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異世界トリップしても俺TUEEEなんて夢のまた夢でした  作者: 棘田 清棘
異世界トリップしても平穏な時なんてありませんでした
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兎に角事情を説明してください

 校長はどこからか取り出したのか、ロープで3人を縛り付ける。

 そして縛り終えるころには体の自由が利くようになった。


「あの、助けていただいてありがとうございます」


「生徒を守るのは教師の勤め、何も礼を言われることはない。それでも礼を言いたいなら次元雛にお礼を言うべきだな。こいつらが今まで手を出してこなかった次元雛が意識してお主のそばに居たからじゃよ」


「あっ……」


 思い返せば今まで少しだけ離れることがあっても大きく離れたことはなかった。

 雛がこいつらの存在を知っていたかどうかは知らないが世界の違いに戸惑った時はいつもそばにいてくれた。

 今回は俺が帰ってくれって頼んだからこそそばにいなかったがそれがなければ近くにいたんではないだろうか?


「結局俺が一人になりたいなんて言わなければこんなことにはならなかったわけか……」


「人はそう思うときもあるじゃろうが、人は一人で生きられん。そこのところを勘違いしてはいけないぞ」


「分かってます。一人で生きられないことは、一人で生きてるわけではないことは昔思い知りましたから」


 思い出す中学の時の黒歴史よりも黒歴史だと思うあの時のことを……。

 人は一人で生きてるわけではない。誰かに行かされてると言うことを思い知ったあの日のことを。


「そうじゃ、あと礼を言うなら鉈欺の小僧にも言っとけ、あ奴は親切心というよりはまた別の目的じゃろうがお前が襲われる可能性があるってことを儂にわざわざ行ってきたんじゃからな」


「えっ!?」


 鉈欺というのは吹上先生のことだろう。

 なぜ吹上先生がこのことを予想できてるか疑問に思うし、初めて会った時にナイフを突きつけてきたあの人がそんなことするとは思ってなかった。

 あれでも教師ということだろうか?


「分かりました。……それにしても小僧って…………」


 吹上先生はいつもだるそうにしてたがあの襲われたときにしていた眼で見られたときこれ以上ないって程の恐怖を感じた。

 その吹上先生小僧扱いとはどれだけ規格外なのだろうか?


「何、あ奴は一年ぐらい前に道で死にかけてる時に拾ったからな。儂にとってはまだまだガキじゃ。それに見た目をごまかしてるがあの小僧はまだまだ若い」


 20代後半ぐらいだと思うから若いのは分かるが……

 それにしても死にかけていたか……。

 俺もこの世界に来てから吹上先生や今回の事件ですでに二度襲われている。

 吹上先生も死にかけていたって状況など想像できない。

 元の世界なら考えられないことだ。

 超能力以外は全て同じじゃないか? などと思っていたがほかにもこの世界には闇と呼ばれるようなのが存在してるんじゃないだろうか?


「ふむ、今お主はこの超能力社会の闇に触れて本当にこの日本が安全だろうか? とかそんなことを考えてるってところじゃな。安心しろなどとは言えんがこんな組織は基本的には表の世界に干渉してくることはあるまい。一部の強大な力を持つ者は闇と関わることは避けれないがの……。しかし闇はどこにでも存在する。どんなに消そうと奮闘しても無駄じゃった。人が存在する限り消そうとする人がおろうとも闇は消えないのじゃからなぁ。あれも儂の若いときの話じゃ……」


 おいおい、さっきの話ぶりじゃその闇を消そうと戦い続けてたみたいじゃないか?

 もしそうだとしたら、いやきっとこの校長のことだから本当のことだろう。

 一般人の俺が想像し切れることじゃないだろうがよく殺されてなかったな。

 いや、戦い生き残ったってところだろうか?

 だとしたらどれだけ規格外なんだよ。


「ふむ、少し話がずれたかの? まぁ次元雛もSSSランクじゃから闇との接触もあったじゃろう。史上初めて上位ランクを倒したお主と同姓同名、同じ姿の双神凪も闇にのまれたのかもしれんな」


「!?」


 校長は知っている。

 この世界の俺のことを、俺の存在を。

 同一人物と言ってないということは俺のことに感づいてるのか?


「不思議そうな顔してるな? なに、簡単なことじゃよ。双神凪は行方不明になった。十中八九闇に誘拐されたか事故で死んだかのどちらかじゃな。そしてお主がその双神凪だとすると死んだ可能性がなくなるが、同時に闇に触れて堂々と学校に通うなどせんわ。そしたら別人なんじゃろ。次元雛がそばにいることと次元雛の超能力を考えれば異世界から来たとかそんな所じゃないか?」


「……!?」


 何の事情も聞かずに、答えを言い当てた。

 とにかく驚いて硬直してしまった。


「当たったみたいじゃな。何安心せい。別に異世界だろうがエイリアンだろうが何もしない限りは事情を聴かなくともこの学校に居ってええ。それにお主より鉈欺の小僧の方が何も事情も分からんからな。この分じゃと名前や戸籍まで怪しくなってくるわ」


 吹上先生……。

 この校長でも何一つわからないなんてあんたいったいなんなんだよ……。


「と、雑談もこのぐらいにしてそろそろこいつらを追根究底とするか」


「へぇ? なんですその言葉……?」


「徹底的に真相を追及するという意味じゃよ。四字熟語は色々知っておる。なんたって儂はもともと国語の教師じゃったからな」


「へぇ~」


 ツイコンキュウテイなんて言葉初めて知った。

 なんかかっこよさそうだから暇な時でもちゃんと調べてみるか……。


「後な、お主はもう帰れ、警察も来たからもう安心じゃろ。ここからは教育に悪いから見せることはできんのじゃ」


 その言葉で俺は察する。

 おそらくは拷問というやつをするのだろう。

 俺も見たくないのでその言葉に従うことにした。


 そしてタイミングでも計っていたかのように警察が屋上に飛び込んできた。

 いや、タイミングを計ったのは警察ではなく校長だろうか?

 否定できないところが怖い……。


「校長、いろいろありがとうございました」


「うむ」


 そうしてあとは警察の人たちに任せ、パトカーで雛の家まで送っていってもらうことになった。

 とりあえずは今まで守って貰っていたことを。

 そして新しくできた目標を話そう。

 今までさんざん悩んで、校長に会ったことで吹っ切れた。

 俺一人ではできないことも周りを頼れば行ける気がしてきた。

 明日は那美に会おう。

 そして再びゆっくり話し合うとしよう。

 色々大変だったが、その分吹っ切れた。

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