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異世界トリップしても俺TUEEEなんて夢のまた夢でした  作者: 棘田 清棘
異世界トリップしても世界世界最強クラスに何度も会うなんて思ってもいませんでした
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いきなり大物との邂逅

 授業の終了を告げる鐘の音が鳴る。

 鐘の音を聞き気怠そうな声で吹上ふがみ鉈欺なたぎ。色々事情があり、変装しているこの世界の俺が授業の終了を告げる。

 その言葉と共に湧き立つクラスメイト達。

 今回はこの授業が今日最後の授業というわけじゃなく明日からのゴールデンウィークが原因だというのを想像するのに難しくない。

 目の前の氷上ひがみ眞希まきは鞄から早速帽子とマントを取り出すとすぐに身に着けていた。

 彼女は厨二病であった。俺も厨二病の時代があったので結構仲が良かったりしている。


「おい、双神! 一緒にカラオケでも行かねえか?」


「歌は苦手なんだよなぁ。また誘ってくれよ」


 後ろから声をかけてきたこいつは船井ふないしょう

 野球部で頑張っているらしく来年の副部長候補だ。なぜ部長じゃないのかと聞かれるとこの学校の野球部には絶対的なエースが存在しているらしい。最も中堅野球部なのでプロになるほどではないらしいが……。

 俺は現在あるやつと帰らないと生きない事情がある。その事情は後ろからじっと見てるやつが原因だった。

 AlisaアリサBeattieビューティー

 この世界の俺、つまりは吹上を誘拐し、数々の実験を行う組織に存在している巨大組織に出入りしていたらしい。

 それだけでなく彼女は世界に10人しかいないと言われるSSSランクの世界最強の超能力者の一人で全部操作オールの持ち主である。

 彼女の目的は俺の殺害。そのために彼女に対抗できる人物の傍を離れるわけには行かなかった。


「凪よ。一緒に帰るのじゃ」


 その人物こそアリサ・ビューティーと同じ世界最高ランクの能力者、次元つぎもとひな

 次元操作ディメンションと呼ばれる力を持ち、俺がこの世界に来ることになった出来事のきっかけーーというよりは原因そのものである。

 彼女の行いが俺の人生を狂わせたと言って色々と面倒を見てくれている。何ともありがたく、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。


「あ、そこの二人は校長室まで来てくれと校長が呼んでるぞ? なんかあの事件のことで色々あるそうだ」


 この学校の校長には奴らの組織の放った刺客である偽物の聖剣、魔銃コンビと認識をずらす能力者に襲われたときに助けてもらった人だ。

 吹上が言うには世界でも有名な傭兵だったらしい。それこそ最高ランクの超能力者でなければ勝てないと言わしめるほどに。

 事件というのはおそらくその聖剣、魔銃コンビについてだと思う。というよりこの世界に来てから日があまり経っていない俺にはほかに心当たりなどあるはずもなかった。


「あっ、メール……」


 携帯を取り出し、送信者を見ると坂田さかたつばさと表示されていた。

 坂田翼、妹の双神ふたがみ那美なみの大親友である。

 妹とは言ってもこの世界の妹、つまりは吹上の妹ということである。

 翼ちゃんは那美が聖剣、魔銃コンビに誘拐されたとき俺にそのことを教えてくれ、さらには町中を探し回ってくれた子だ。俺と那美を仲良くさせようと色々お節介を焼いてくれていた。

 メールの内容はこうだ。


『最近那美っちがやたら機嫌が良いんっすけどなんでかわかりますか?』


 おそらくは吹上が正体を明かしたので兄の無事を確認できてうれしいのだろう。数日前には俺に兄を見つけ出してくれてありがとうございますというようなメールが送られてきていた。


「なんじゃ? ニヤニヤして気持ちが悪いのぉ」


「うっせぇよ。それより早く校長室行くぞ」


「やれやれじゃのう」




「失礼します。2年6組の双神凪です。吹上先生に校長先生が用があると伺ってきました」


「同じく2年6組の次元雛じゃ」


「おう、入れ」


 校長の許しが出たので扉をくぐると5人の人物がいた。

 一人は白いひげを生やした校長。そして見知らぬ50ぐらいの男性。その人物の後ろに立つまだ若い二人の男性。そしてーー


「永井先輩……?」


 ソファーにもたれかかるように座っている永井ながい音夢里ねむり先輩がいた。

 次元の紹介で出会い、その後面倒だ、眠いだの言いながらも俺の能力を使いこなすために色々アドバイスをくれた先輩だ。

 薄々俺が異世界から来たことに気付いているぽいが面倒事は勘弁とか言って聞かないでくれている。

 それにしてもなぜここに彼女がいるのかが分からなかった。この二人と彼女の関係性がまったくもって分からない。


「おぉ、きたか。娘が世話になってるようだね。面倒臭がりだから友達も少ないので是非仲良くしてやってくれ」


 娘? 誰の?

