強き助っ人
本日は朝の8時にも投稿しております
良ければ前の話からどうぞ
もう終わりだ……。
そんなことを思っていた時だった。
空から何かが降ってきて、爆音と砂煙と共に一人の人物が俺と襲ってきた3人の間に入り込む。
「儂の学校で儂の生徒を襲うとはいい度胸じゃな?」
砂煙が晴れるとその声の主の姿が見えてきた。
白い長髪にスーツ。
長く伸びた髭はその人物が優しそうな老人という印象を抱かせた。
しかしその体は引き締まっており、ちらりと見えた首元には大きな傷が見えた。
それを見れば先ほどとは違う印象を持たざる負えない。
「さて、儂に喧嘩を売るような馬鹿は鉈欺の小僧ぐらいかと思ってたがほかにもおったとはのぉ……」
「ふむ、そう言えば資料かなんかで見たことあるな。この学校の校長だったか? 上には会ったら逃げろって言われたがSSランクの能力者程度なら人数が居ればどうにでもなる」
この人がこの学校の校長。
それでもSSSランクの聖剣、魔銃コンビに瞬間移動か姿を消す能力を持っている人物に勝てるとは思えない……。
そして聖剣使いが校長に突っ込んでくる。
校長はそれを見て両手を広げ、頭の上で構えるだけ……。
格好から見て真剣白刃取りだろうか? しかしあれをリアルでやろうとしても手のひらが斬られるだけで不可能である。
それに相手の剣はコンクリートを切り裂くような威力を持つ。
生身の人間が止められるとは思わなかった。
俺は校長にそれを伝えようと思ったがうまく大きな声が出せなかった。
「真剣白刃取りかよ! そんなもんができると思ってんのか!? 俺たちはあのSSSランクの聖剣、魔銃コンビだぜ? 爺はさっさとあの世に逝きな!」
その言葉と共に振り下ろされる剣。
俺は校長が真っ二つに切り裂かれる光景を思い浮かべた。
だが、予想に反して真っ二つになったのは剣の方だった。
「誰が真剣白刃取りなどと生ぬるいものだと言った?」
校長が手をクロスさせた状態で相手をにらむ。
そしてその状態から片手を動かし、腕を払うようにして聖剣使いを吹き飛ばす。
「それにこの程度でSSSランクじゃと? 笑止千万。SSとSSSはそもそも次元が違うのだから本物だったら儂程度では剣も折れるはずがないし、そもそも儂が構えてる間に殺せた筈じゃ」
校長の存在がすべてを支配していた。
聖剣使いと魔銃使いはSSSランクではなかったらしい。
いや、ただ単に偽物ってことだろうか?
それはともかく、魔銃使いが恐怖によって銃を構える。
しかし、俺が先ほど湿気らせたことも忘れてるのか、その弾丸は発射されなかった。
「焦って武器の状態も把握しないで使うとは泰然自若を知らんのか!?」
いつの間にか魔銃使いの前に移動して拳を構えていた。
元々いた地面にはヒビがあり、どれだけの強さで踏み込めばそんなことができるのか予想もつかなかった。
敵もさるもので驚きながらも腕を構えてガードの態勢に入る。
しかし、その腕など関係ないように振り下ろしたその拳はギャグみたいに錐もみ上に吹き飛ばす。
「意気は良し。しかし金剛不壊ぐらいではないと儂は止められん!」
金剛不壊、決して壊れないほど強固なこと。
それ以外じゃ止められないとはどれだけ強いのだろうか?
「てか、そんなん使えるやつとか無理だろ……」
「そんなことないさ。本当の聖剣、魔銃コンビなら決して壊れない物を生み出せるだろうし、そもそも防御の強固さならいつもお主の隣にいる次元雛の右に出るものなどおらん」
その呟きは決して聞こえる距離ではなかった。
しかし、その小さな声ですらも拾ってしまう聴覚に視認不可能な動き、とても人間とは思えなかった。
「さてと、ささっと片付けるとするかの」
魔銃使いは完全に伸びていて、残りは聖剣使いのみである。
剣もおれているし、あの強さなら問題ないだろう。
と、ここで俺は一つのことに気付く。
あのスタンガンを持った男がいないことを……。
能力からして逃げたか、姿を消し攻撃する機会を狙っているのだろうか?
その答えはすぐに出ることになる。
気づいた時には口をふさがれていた。
「あまり妙なまねをするなよ? 死にたくなければな」
転移系の能力ではなく、透明化系の能力ということか……。
しかも奴らの目的は校長を倒すことではなく俺の誘拐、正確にはこの世界の俺の誘拐だろうがそんなことこいつらには分からないだろう。
この世界の俺は何でこんなに狙われてんだよ……。
そんなことより自分が助かる方法を、何とかあの校長に助けを求めるか?
駄目だ、最初現れた時の聖剣使い達の様子を見るに俺のの姿も見ることができないだろう。
それに声を出そうにも手でふさがれている。
なら自力で逃げるか?
無理だ。
体がまともに動かないし、能力を使うにも使おうとした瞬間に的確に痛みを与えられて能力をイメージできない。
こういうことに慣れているのだろう。
俺程度が思いつく策は対策されている可能性が高い。
「さて、これでいいか……」
後ろで手を縛られ、猿轡をされ声を出せない。
万事休すってこところだろう。
男は立ち上がろうと足を前に踏み出し、そして吹っ飛ばされた。
「!?」
俺の目の前には校長の足が、男がいた所には校長の拳があるところから校長が男を殴ったということだろう。
しかし、どうやって俺の場所が?
様子を見るに男は能力を使い姿を消していたみたいだから見えなかったはずなのに……。
「甘いぞ小僧。姿を消しても足音を殺せない程度では儂を欺けはせん」
足音って……。
近くにいた俺ですら聞こえるか聞こえないかぐらいだったぞ?
どうやって……。
「これで全員か? あとは専門家に任せるとしよう」
そういってポケットから携帯を取り出す。
俺の世界にもあったスマホを左手に持ち、右手の人差し指で恐る恐る3ケタの番号を押す。
って……
「これだけ強くっても機械には弱いのかよ……」
ちょっとかっこいいと思ってただけにがっかりした……。




