渦を巻く展開
大変遅れて申し訳ありません!
今回なかなか書けずにこんなに時間が経ってしまいました。
第一章はこれで終わりますがまだまだ続きますのでよろしくお願いします
あれからの出来事だ。
あの後探しに来た翼ちゃんと那美に感謝をされた。
実際のところ二人を危険に晒したのは俺の存在なのに……。
翼ちゃんは俺が電話を切った後もひたすら走り続けていたらしい。
かなりの距離を走っていたので筋肉痛のせいで歩くのも辛そうである。
よく学校に来れたなと思う。
吹上はこれからも俺らの担任としてやっていくらしい。
学校の教師が一人抜けるのも大変になるし、今からいなくなったのじゃ不自然になる。
更には俺という隠れ蓑が存在してもまだ奴らに悟られるわけには行かないらしい。
そして俺が生き残ってしまったので那美が今回みたいに危険に巻き込まれる可能性が高い。なので正体を明かしたところで奈美に対する危険はそう変わらないらしい。だから近いうちに正体を那美に明かすようだ。
那美に不安を抱かせるより安心させた方が良いということだろう。
その後那美とこの世界の俺がどうなるかは俺が知ったこっちゃない。
これはこの世界の二人の問題であり、俺が関与すべき事柄ではない。
だからこそ俺はその後の結果は知らないし、聴く気もなかった。
吹上とはこれから情報を交換することになった。
奴らはまた俺、を狙いに来るだろう。
それはいつのことか分からないが近いうちに来ると思うということだ。
再び襲われた時のために情報を交換することで互いの生存確率を上げるためである。
電話やメールだと盗聴される恐れがあるので学校で文通である。机の中に置き勉し、その教科書の中に紙を挟むのである。
この学校の校長は世界でも有名らしく、ちょっかいをかけるのが難しいらしい。更にはSSSランクの次元もいるのだ。この学校はかなりの安全地帯と言えるのだろう。
だからこその文通。そしてすぐにそのことが実を結ぶ。
『転校生に気をつけろ。次元の傍を離れるな』
簡素に書かれたそれだけの文。
見た瞬間は分からなかったがすぐにその意味を理解することとなる。
「また今日から転校性が来る。入ってくれ」
そうして長い金髪の美少女が入ってくる。
凄く顔が整っていて見惚れるほどかわいいがその眼はどこを見ているか、何を考えているか全くの不明であった。
「自己紹介を」
吹上がそう言う。
転校生に気をつけろ。つまりはこの少女に気を付けるということだろうか?
いったい何を気をつければいいんだ?
その疑問もすぐに分かった。
「Alisa・Beattieです。能力は全部操作です」
感情を感じさせない声でそう言った。
その発言は全ての人たちに驚きを与えた。
世界で10人しかいないSSSランクの人物。他のSSSランクの基準とは違うが、その能力はこの世のすべての能力を見ただけで使えるという。
皆が不思議に思う。そんな人物がなぜここに? そしてその十人しかいない人物の二人が同じ学校、同じクラスとなるという事実に。
そして俺と次元は別の意味で驚いていた。
吹上、この世界の俺から聞かされた情報。その中にこの世界の俺を誘拐した組織にいたという全部操作。
そしてそのことを踏まえるとここに来た理由も予測が付く。
おそらくは俺、この世界の俺を連れ戻すために。
だからこその忠告。
だからこその手紙。
すでに遅すぎる気もするが昨日のうちに吹上が誘拐された時の話を聞けてたのはラッキーだった。
少なくともアリサ・ビューティーを警戒することができる。そして今回は同じSSSランクの次元もこのことを知っている。
次元の能力は攻撃力はほかに劣るかもしれないが、SSSランク最強の防御能力を持つ。吹上もだからこそ次元に話を聞かせたし、俺の傍にいるからこそ俺を見逃してくれたのではないか? と思っている。
俺だけでなく次元にも話を聞かせた理由はこういうことだろう。
「んじゃ、ビューティーの席は適当に空いてる席に、そうだな。その左から二番目、前から二番目の所だな」
「せんせー。そこにはすでに俺がいるんですが」
よりにもよって俺がいる席を指定してきやがった。そもそも空いてる席なんてねぇぞ?
互いの正体を理解してからの吹上の嫌がらせはいったいなんなんだ?
「まぁ冗談だ。別にゴミだから見えてなかったわけじゃないぞ? ってことで船井。机を取りに行ってくっれ」
「なんでおれ!?」
「双神の後ろにいるからだ」
「くっそ、お前のせいだからな!」
なぜか俺が怒られた。理不尽である。
それにしても今のやり取りでクラス中がいつものやり取りで苦笑、失笑、爆笑などと様々な反応を見せる中アリサ・ビューティーは無反応であった。
眉ひとつすら動かさない。
その反応が人形ぽく感じて、とても恐ろしく、そして怖かった。
アリサ・ビューティーがこちらを見る。
完全に目があい、何を思っているか分からないが、アリサ・ビューティーの標的が俺だということを確信した。
「お、おれ眼があったかも。もしかして一目ぼれされたかなぁ?」
後ろに座る翔が冗談っぽくそんなことを言う。
それが真実であったならどれだけよかっただろうか?
アリサ・ビューティーの正体を聞かされた身としては心臓に悪い。
「んじゃ、俺は机取りに行ってきまーす」
翔は席を立つと教室から出ていく。
俺は動揺を表に出さないようにするのに精いっぱいだった。
「んじゃ、ビューティーの席は一番後ろになるんだが、船井が戻ってこない限りどうしようもないから悪いが立ってて貰えるか?」
「はい……」
その返事と共に教室の後ろに向かって歩き出す。
ひたすら感情を感じさせない返事にさすがにみんなも薄気味悪く感じてきたようだ。
そしてアリサ・ビューティーが俺の隣を通ると同時に――
「あなたを殺せって言われた。ねぇ? 死ぬってどんな気持ちなの?」
――そんな言葉を発した。
俺は心臓が捕まれたような思いで振り返ることすらできなかった。
こうして一難去ってまた一難。
異世界に来てからまだ波乱は続く――




