っていたがある意味そうであって、そうではないのかもしれない。
「つまりは今のところは似たようなこと、同じことが起きているがそのうちまったく違う世界になると」
超能力の影響で誰かが死ねば俺の世界では生まれていた人物が生まれないかもしれない。超能力独自の文化が確立し、その代わり他の技術がおろそかになり、別の文明を築くかもしれない。
このように一つ一つは世界規模からみれば些細なことでも積み重ねればまったく別の世界になる。
「まぁ、これが何だって言われたらただの暇人による世界の考察ってだけで特に意味はないんだがな」
というのは完全に嘘である。
考えたくない可能性。
次元曰く、俺がこの世界に来れたのは世界同士が近かったからである。
しかしだ。まったく違う文明を歩んでしまったらそれは近しい世界と言えるのだろうか?
先ほど言ったように一つ一つが細かいことでも積み重なれば大きくなる。つまりは近い距離だった俺の世界とこの世界も遠くなるということだ。
決意した元の世界に戻るということも時間が経てば経つほど難しくなるのかもしれない。
こうして1秒の間に何個、何百、何億、何兆もの平行世界ができているのだろうか?
案外俺が元の世界に戻れるようになるには時間が無いののかもしれない……。




