どのみち避けては通れぬ道
水ならあらかじめあった
ここに来る時に集めていたからだ。
だがそれを動かせば気づかれて再び攻撃されるのが目に見えてる。
だからこそ空気中にある水を使う。
前と同じように銃を湿気らせるのは無理だ。
遠くにいる魔銃使いまで水を持っていくには集中力が足りない。
だからこそまずは頭の上の聖剣使いをどうにかする。
人間に有効なのは目つぶしである。
普段人間の認識する情報は7割程度は視覚からの情報である。
だからこそ、その視覚の情報を封じるのは有効な手段なのだ。
そしてそれは決して目に何かを入れることだけが目をつぶす方法ではないのである。
人体のほとんどは水で構成されており、目も例外ではないはずだ。
さすがに人体の水を超能力で操るのは不可能とされてるみたいだが眼だけならばその必要もない。
目は常に涙で目を潤しているのだ。
水を集めることができるなら逆に拡散させることもできる。
目の表面だけならばすべては無理かもしれないが多少は融通が利くだろう。
そして唯のドライアイでも危険と言われるのなら故意的にやればどうなるか。
答えは試してみればわかることだ。
「ぐがぁァァ!?」
目を押さえて聖剣使いが後ろに下がる。
そして必然的に俺の頭から足がどけられる。
「てめぇー! なにしやがった!?」
魔銃使いが銃をこちらに向けてくる。
確かに俺には銃口から予測して躱したり、銃弾を打ち落とすと受け止めるとかの超人的なことはできない。
だが超能力さえ使えば弾道を曲げることぐらいはできるはずだ。
詳しくは分からないが、銃とは様々な工夫によってまっすぐに跳ぶようにできている。
そしてその工夫には人為的に曲げられた自然なんてものは考慮されていない。
だからこそ極端に空気の濃さを変えてやればその弾道も乱れるというものだ。
あえて濃くしてるところ、あえて薄くしてるところ。
そうすれば回転して安定して前に飛ばすためのアイデアも意味なく弾道はあらぬ方向に飛んでいくというものだ。
相手の能力は分からないが銃弾の威力を上げる系統の能力であり、銃の原理は変わらないはずだ。
「な!?」
俺の予想通りにあらぬ方向に飛んで行った銃弾は後ろの壁に穴をあける。
その威力は驚異的であり、もし急所を狙われていたら即死であっただろう。
一点集中で、すべての力が伝わる前に貫通してたからこそ手が動かせなく程度で済んだのである。
それを喜ぶべきかは微妙なところだがそれがなければすでに俺は死んでいただろう。
「オッッラァァァ!!」
俺は走り出す。
俺の能力は全て絶対的な威力にかけている。
水も柔らかいからスピードが必要だし、空気も操れる制度は高いものの、俺の能力の方向的に風の刃や、ハンマーなどよく魔法としての設定に出てくるようなことはできない。
竜巻なら時間さえあればできるであろうが今はそこまで集中して暇はない。
「と、止まれぇ!」
再び銃弾を放とうと引き金を引く。
先ほどより近づいているので弾道をずらせるかは賭けに近い状態だが仕方ない。
俺は後ろで銃弾が床や壁にぶつかり、爆音を轟かせるのを無視してただまっすぐに走る。
銃弾がわき腹にぶつかった。
痛い、超痛い。
だが止まるわけには行かない
ここまで来たらひたすら耐えるしかない。。
衝撃で体がふらつくも気合で耐える。
すぐ後ろに銃弾がぶつかったのか衝撃が来るがそれも耐える。
轟音を鳴らす銃弾に正面から突っ込むのは恐怖が半端ないがその恐怖も耐える。
やがていくら引き金を引こうともカチカチという音しかならなくなった。
どうやら銃弾がなくなったようだ。
これで安心して突っ込める。
そして魔銃使いのすぐ前に着いた。
予想外の抵抗に表情が恐怖に固まっていた。
ざまぁ、と笑う。
腕が痛い。
わき腹が痛い。
全身が痛い。
すべての痛みを無視して全体重、善速度を詰め込んだ体当たりを食らわせる。
「がッハァ!!?」
俺の全力の突進がさく裂し、魔銃使いを吹き飛ばす。
当然俺もその勢いで相手と同じ方向に飛んでいく。
お互いに地面に転がり、痛みがマヒしたのか痛みも何も感じなかった。
そしてそんな痛みの麻痺なんて一時的であり、痛みが広がるのも当たり前であった。
アドレナリンの大量放出により今まで耐えれた痛みが耐えれなくなり俺の叫びがはい向上をこだまする。
先ほどの突進により、傷口が広がり、そして新しい傷もできていた。
そしてあの全力疾走で相手にぶつかったのである。
当然反作用によりその衝撃は俺にも来ていた。
「だが、まだだ……」
まだ終わっていない。
目をつぶしたとしても一時的なものであり、そう時間が経たないうちに回復するもんだ。
だからこそ今のうちに手を打たないといけない。
探す。
あの聖剣使いを……。
先ほどいた場所にいない。
ならばどこだ?
っと、自分の考えに違和感を持つ。
先ほどいた場所にいない? 別に不思議なことではないがなぜ違和感を持った?
そして気づく。
目が使えないのにまともに移動できるはずもないのだ。
近くに移動したのだけでは視界に写るはずだ。
ならばなぜいない?
すでに視力から回復したのではないだろうか?
まずい、すごくまずい。
あらゆる手を使いすでに策は尽きた。
血の流れすぎた子の頭でまともに新たな策ができるとは思わない。
「こっちを見ろ! 双神ィ!」
その声の出所に反射的に振り向き、見つけた。
見つけてしまった。
那美に向かって剣を振り下ろそうとする聖剣使いを……。
そして嫌なことは重なるものである。
入口の方から駆け寄る人影。
最初は助けに来てくれたのかと思ったがまったく違う。
相手は見たことあるやつだった。
それもこいつらと共に。
そいつは以前聖剣、魔銃コンビと一緒に現れた姿を消す能力者だあった。
「考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ、考えろ……」
最善策を。
考えろ、この窮地を、那美を助ける方法を。
しかしすべてが手遅れ、この状態から那美を助けるような方法などありはしなかった。