 とりあえず隣の次元を見る。


「私に親などいないのじゃ。というより捨てられたって話はすでにしておったと思うんじゃが」


 そうだった。同等の能力者が何もしなければ世界すら滅ぼすことのできるほどに強大な力を持つ次元は幼少期だった頃に完全に力の制御ができなかったばかりに親に化物として捨てられたと聞く。

 その後は政府より超能力手当などを貰い、生きてきたというのだ。


「紹介する。儂の友人で警視総監の永井ながい直良なおよしじゃ。聡明叡智を持つ最高の奴じゃ」


 警視総監!? あの日本の警察のトップのあの警視総監? で永井? 永井って永井先輩の父親なのか?


『凪君が混乱してるよ?』


「そんな緊張せんでもええ。それと音夢里は学校でも喋らんのか……」


『うん、面倒』


 二人の会話はいつも通りといった風であり、警視総監としての威厳というよりも一人の父親という感じだった。


「で、警視総監の娘って……結構お嬢様?」


『うん? そうでもないよ』


 相変わらず聞かれた質問にしか答えない、自分の口では喋らないその面倒臭がりな様子に少し安心する。


「すまんのぉ。昔はこうでもなかったんがの。それと警視総監の娘ってことは関係なく今まで通り仲良くしてやってくれ」


「いえいえ、こちらこそ娘さんには仲良くしてもらってます」


 実際に俺が恩を返せたことがなく、一方的に恩を貰ってる状態である。友達なら貸し借りなしだとか聞いたことがあるが一方的に恩を受けてるだけじゃ友達でもなんでもなくなるだろう。


「まぁ、あまり緊張なさんな。とりあえず後ろの二人を紹介しようかな?」


 そう言うと永井警視総監の後ろにいた二人が一歩前に出てくる。


「特殊犯罪対策課の明智あけち完二かんじです」


「同じく特殊犯罪対策課の武智たけち雄介ゆうすけだ」


「二人ともうちの若きエースでね。私の両腕だよ」


「勿体ないお言葉です」


「で、俺が右腕ですよね?」


 その二人の様子に永井警視総監はクスリと笑う。

 明智完二と名乗った方は長身のイケメンで人のよさそうな感じがした。一方武智雄介は普通といった感じで、いちいち明智さんにちょっかいをかける姿はそこまで仕事ができるようには見えなかった。


「今この二人にはこの日本にいる奴らの調査を極秘で担当してもらっていてね。君は分かっているだろ? 君を襲った奴らのことさ」


 聖剣使いと魔銃使い。それに認識を阻害する能力を持った奴らはこの世界の俺を誘拐した奴らの組織に属していたらしい。

 その組織は俺のクラスに転校してきたアリサ・ビューティーと本物の聖剣、魔銃コンビの3人のSSSランクを従える超巨大組織らしい。

 警察がどこまで知っているのか分からないがそれでも慎重に捜査をしているのが分かる。


「どうも奴らは君にちょっかいかけてきたいみたいだからね。二人のどちらか一人をずっと君の護衛につけたいと思う。アリサ・ビューティーには負けるかもしれないがSSランク程度なら十分に勝てる実力者だよ」


 アリサ・ビューティーが奴らの組織にいることをつかんでいるとは日本の警察も捨てたもんではないらしい。

 それに俺の様子を見て口の端を吊り上げた永井警視総監も只者ではなさそうだった。


『面倒事なら私を抜きにしてやってよぉ」


 この緊張に包まれた空気の中、溜息と共に永井先輩が全員に向けてそう念話した……。

ちなみに今日出た若きエースの二人は作者の別の連載作品に出てくる登場人物と同じ名前ですが、その世界とは平行世界です。

つまりは凪と鉈欺のような関係です


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