いつもの日常
あれから次元の家に帰ったらもの次元にすごい怒られた。
今まで必死で気づかなかったが、大きな怪我こそなかったものの攻撃を避けた時に地面の砂とかで様々な場所を切ってたらしい。
そりゃあ一目見て傷だらけで、横に警察が居れば心配かけるし、こうなったのも自業自得なんだから怒られて当たり前だろう。
俺はおとなしくおしかりを受けた。
ほかにも一つの決意を伝えた。
次元は無理といったはずじゃ、すまないが無理じゃろう、すまぬ。などと言ってたが俺は成し遂げるつもりである。
俺の意志が固いと知ったらできる限り協力すると約束してくれた。
それと、次元も世界の闇を見たことがあるらしい。
詳しくは教えてくれなかったがそのせいで人一倍警戒心が強くなったと言っていたな。
最後に「お主は裏切らないでくれるとうれしいのじゃ……」と言ってたが誰かに裏切られたんだろうか?
これ以上は苦しいことを無理に思い出してほしくないので詳細は聞かない。
その後はすぐに寝てしまった。
引きこもり体質なくせに異能バトルの真似事でもしたせいかもしれない。
「つかれたぁ……」
さすがに学校を休むわけにもいかないので絆創膏を体中に張りながらの学校である。
目の前の厨二病少女、氷上眞希でさえも素に戻って心配してきたのだからどれだけひどい状況だろうか?
そもそもマンガみたいに飛びのいて避けて、それでかすり傷すらないってのがおかしいんだよ。
外であんな避け方したら腕が傷だらけになるわ。
いや、マンガでそんな風に現実的に書いたらつまらなくなるだけだろうが……。
一番つらいのが風呂だ。
何しろ全身傷だらけだからお湯が沁みるわ沁みるわかなりきつい……。
閑話休題。
「貴方も…………この世界の闇に触れてしまったのね……」
平常運転に戻った眞希が話しかけてきた。
ちなみに授業前なので帽子もマントも鞄の中にしまってるようだ。
「そうだよ……」
あながちウソでもないところがつらいところだ。
実際校長の言うこの世界の闇の住人である聖剣、魔銃コンビに襲われたのだから。
「へ!? あっ! ……そう」
俺が話に素直にうなずいたのに驚いたのだろうか?
そしてあわててロールプレイに戻ったと……。
ほんと分かりやすい性格、というより俺と根本的な性格が似てるのだろうか?
何となく考えが分かるのである。
だからこその初日の同類発言だろうか?
「フフフ、何。愚かな奴らがこの俺に喧嘩を売ってきたのよ。この世界じゃ人間を殺せないからな、手加減してるうちにかすり傷が増えちまったよ」
何となく今日は何も考えずに話したい気分なので少し昔を思い出しながら厨二病ぽく話を合わせてみる。
「本当に大丈夫? あたま打った?」
本気で心配されてしまった……。
それはちょっとひどくね?
せっかく話を合わせようとしたのに……。
放課後はいつも通りに図書館に来ていた。
『うん? 来なくってもぉもう十分とはいかなくとも九分くらいには能力使えてんじゃないぃ?』
扉の前に立っただけでそのような念話が飛んできた。
相変わらず周囲に睡眠を邪魔されないための警戒を怠ってないらしい。
「いや、ちょっとやってみたいことがありましてね。その修行に手伝ってくださいよ」
俺は図書館の扉を開け、永井先輩の後ろから話しかける。
昨日考えた結果、水があまりないところだと攻撃の決め手に欠ける。
普通ならそれでいいかもしれないが、昨日あんなことになった身としては敵を気絶させるような強烈な攻撃がほしいものだ。
昨日のうちにどんなのかすでに考えていて、それには知識と今以上の能力の慣れが必要だった。
『仕方ないなぁ。良いよ。だけど面倒だから尻拭いはしないよ』
「ありがとうございます。永井先輩」
俺が考えてることが実現できるとしたらかなり強力な武器になりそうだ。
「そろそろ帰るのじゃ」
日が沈み始めたころ次元が図書室を訪ねる。
今まで次元は食料の買い出しに行っていて、修行することを話したら戻るまで永井先輩の傍にいろって言われたのだ。
何だか知らないが次元は永井先輩をすごく信用しているらしい。
「了解だ」
特に抵抗する理由もなかったから素直に返す。
永井先輩に挨拶をして教室を出た。
「おい、双神ちょっといいか? 次元ちょっとこいつを借りるぞ?」
下駄箱に向かっていた俺たちを呼び止めたのは吹上先生だった。
次元は下駄箱で待ってろって言って先に行ってもらった。
正直苦手意識があるが仮にも教師であるので無視するわけには行かない。
「と、ここら辺でいいか」
一拍間をおいて再び口を開く。
「お前中等部の双神那美にあったそうだな」
端的に言われるその言葉に何を言われたかよくわからなかった。
そして昨日のことだとわかり、なぜ吹上先生がそのことを知っているのか疑問に思う。
「悪いことを言わないからもう会うな。それがお前のためでもあるし、那美のためでもある」
言い方に少しムカついてしまった。
那美と会うとお互い不幸になる。
まったくもって意味が分からない。
だから――
「そんなこと先生に言われる筋合いはありませんよ」
強めの口調でそんなことを言った。
那美に会うことで本物の兄ではない俺を見るだけで確かに不幸にしてしまうかもしれない。
だが、それでも那美に会うと不幸になるという言葉を聞きのがすわけには行かなかった。
「そっか、悪かったな。俺の要件は終わりだ。早くいけよ、次元を待たせてるんだろ?」
何か言われると思ったが予想外に何もなかった。
そのことに少し不思議に思いながらもあまり待たせるわけにもいかないので次元の所に向かった。
はたして吹上先生は何を知っているのだろうか?
予想外の言葉に校長が言っていた俺が襲われるかもしれないことを知っていたことを聞き忘れてしまっていた。
それに先ほどの言葉に、初めて会った時の行動。
吹上先生は何者なのか、何を知っているのかまったくもって分からなかった




